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【特別連載 第1回】Ritek Pro“CG”/「音楽業界のプロが絶賛」

プロ御用達「That's」を彷彿、オーディオファン垂涎の高音質・高信頼性ディスクがRitekから誕生

公開日 2020/04/27 10:04 PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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■プロも目を見張るハイレベルな完成度

かつて、スタート・ラボが販売するThat'sブランドが、業界で最も信頼性の高い高品質のモデルとして多くのBtoBカスタマーに採用されていた。そのThat's亡き後、残念ながら技術面・品質面から同等のレベルにあると呼べる商品が存在しなかった市場に、BtoBカスタマーの厳しい要望・要求をひとつひとつクリアして誕生したのがRitek Professional with“CG”Technologyだ。はたしてどのような商品なのだろうか。

特筆すべきは、オリジナル音源に迫る再生音の完成度だ。音楽業界ではいかに原音を忠実に録音・再生できるかが重要なポイントとなる。白川氏から突き付けられた「音に色づけがないこと」「高域から低域までフラットに」「ディスクにソリがない」などの厳しい課題を次々に改善。前記したように、要求を満たすために作られた商品サンプルの数は60を超え、開発には約9カ月を要した。

「こと印刷の質に対してはThat'sと遜色ないレベルにある」と高評価を集めるプリントされる面の改善も見逃せないポイント。鮮明な発色を可能とし、プリントの細部に至る再現性を極限まで高めている。速乾性にも優れ、プリンターメーカーからもお墨付きを得た。

また、プリントされる面の完成度を高めるため、複数のプリント面をサンプルとして準備し、比較評価を進めていく中で、一色にベタ塗りした際、ディスク内周に白いリング状の円ができる現象が見つかった。「White ring」と呼ばれるもので、他ブランドでも同様の現象が確認されている。

他ではこれまで解決できていないこの問題に対しても、Ritekでは2カ月以上をかけ、さまざまなデザインによる試作品を作り検討を重ねた。その結果、Injection moldの改良により改善できることを究明。さらに1カ月強をかけて改善に取り組み、スタンパーの形状そのものを作り変えることで、White ring問題を見事に解決してみせた。黒一色のベタ塗り以外ではあまり目立つことのない現象なのだが、そこにはBtoB市場の厳しい要求にあまねく応えていこうとするRitek技術者の執念と技術レベルの高さを伺い知ることができる。

写真左のベタ塗りのディスクには、中心に近い部分に白いリング状の模様が確認できる。これが“White ring”だ(もっともわかりやすい黒ベタで印刷)。写真右の「Ritek Pro“CG”」ではこの問題をも解消。White ringが一切確認できない

ディーアンドエーミュージックでCD-Rデュプリケートの現場に立つオペレーターの戸田久美子氏も「表面の印刷面は文句のないレベル。これまで扱ってきたディスクの中でも一番ではないでしょうか。特にエプソンのインクジェットプリンターとの相性がよく、発色が実に素晴らしい」と舌を巻く。また、「ディスクを持った感触からはエッジにバリがありません」と指摘する。金属や樹脂などの素材を加工する際に発生する素材の出っ張りや突起が“バリ”だ。普通のオーディオユーザーが1枚、2枚と手にするレベルなら何ら問題はないが、「業務用で一日に数百、数千枚と扱っていると、バリがあると持ちづらくて手が疲れてくるのです。また、ディスクの中央部の穴の開いた部分に指を入れて持ちますから、指がささくれ立ってしまいます。それがありません」と目を丸くする。

有限会社ディーアンドエーミュージック オペレーター・戸田久美子氏

バリは金型のメンテナンスにそもそも起因するもの。すなわち、プレスされるソフトがキレイに抜けている証であり、品質にも影響してくる大事なポイントと言える。優れた成形精度はディスクを重ねて比較すると大変わかりやすい。写真のように、右側のディスクは成形精度にバラつきがあるため、重ねた時に同じ枚数であっても高さが違ってくる。ソリがあるからだ。しかし、左側のRitek Pro“CG”は見事に均一、高さが揃っている。また、Ritek Pro“CG”の方が高さ(厚み)があることがわかる。「これはレコードの重量盤のように、安定していて、精度が高いことを意味しています」とのこと。

左側2列がRitek Pro“CG”、右側3列が他社、いずれも200枚のディスクを重ねたもの。写真ではわかりにくいが、Ritek Pro“CG”では高さが一定なのに対し、他社はディスクに反りが発生したり、厚みが微妙に異なったりするため高さが不均一だ。普段は気付きにくいが、200枚重ねることで、ディスク製造における精度管理の差が如実に表れる

