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「Alexa」の日本語対応能力や使い勝手は?

ついに日本上陸! Amazonのスマートスピーカー「Echo」ファーストインプレッション

2017/11/17 Yoshiki Ono
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ついに日本に上陸した、アマゾンの音声アシスタント機能「Alexa」対応スマートスピーカー「Echo」(関連ニュース)。そのファーストインプレッションをお届けしたい。

Amazon Echo

■初期設定はスマホアプリから

Amazon Echoはサイズやスペックの異なる3モデルをラインナップしているが、今回試したのはシリーズのなかのスタンダードモデル。ファブリック調で質感もよく、インテリアに馴染みそうなデザインという印象だ。

ペットボトルとのサイズ比較

Google Homeとのサイズ比較

箱には本体と電源ケーブル、簡単なマニュアルが入っているだけというシンプルな構成。電源をつなぐと天面のライトリングが点灯し、まずスマートフォンで「Alexaアプリ」をダウンロードし、インストールするよう音声で案内してくる。

開封したところ

最近のAV機器やガジェットはどれもそうだがコンセントの位置争いが悩ましい

初期設定および各種設定変更は、このAlexaアプリで行う。まず自分のAmazonアカウントとパスワードを入力し、ガイダンスに従ってEchoをWi-Fiに接続。スマホと同じWi-Fiネットワーク下にEchoがあれば、ひとまずEchoを使える状態になる。ガイダンスに沿っていけばそれほど迷うことはないだろう。

各種設定はAlexaアプリから行う


自分のスケジュールやニュースの読み上げ、音楽再生などをできるようにするのもアプリ上から設定を行う。例えばカレンダーアプリはGoogle、Microsoft、Appleのどれを使うのか、ニュースはどのサービスの「スキル」(Alexa用のアプリ)を購読するかといったように選んでいくわけだ。

連携させるカレンダーの選択画面

「スキル」を選んで機能を追加していく

なお、各種操作を命令する際には「アレクサ、○○して」といった具合に初めに「アレクサ」と呼びかけることになるわけだが、このウェイクワードをアプリから変更することも可能。Alexa/Amazon/Echo/Computerから選ぶことができる。当たり前だが、さすがに自由入力で「OK,Google」や「Hey,Siri」に設定することはできない。

ウェイクアップワードは変更可能

ニュースは、NHKラジオをはじめ様々なメディアがすでに参加している。ラジオ番組そのままにアナウンサーが読み上げるNHKラジオなどのようなものと、テキストデータで提供されたニュースをアレクサの音声が読み上げるスタイルのものがある。

先日開催された発表会では、日本語でも自然な抑揚やイントネーションなどを実現したとアピールしていたが、実際に使ってみると、率直に言ってまだそこまでのレベルには達していないという印象で、少し違和感はある(テレビ番組「モヤモヤさまぁ〜ず」のナレーションのようだと言えば分かっていただける方もいるだろうか)。このあたりは今後時間が経つにつれて改善されていくだろう。

ちなみに、ニュースは各社スキルの優先順位をアプリから自分で選択する必要がある(※デフォルトでは新しく追加したものが最優先される)。例えば「NHKラジオニュース」「TBSラジオニュース」「アニメ!アニメ!ニュース」という順番でニューススキルを並べた場合、「アレクサ、今日のニュースは?」と呼びかけた際にNHK、TBS、アニメアニメといったように、順番に各サービスのニュースが読み上げられる。

つまり、例えば「昨日のアニメ関係のニュースは?」と呼びかけても「アニメ!アニメ!ニュース」が読み上げられるわけではなく、まずNHKラジオのニュースから聞かなければならない。また、「○○の事件のニュースを教えて」などのようにピンポイントでニュースを探すことも現時点ではできない。このあたりも今後の改善に期待したいところだ。

ニュースなどのスキルは優先順位を自分で設定する

また、初音ミクと音声会話ができる「Hey MIKU!」などニュース以外のスキルも多彩。ローンチ時点で265ものスキルを揃えており、すぐに自分で機能拡張できる点はライバルであるGoogle Homeにないメリットだ。

■音楽再生能力を試す

音楽はAmazon Music Unlimited、Amazon Prime Music、dヒッツ、そしてTuneinの各サービスを利用可能。「アレクサ、○○の曲をかけて」と音声操作で音楽を楽しむには、これらのいずれかのサービスに加入しておく必要がある。他の音楽配信サービスの参入にも期待したい。

