HOME > レビュー > 新「AirPods」ハンズオン! 別モノの音質に進化、ノイキャンなしでも“価値あり”

サウンドと機能ともにステップアップ

新「AirPods」ハンズオン! 別モノの音質に進化、ノイキャンなしでも“価値あり”

公開日 2021/10/26 01:00 山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

まるで別モノ。驚くほどに充実した中低音

サウンドのインプレッションを報告しよう。新しいAirPodsはウォームな低域が充実し、第2世代のAirPodsとは印象が一変した。カスタムメイドのAppleドライバーとダイナミックレンジを拡張したアンプ、ユーザーの耳の形状や再生する楽曲などに合わせてサウンドのバランスを自動で最適化する「アダプティブイコライゼーション」の3つが効いているようだ。出力音圧レベルも第2世代のAirPodsから向上している。

試聴を始めた当初はバランスが低域にやや偏っているようにも感じたが、鳴らし込んでみるとすぐに中高音域とのつながりがスムーズになって、一体感の豊かなサウンドに満足した。

イヤホン本体のトップの位置にベンチレーションポートが設けられている

さらに聴き込んでみると、静かな室内と賑やかな屋外では、AirPodsの音のインプレッションがわずかに変わることに気が付いた。開放型のイヤホンなので、音楽再生・ハンズフリー通話のサウンドを騒々しい屋外でもしっかりと聴けるように、中低音域の伸びやかさを強調したチューニングに整えているのかもしれない。

アダプティブイコライゼーションは「耳の中」のアコースティック環境を検知して再生音を最適化する機能なので、外部の環境音に影響を受けることは、基本的にはない。突発的に大きな環境ノイズにさらされても、イヤホンの再生音量が合わせて大きくなるようなこともなく、リスニング感はとても安定している。混雑している電車の中で使ってみたが、iPhoneのボリュームが60%前後のレベルで、音楽だけでなく、映画やドラマのダイアローグまでしっかりと聴き取れた。

iPhone 13 Proに接続し、Apple Musicの楽曲を試聴した。上原ひろみのアルバム『Silver Lining Suite』から「ジャンプスタート」はピアノの躍動感、弦楽器の艶っぽい音色が活き活きと煌めく。低音域の印象がとてもふくよかで温かい。第2世代のAirPodsに比べると中高音域の暴れが一段と抑えられスムーズになったことがよくわかると思う。

iPhone 13 Proと組み合わせてApple Musicの音源を試聴した

ボーカルの楽曲は原田知世のアルバム『恋愛小説2〜若葉のころ』から「秘密の花園」を試聴した。声の質感がとても素直に引き出され、特にボーカリストの透明な声の特徴を繊細、かつリアルにAirPodsは表現してくれる。輪郭線の描き込みは丁寧でありながら大胆。ぐんと前に迫り出してくるボーカルの迫力に引き込まれた。

ピアノ、エレキベースの低音が深く沈み込み、演奏の足元をどっしりと固める。エレキギターの和音がゆったりと響き甘いハーモニーを重ねて描いた。ドラムスは高域の解像度も高く滑らか。細かなハイハットの余韻が静寂と爽やかに溶け合うイメージも秀逸だ。

空間オーディオのダイナミック・ヘッドトラッキングに対応

新しいAirPodsは空間オーディオに対応するコンテンツの再生時、顔の方向転換に対してコンテンツの音をあるべき位置に定位させる「ダイナミック・ヘッドトラッキング」に対応した。ダイナミック・ヘッドトラッキングが使える、AirPods Pro/Maxに続く3番目のイヤホンが誕生したことになる。

Bluetooth設定から空間オーディオの効果をプレビューできる

Apple TV+で配信がスタートしたSFドラマ『インベージョン』のシーズン1を視聴した。物語中盤の、宇宙ステーションのロケット打ち上げのシーンでは、エンジン噴射の豪快な低音がズシンと腹の底に響く。アクションシーンの多い映画やドラマを見ると、AirPodsのサウンドが新旧世代間で様変わりしたことが本当によくわかる。

Apple TV+で公開されている「インベージョン」を視聴した

打ち上げ成功に歓喜する宇宙センターに鳴り響く拍手の効果音でも、解像表現力の高さを感じる。「エイリアンに地球人類の存続が脅かされる」というシリアスなSFドラマの緊張感を、AirPodsのリアリティあふれるサウンドが存分に引き立たせてくれるだろう。

次ページ搭載する機能にアップルらしさが光る

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク