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あらゆる角度から真価に迫る

アップル「AirPods Max」レビュー。61800円は高くない、唯一無二のヘッドホン

公開日 2020/12/13 18:54 山本敦
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音楽再生編:高解像で滑らかなサウンド

まずはiPhone 12 Pro Maxにペアリングして、Apple Musicで配信されている楽曲を聴いてみた。

iPhone 12 Pro MaxでAirPods Maxを試聴した

最初に聴いたのはマイケル・ジャクソンの『スリラー』だ。楽曲冒頭の効果音がきれいに粒立ち、音色も鮮やかに引き立つ。解像度が高く、情報量の豊かなサウンドに一気に引き込まれてしまった。エレキベースの低音、軽やかなエレキギターのカッティングは音像がきりっと引き締まっている。

安定感あふれるリズムセクションの上にマイケルの活き活きとした艶っぽいボーカルが重なり、シンセサイザーとコーラースの柔らかなハーモニーと交わりながら一体感あふれるグルーヴを紡ぎ出す。マイケルのボーカルは定位が鮮やかで、歌声の距離感が近い。声の輪郭や質感も丁寧に描き出すヘッドホンだ。粗っぽさがなく、メロディの抑揚もスムーズに再現される。

続いてアン・サリーのアルバム「Voyage」から『スマイル』を聴いた。ボーカルの声の質感がふっくらと描かれ、ピアノとアコースティックギターによる伴奏と温かく溶け合う。本機の少しウォームな音色のキャラクターに、ゆったりとしたボーカル系の楽曲がとてもよくマッチする。少しリバーブを効かせた深みのあるクリーミーなハーモニーは余韻も濃厚。混じり気がなく階調感もきめ細かい。ゆったりとした声のビブラートの抑揚感も温かい。

チェロのヨーヨー・マ、マンドリンのクリス・シーリー、コントラバスのエドガー・メイヤーによるアルバム「バッハ:トリオ」から『トリオ・ソナタ 第6番 ト長調 BWV530 〜第3楽章:アレグロ』を聴いた。次々に色鮮やかな花が咲き乱れるような軽やかで悦びに満ちたトリオの演奏が楽しめる。AirPods Maxはマンドリンの細やかな音色をきれいに粒立たせ、柔らかく繊細なコントラバスの表情を丁寧に描き分ける。広々とした空間を駆け巡るチェロのメロディはとても明るく伸びやかだ。

今回は取材を進めながら、50時間ほど鳴らし込んだコンディションでの音質評価であることをお断りしておきたい。エージングを重ねるほどに低域がいっそう引き締まり、中高音域の音色に深みが増していく手応えが返ってくる。このまま聴き込めば、ますます鳴りっぷりが良くなりそうだ。

フィットロスを抑制するアダプティブイコライゼーション

Adaptive EQ(アダプティブイコライゼーション)は、ヘッドホンの装着状態を自動解析し、“フィットロス”により生じる中低音域の損失を解消する機能だ。AirPods Proに搭載されている「イヤーチップ装着状態テスト」のような、ユーザーが設定すべきメニューは特になく、AirPods Maxを身に着けて音楽を聴いている間に毎秒200回の解析とイコライジング処理が働く。

Adaptive EQにより、髪の長い女性も毎度装着状態を気にすることなくAirPods Maxのベストな体験が楽しめる

メガネを着け外ししてみたり、ヒモの太いマスクの有無による変化も比べてみたが、音の聴こえ方が特定の帯域に偏ったり、強弱のインパクトにムラが生まれることがなく、抜群に安定していた。これがAdaptive EQの効果なのだろう。

AirPods Maxによる音楽再生をカスタマイズする

AirPods Maxにも音質をカスタマイズできる箇所があった。ひとつはiOS/iPadOSに搭載されている「ヘッドフォン調整」によるチューニングだ。

設定の「アクセシビリティ」から「オーディオ/ビジュアル」に入ると「ヘッドフォン調整」が見つかる。こちらを「オン」にして「カスタムオーディオ設定」を行うと、中高域のブライトネスを高める方向で好みの音に追い込める。カスタム設定を選ぶと、外部音取り込みモードにした際、「標準」モードよりも外音の聞こえ方が少し強くなることを意識したうえで、用途や好みに合わせて上手に使い分けたい。

アクセシビリティの「ヘッドフォン調整」からAirPods Maxのサウンドがカスタマイズできる

標準設定との切り換えも簡単

OSにプリインストールされている「ミュージック」アプリで音楽を聴く際には、アプリ側の設定にある23種類のイコライザーが使える。HF Playerなどサードパーティのアプリに内蔵されているEQ機能を切り換えてみたところ、AirPods Maxはコンピュテーショナルオーディオによる調整を行わず、EQ設定を素直に反映してくれた。

ミュージックアプリのEQ設定も活用できる

イヤーカップはマグネットにより簡単に着脱ができる仕様になっている。あくまで筆者の推察に過ぎないが、これほど簡単に着脱できるイヤーパッドが採用されたことから、いずれAirPod Maxの音質や装着感をカスタマイズするための交換パーツとして純正の専用イヤーパッドが出てくることを期待したい。

例えば暑い夏には少し通気性の良い素材を使ったイヤーパッドが欲しくなるし、素材にアルカンターラやレザーを使ったイヤーパッドも選べれば「アップルの“遊べる”プレミアムヘッドホン」として、ポータブルオーディオや音楽ファンのハートをつかむプロダクトになりそうだ。

別売のLightning-3.5mmオーディオケーブルをAirPods Maxに接続すると、3.5mm出力を備える機器と有線接続も行える。今回テストしたタイミングではアクセサリーを用意できなかったので、有線接続による音の違いは機会を改めてチェックしようと思う。

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