RitekではRitek Pro“CG”を専用ラインで製造する。白川氏は「金型、それを回すスピード、温度まで、ラインごとに最適値が存在します。ベストの条件を目指すなら、ラインは変えないで固定しておくのが理想です。フルキャパで微調整をしながら、ずっと回しているのがよいのです。その意味からも専用ラインにする効果も出ていると推測されます。それは、製造に携わる人についても同じことが言えますね」。

■BtoC市場で試されるディスクの存在価値

2020年1月21日、晴れてRitekより新製品Ritek Pro“CG”が初出荷された。CD-Rに4商品、DVD-Rに4商品を揃え、市場の要望に応えて随時ラインナップを拡充していく構えだ。

業務用CD-Rに4商品、DVD-Rに4商品のラインナップを揃えてスタートを切った「Ritek Pro“CG”」。商品名のCGはCircle Guardingの頭文字

白川氏はしみじみと振り返る。「例えば、材料のポリカーボネイトが1%値上がりしたとします。日本メーカーなら、たとえ価格が1%の値上げになったとしても、そのままの品質は維持したいと考えます。ところが海外メーカーは、それなら材料を1%少なくできれば、コストダウンができ、価格を値上げしなくて済むと考え、しかも、それを相談なしに実行してしまうのです。結果として、多少品質は落ちてしまいますが、材料は値上がりしたのに、価格は変えることなく商品を提供できる。コストパフォーマンスを何より重視するのが海外メーカーの美学なのです。ものづくりに対するこの温度差は物凄く大きかった。その溝を埋めることができたからこそ、Ritek Pro“CG”は商品化を実現できました」。

「しかし、大事なのはこれから。もっとわかりやすい表現や工夫が必要になります」と訴える。BtoB市場ではディーアンドエーミュージックのサポートもあり、音楽業界を中心に順調な立ち上がりを見せるRitek Pro“CG”だが、「当然、次のターゲットとなるのは一般市場です。そこでのブランディングには貢献できませんが、広告塔としてのお手伝いはできます。CD-R市場にしてもその文化をもう一度盛り上げていけるような仕掛けが必要です。CDの音質でどこまでドライブすることができるか。そんなこだわりに興味を持ったオーディオファンはいっぱいいますからね」。

輸入元・販売元は、これまでRitekとの取り引きもあり、記録メディアビジネスに37年にわたって携わる老舗「RiJapan株式会社」に決定した。「新たにBtoB市場への本格参入にチャレンジしたい」と意気込む同社代表取締役社長・日野剛氏。官公庁、医療業界、デュプリケーター、文具、企業、学校、出版関連、EC等に向け、認知度向上への今後の施策が期待される。同時にメディアへのアナウンスや広告、展示会への出展等、BtoC市場への展開を視野に入れた具体的な施策立案も急務となる。

次のステップを駆け上がるためには、Ritek Pro“CG”商品化を実現するに至ったRitekの品質管理体制やサービス管理体制を継続し、さらに信頼度を高めていくことが不可欠となる。「やっとここまで来ました」と語る揚氏は「大事なのはやはりVOCです。業務用CD-R、DVD-Rに続き、音楽業界からさらにプラスαしたさまざまな分野、業界へどう翼を広げていけるのか。設備産業としてボリュームをあげていくためには、BtoCへの取り組みも欠かせません。Ritek Pro“CG”の技術的な優位性をきちんと認知いただく創意工夫が求められるでしょう。Ritekとの意思疎通が重要となることは言うまでもありません。さらに一段上のサービス実現を目指し、市場での信頼を積み上げていきます。ぜひ一度、Ritek Pro“CG”を実際に使用する機会をお持ちいただき、ひとりでも多くのお客様から賛同を得られる商品、ブランドに成長させていかなければなりません」とさらなる飛躍を誓う。

年末商戦へ向け、BtoCの展開へも意欲を見せるRitek Pro“CG”。次回(5月)、連載企画「第2回」では、画期的な高音質・高信頼性を備えたディスクを実現させたRitekとはどのような会社なのか。さらに一歩踏み込み、Ritek Pro“CG”を生み出す素地を備えた同社の歴史や台湾本社の製造現場、さらに、さまざまなデータから解き明かされたRitek Pro“CG”の実力を解き明かしていく。


(協力:Ritek)

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