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音質傾向や使い勝手をチェック

JVC初の“開放型”完全ワイヤレス「HA-A8T」を聴く。「良質なサウンドと快適な装着感を両立」

公開日 2021/06/02 06:30 土方久明
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本体左右にはそれぞれ1つのボタンがあり、音量調整や、再生/一時停止/曲送り/曲戻しなどの操作ができる。また、内蔵マイクを搭載しており、テレワーク時やハンズフリー通話にも使用できる。

イヤホン本体での連続再生時間は約6時間で、ケースと併用すると合計約15時間もの連続再生に対応する。さらにクイック充電にも対応しており、15分の充電で約1時間の連続再生が可能となっている。

充電ケース

充電ケースは小型で持ち運びがしやすい。本製品もそうだが、最近のモデルは本体がマグネットでケースに密着されるので、落下を未然に防止してくれるのが嬉しい。

■音質傾向や使い勝手は?

まずは筆者所有のiPhoneとペアリングして、定額ストリーミングサービスのApple MusicからUru「あなたがいることで」を再生したが、出だしから印象が良い。帯域バランスが自然で高域が突き刺さることもないし、無理な低域のブーストとも無縁のニュートラル基調な音色。そして開放型のメリットを感じられる自然で幅広いサウンドステージと、音楽性豊かな表現で、彼女の美しい声質を情緒豊かに表現してくれるのが秀逸だ。

次に本年度のグラミー賞で最優秀レコード賞のビリー・アイリッシュ「everything i wanted」を再生。イントロのシンセサイザーの音色もよく、頭内に幅広い浮遊感を保ちながら、センターに定位する彼女のヴォーカルとコーラスとの距離感も適切。イントロ後半から始まる低音部分は、設置されたバスポートのおかげもあり、重心の低いしっかりとした弾力的な表現でグルーブ感も高い。

装着イメージ

そして何より、快適な装着感も印象的だった。本製品では、耳に入る部分にドライバユニットが収まっている。開発時、ここの角度を少し変えただけで大きく装着感が変わってしまい、3Dプリンタを活用して様々な角度のバリエーションを作り、確認を繰り返したという。最終的に、多くの使用者にフィットしつつ、音質が良い角度・形状へ仕上げた。

さらに完全ワイヤレスイヤホンは、本体内に回路基板やバッテリーを積んでいるため、一般的なワイヤードイヤホンに比べると質量やサイズの面で不利になりがち。JVCも、自然で快適な装着感と両立させるために大変苦労したとのこと。

もちろんサウンドチューニングも徹底している。振動板素材だけで音のキャラクターを作るのではなく、本体内部のアコースティックチューニングをしっかり行ったうえで、EQを併用して細部を追い込んだという。

いかがだったろうか。同社にとって初の開放型となったHA-A8Tは、ハウジングからドライバー周りまで徹底してこだわった結果、開放型のメリットを生かした聞き疲れの少ない良質なサウンドと快適な装着感を両立したのである。ずっと聞いていたくなるような気持ちの良い音により、今風のお洒落ジャズやR&Bも含めて幅広い音楽ジャンルと相性が良さそうだ。また長時間の使用に向いているのでビデオ会議など幅広い用途で使用できるなど、購入後の満足感が高そうなモデルだった。

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