<連載:折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト>

PS VRでBlu-ray 3D視聴が可能に! 3D効果や画質をAVファン目線で早速チェックした

折原一也
2017年03月09日
国内で入手できるVRデバイスの代表格である「PlayStation VR」(以下、PS VR)。その最新アップデートとして、PlayStation 4における「システムソフトウェア バージョン4.50 "SASUKE(サスケ)"」よりBlu-ray 3D再生機能が実装された(関連ニュース)。

PlayStation VR
 
PS VRをAVファン的に解釈すると、1,920×1,080ドット、RGB×両目の情報量をもったHMD(ヘッドマウントディスプレイ)。通常の2DのBDの再生機能は、映画館のような大画面が目の前に浮かぶ「シネマティックモード」として提供されてきた。その機能に、新たに3D再生機能が搭載されたかたちだ。

よくよく考えてみると、PS VRで3Dを上映するというのは、いくつもクッションのある動作だ。と言うのも、VRには元々左右の目に向けた情報が必要なので、飛び出し感を利用するかどうかはともかく、実際に見えているのは奥行き感を持った3D空間なのだ(VRの映像体験としては、頭部にトラッキングする360度視点がメインだが)。

もっと言うと、PS VRに搭載されている「シネマティックモード」は、2D作品の上映でも仮想的にスクリーンを表示してくれるが、“目の前にスクリーンがある”と知覚するのは3Dの仕組みと同じ。その空間を利用して3Dタイトルを上映となると、“どこに3Dなのだ”というツッコミもしたくなるが、そこも踏まえて体験してみよう。

PS VRでBlu-ray 3D版の『バイオハザード:ザ・ファイナル』を視聴

まず、PS VRでどうやって3D再生をするのかと言うと、2D映像のBDと同じくPS4にセットして標準のプレイヤーでセットするだけだ。昨今のBDは2D版と3D版が別々のディスクとして同梱されているので、迷うことはないだろう。

PS VRを装着した筆者

今回視聴したのは、3月22日に発売される『バイオハザード:ザ・ファイナル』だ。言わずとしれた同名の人気ゲームを原作とする、ミラ・ジョヴォヴィッチ出演のゾンビ映画のビッグタイトル。ちなみに同作にはタレントのローラも出演している。今回の視聴のために、特別に発売前のディスクを用意していただけた。

『バイオハザード:ザ・ファイナル』ジャケット

3Dディスクを入れると、「3D信号に切り替わりました。」とメッセージが表示される

「シネマティックモード」で再生されるディスクで、アクションシーンを中心に視聴する。…たしかに3Dの体験、もっと言えば“3D視聴”らしい体験だ。高所からゾンビ達を見下ろすミラ・ジョヴォヴィッチのシーンでは、手前の位置と眼下のゾンビとの距離感は“3D視聴らしい”立体化を持たせて再現。ローラが登場するアクションのシーンを見ても、背景と俳優との位置感がより鮮明に、距離感を持って現れる。

『バイオハザード:ザ・ファイナル』を視聴中。画面は加工されているが、ローラの勇姿が映し出されている

最近の3D映画のトレンドとして3Dらしい立体感をあまり付けすぎない傾向にあるため『バイオハザード:ザ・ファイナル』も全篇飛び出す事ということはないが、まさしく狙い通りの3D効果は出せている。“どこに3Dなのか”という問いに対しては、やはりスクリーン上に3Dが再現されるというまっとうな答えになる。ちょうど劇場の3D映画を見ているのと同じだ。

もっとも、劇場で3D映画を見れば判るが、作品に没入しているとスクリーンという“面”の存在は忘れてしまうので、PS VRでも全く同じことが起きる。つまり、それ以上にPS VRだからといって特別な飛び出し加工効果などはない、という事。個人的にはPS VRらしさ、HMDらしさとして、飛び出し感の調整機能があれば面白かったかなと思ってしまった。

AVファンのBlu-ray 3D再生デバイスとしても実用レベル

PS VRでは、3D視聴に限ったことではないが「シネマティックモード」の表示設定として「大」「中」「小」を選択可能。「大」は映画館の最前列のように首を動かさなければ画面全体を見えない水準、「中」は画面全体をちょうど見渡せるほぼベストポジション、「小」は劇場の最後列といったところ。

AVファン的な見え方としてとしてどうか? と言うと、2D的な画質で言えば「大」で見たほうがくっきりしていて、「小」にすると映像の輪郭に粗さが現れる(逆ではないことに注意)。PS VRのパネルは1,920×1,080ドット、RGB×左右両目分で1,920×1,080ドットだが、スクリーンをシミュレートして、というステップを踏んでいて、空間を大きく取るほど荒く見えやすくなるようだ。

ただ、これは2Dの時から指摘されていたことだし、3Dとしての効果は同じくらい。3Dの立体感のインパクトとしては位置の近い「大」の方が効くが、スクリーンの端が見切れるのは3Dとしては今ひとつだし(そこに首を向けて見るというのがVR的な体験でもある)、字幕の問題もあることから「中」くらいに落ち着くことになるだろう。

AVファンとして気になる点として、ソニーが販売していたヘッドマウントディスプレイの「HMZシリーズ」と比べるなら、PS VRは色温度の高さ(青っぽい)や色濃度、暗部階調といった面でシネマ的ではない(調整機能もない)というのはマイナス。逆に「HMZシリーズ」にあった、パネルのドットが見える問題はないので、実用レベルで使えるアイテムだと思う。

ただし、3D用になるとプレーヤーは必ずPS4になるが、PS4には2D映像を3Dに変換して表示する2D-3D変換(AVファン的にはこの言葉も懐かしいのだが)機能は搭載されていない。薄型テレビによる3D表示が下火になった今言うのも何だが、PS VRをHMDとして使うことになると、2D-3D変換は欲しかったところだ。

今回の取材にあたってはYouTubeで公開されているVRタイトルの体験もさせてもらったが、やはりVRの360度映像体験は、率直に言ってかなり面白い。PS VRは、普通にVRデバイスとして欲しくなる(抽選に落ちて未だ買えない…)。

YouTubeにある多数のVRコンテンツも楽しめる

一方AV的な観点からいうと、やはり日常的に、継続的に使うものとしての動機が欲しかったのも事実。そんな時に"SASUKE(サスケ)"で提供された3D再生は、死蔵されがちだったBDパッケージの3Dディスクを有効活用できるという意味で、かなり嬉しいアップデートだ。

360度の映像体験はVRの魅力

さあ、これでAVファンの皆さんPS VRを購入しよう! と言ってもまだまだ国内在庫が品薄で買えないのだが、AVファンとしても“買い”のアイテムになってきたということは伝えておこう。

*画像は開発中のものです

(折原一也)

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