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オーディオの常識を覆すフレンチブランド

「DEVIALETを最も多く売った店」で聴く、その魅力。川又利明氏(ダイナミックオーディオ)×山之内 正対談

公開日 2019/10/25 06:30 季刊・オーディオアクセサリー編集部
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■再生装置の「向こう側」を再現する

これまでの常識から行くと、駆動力を求めようとすれば必然的にそのサイズは巨大となるというのがオーソドックスなアンプの考え方だった。だからこそ、HIRO ACOUSTICとTa.Qu.To-Zero、この2つのハイエンドスピーカーで聴いたことで、「良いスピーカーはさらに良く」というデビアレの持ち味が際立ってくる。

山之内 「この2つのスピーカーで聴くデビアレには、良いなと思う共通点がありました。ひとつは “よく歌う” んですよね。これは歌手に限らず、チェロだったりクラリネットだったり、あるいはサックスだったりと、なんでも良いんですけど、クリアな音ではあるんだけども、パッションやエモーションが感じられない音ということがありますよね。だからこの“よく歌う”というのは大事なことです。今回この音を聴いて、川又さんはオーディオに対してこの“歌の要素”を大事にしているのかな、と思ったわけです。

それともうひとつ、固有の音色というか、チェロでいえば深みのある低音だったり高音域のつややかな音色だったりだとか、そうした部分がすごく良く出てくるのということ。つまり、演奏を聴く上で、あまり楽器の音そのもののことに気をかけないで演奏に入ることができる音だな、と思いました」。

再生装置の向こう側、演奏にあるアーティストの個性なり魅力が鮮明に聴こえて来る音という、極めて高い次元での音を川又氏は目指している

川又 「それは、再生装置のカラーやバイアスがかかっているということではなくて、その再生装置の向こう側、演奏にあるアーティストの個性なり魅力が鮮明に聴こえているということであれば、非常にありがたい評価ですし、それが私の目指している音でもあります」。

山之内 「演奏者が“本当はここまで伝えたかった“という部分は、実は届きにくいということがある。これはなかなか難しい問題ですが、その解決のためには、川又さんが今おっしゃった録音に入ったものを忠実に聴かせるということはもちろん音楽的に重要なポイントです。

それと、もうひとつ重要だと思ったポイントが、ハーモニーがすごくきれいということ。ハーモニーの一部がすごく弱くなってしまったり、音色的に特定の部分が広がってしまったりして乱れることが多いのですが、この今日の組み合わせでは録音の、演奏している人の伝えたい情報、それとハーモニーがよく聴こえてきた。これにはとても感心しました」。

川又  「先生がおっしゃったハーモニーに関しては、私が思うにスピーカーとアンプのなかで行う空間情報のなかに含まれるものだと思うんです。だから音像がしっかりでていて、定位がしっかりしていないと行けない。それと輪郭がしっかりとしていると奥行きも出てくるですよ。この三次元的なことがちゃんとでていると、ハーモニーも出やすいと思うんですね」。



川又氏も山之内氏も、両名に共通することは、オーディオのその先にある演奏者の思い、そして音楽そのものの魅力を聴きたいという思いだ。今回の試聴の中心となったデビアレのEXPERT PROは、独創的なテクノロジーと音楽に対する感性を持つ製品である。

なお、今回のHIRO ACOUSTICのMODEL-CCCSとY'Acoustic SysytemのTa.Qu.To-Zeroを見事に鳴らしたEXPERT PROは、ダイナミックオーディオ5555 H.A.L.にて試聴が可能となっている(要予約)。この「音楽的な静寂」で見えてくるその世界を、ぜひ一度体験してみて欲しい。

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