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ソースに忠実な音色/音調

Amazon Music HDを高音質で! Bluesoundのお手頃&スタイリッシュなシステムを試す

2020/10/24 土方久明
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■音質重視のストリーミングサービスが急成長。納得のクオリティで聴くためには?

定額で音楽が聴き放題になるストリーミングサービスが世界的な盛り上がりを見せている。ここ日本でも、昨年末以降Amazon Music HDとmora qualitasがハイレゾクオリティのストリーミングサービスを開始したことで、オーディオファンの中で音楽ストリーミングの盛り上がりが加速している。

特にAmazon Music HDは、豊かな資本力をバックに、圧倒的な楽曲配信数で存在感を増している。これにより、ハイレゾを含む無限大の音楽を楽しむ新しい音楽リスニングの形が急速に広がっており、同サービス対応するオーディオ機器に注目が集まっている。

そのような中、カナダに本拠地を構えるBluesound(ブルーサウンド)は、現時点でAmazon Music HDに対応する数少ないオーディオ製品をラインアップする新進気鋭のブランドだ。


同社は「新世代の音楽愛好家に高音質なワイヤレス・オーディオシステムを提供するというフィロソフィーを掲げ、ハードウェアおよびソフトウェア(アプリケーション)の両面で、魅力のあるソリューションを提供しており、ここ数年で知名度が上がってきた。

日本へは「NODEファミリー・コンポーネント」のストリーマー(ネットワークプレーヤー)と、同様の機能を持つネットワーク対応一体型ワイヤレススピーカーが導入されている。ストリーマーのラインアップは全3種類あるが、「NODE 2i」はベースモデル的な役割の単体ストリーマー。「POWERNODE 2i」はアンプを内蔵している。「VAULT 2i」はCDドライブ/2TBのHDDを内蔵したミュージックサーバー的な位置付けだ。

今回は一番ベーシックな「NODE 2i」(オープン価格:実売7万5000円前後)を自宅に持ち込んで、Amazon Music HDを中心に音質とユーザビリティのクオリティチェックを行った。


自宅の試聴室でNODE 2iでストリーミングを試した!
シャーシサイズは横幅220mmとコンパクトで、オフホワイトとブラックの2色のカラーが用意されている。専用のオーディオラックはもちろん、リビングやサイドボードなどにも十分に設置できる。有線LANおよびWi-Fiに対応し、家庭内のネットワークを利用して、ハイレゾファイルやストリーミングサービス等を再生可能だ。


コンパクトなサイズでサイドボードなどでも十分設置可能
同社のモデルは全て「BluOS」という独自OSを搭載しており、スマートフォン/タブレットにインストールする無料の操作アプリ「BluOS Controller」で操作できる。Android、iOSの両方が用意されているが、iPadとiPhoneでは画面サイズの違いによってアプリのグラフィカルユーザーインターフェイスを変えていて使いやすい。また、操作アプリはMac/Windowsパソコン用も用意されているのが嬉しい。


アルバムジャケットも大きめに表示され、直感的な操作ができるBluOSアプリ
NODE 2iはAmazon Music HD に加え、Spotifyにも対応。AirPlay 2とBluetooth(高音質コーデックの「aptX HD」規格に対応)の再生が可能だ。再生可能なレゾリューションは、192kHz/24bitのPCMと、PCMを介してFLAC変換されるものの2.8MHzのDSDに対応。DSD11.2MHzなどはダウンコンバートでの再生となる。ストリーミングを始め一般的に聴取可能な99%以上のソースに対応している。また、この価格帯でMQAのフルデコードに対応しているのも大きな特徴だ。

事前準備も大変シンプルで、本体に電源ケーブルとLANケーブルを接続して、操作端末にアプリBluOS Controllerをインストールすれば良い。初回起動時はアプリの画面上に設定ウィザードが立ち上がるからスムーズに設定できる。その後は、左上の設定アイコンをタップ → 音楽サービス → Amazon Music HD → ログインと進み、登録したユーザーID/パスワードを入力すれば再生準備はOK。