なお、音楽は基本的に上記サービスからのストリーミング再生のみに対応している。PCやスマホ、NASなどに保存してある音楽ファイルを再生することはできない。

Amazon Echoは上部にボリュームなどの物理ボタンを装備。Google Homeは天面タップで音楽再生/停止などのタッチ操作ができる

だが、上記サービスに加入してさえいれば、Echoでの音楽再生の楽しさはかなりのもの。スマホでSNSをチェックしながら「アレクサ、80年代のヘビメタをかけて」などのように音声で音楽再生できるのはなかなか快適だ。「何か曲をかけて」という曖昧な指定でも、履歴などから最適なプレイリストを再生してくれる。

「ユーミン」や「イエモン」、「三代目」などのようなミュージシャン名、「ボカロ」「ヘビメタ」のようなジャンルの省略形にも対応。「乃木坂」などのように一般名詞と判別が難しそうなものもキチンと判別できたほか、「布袋」で布袋寅泰も再生できた。

一方、「エレカシ」も認識してくれたが、「エレファント・カシマシ」ではなく「エレフアント・カシマシ」という具合に、拗音への対応がイマイチなケースにも遭遇。また、「ももクロ」「ラッド」「ジュディマリ」「オザケン」などは認識しなかった。ジャンル名では今のところ「アニソン」や「ビジュアル系」も認識できないという状況だった。

そのほか細かいところでは、カバー曲が多いような場合、単純に曲名だけで再生を指示しても、オリジナルのアーティストの楽曲が一発でヒットしづらい傾向にある。例えば「今夜はブギー・バック」ではボーカロイドカバーのものが再生された。

■音質や音声認識能力は上々

なお、スピーカー部は専用トゥイーターや2.5インチ ダウンファイアーウーファーを搭載。ドルビーのプロセッシングを採用することで「部屋全体に鮮明なボーカルとダイナミックな低音レスポンスを実現する」としている。

その言葉通り、この種の製品にしては音楽再生時の音質もなかなか良好。バンドものではバスドラムやベースの低音をしっかり味わえる。かといって無理やり低音をブーストしているような印象でもない。また、リスニングポイントも広く、部屋のどこにいても音楽を同じように楽しめる。

なおAmazon Echoは、AUX端子も搭載。DAPやスマホなど外部の音楽プレーヤーを有線で接続して音楽を再生することもできる。手持ちのオーディオ機器を使って、より高音質な音楽再生ができるわけで、外部出力端子を持たないGoogle Homeに対する明確なアドバンテージと言える。

AUX端子で外部機器用スピーカーとしても利用できる

こちらからの呼びかけに対する音声認識精度もなかなかなのもの。遠隔音声認識技術と7つのマイクアレイ、ビームフォーミング技術や自然言語処理、機械学習によって、雑音が多い環境でも、部屋中のさまざまなところから発せられる音声を明確に聞き取れるようにしている。

反応速度も思っていたよりは悪くない。発表会でのデモを見ているときには「少し待たされる感があるかな」と感じていたが、今回のテスト環境下では1秒かかるかどうかといったレベルで「○○を再生します」と答えが返ってきた。

他のBluetoothスピーカーから音楽を再生した状態で呼びかけてみたが、それほど大きな声を出さなくてもちゃんと反応する(ちなみに記者は「OK,Google」の発音が悪いのかGoogle Homeとの相性はイマイチだったりもする)。加えて「アレクサ」のあとに一呼吸置かず「アレクサ○○して」と続けて話しても意外と高いレベルでちゃんと反応してくれた。天面のライトが結構目立つ光り方をするのも、個人的には「ちゃんと反応しているな」と確認できるので好感を持った。

反応時は天面のライトが点灯

今回は家電連携などスマートホーム系の機能までは試さなかったが、それでも現時点で充分に楽しむことができた。「スキル」を投入するサードパーティもどんどん増えていくだろう。

前述した「ニュース」スキルの問題や、日本語対応力では漢字の音読み訓読み判断能力もまだ甘いなど正直に言ってまだ不満を感じる部分も多々あるが、今後が非常に楽しみなデバイスであると言えよう。

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