■フラットな帯域バランスの正統派サウンド。音楽の熱量をきちんと表現する

まずはAmazon Music HDから。DAOKO × 米津玄師の人気曲「打上花火」を再生する。アプリの検索ウインドから「米津玄師 DAOKO」と入力すると同アーティストの楽曲が一覧表示される。そして楽曲をタップするだけで再生開始。このレスポンスの早さ、スムーズさは特筆すべきものがある。


BluOSアプリは日本語でも検索が可能。目当ての楽曲にすぐたどり着ける
音質についてはどうだろうか。正直に話すと、NODE 2iのスタイリッシュなデザインさから、試聴前は低域と高域が持ち上がる若干コンシューマー寄りの音なのかな、と思っていた。ところが、オーディオファイルでも納得できるようなフラットな帯域バランスを持つ正統派サウンドである。イントロのエレクトリックシンセサイザーには透明感があり、低域方向のfレンジも広く鈍重にならなずキレが良い。


自宅のシステムにNode 2iを持ち込み、ストリーミングサービスを快適に試聴!
次に手持ちのAndroidスマホを利用して、SpotifyからLiSAの「紅蓮華」を再生した。先ほどの絶対的な情報量やダイナミックレンジなどはないものの、エレクトリックベースやドラムに適度な迫力を感じ、LiSAの楽曲に共通する音数の多さと熱量によって支えられたメロディアスな音楽性をしっかりと表現する。


Spotifyの再生では、慣れたSpotifyアプリを使って再生ができるのでスムーズ
また、Amazon Music HDではよく聴く音源を「マイミュージック」として登録ができるが、これをそのままアプリ上でも利用できる。マイミュージックはスマホやPCも含めた複数のデバイスで共有できるので、よく聴く楽曲をどんどん追加していくことで、豊かなライブラリを構築することができる。これはサブスクリプションを利用することの最大の醍醐味と言えるだろう。

また、NODE 2iは高音質Bluetooth接続コーデック「aptX HD」にも対応しているので、家族や友達のスマホからワイヤレス簡単に再生できることも嬉しい。双方向Bluetoothを活かして、高音質なワイヤレスヘッドホン再生も可能だ。

手元のローカルサーバーにハイレゾやCDリッピングを所有している場合も、もちろんその再生音を楽しめる。最後はパソコン版の操作アプリを立ち上げ、パソコンのSSDに保存したハイレゾ楽曲ファイル、ジョン・ウィリアムズ「ライヴ・イン・ウィーン」は、フラットなトーンバランスと分解能があり、サウンドステージも広大。「ET」や「スターウォーズ」などの耳馴染みの良い楽曲をダイナミックかつ押しがある音で楽しめた。


PCのアプリでもまったく同じ操作性が実現できる
まとめると、NODE 2iは、まず絶妙なデザインとサイズ感が魅力。現代のライフスタイルに自然と溶け込むオーディオシステムだが、音質的なグレードは最上級。そしてスマートフォンやタブレット、パソコンと高い親和性でストリーミングやハイレゾファイルの再生を可能とするなど、新しい再生手法の要所をしっかりと押さえている所がストロングポイント。

また、ソースに忠実な音色/音調も魅力だが、同社には、1972年に設立された英国のオーディオブランド「NAD」やカナダの著名スピーカーブランド「psb SPEAKERS」所属の技術者が数多く参画しており、アンプ周りの技術やスピーカーの音響設計のノウハウにも長けていたのである。

スリープタイマーやアラームなどライフスタイルに彩りを与えてくれる機能も備わる。

いまオーディオ機器を使用している方であれば、NODE 2iを追加することでストリーミングサービスを手軽に高音質化できる。CDリッピングや本体内部に音源を格納したい方はVAULT 2iを、好きなスピーカーと組み合わせシンプルにシステムを組みたい方はアンプ内蔵のPOWERNODE 2iをおススメしたい。

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