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【特別企画】FS U5 SLIM/BS U5 SLIMを試聴

エラック「Uni-Fi SLIM LINE」を聴く ー 名匠が手がけた同軸ユニット搭載スピーカー

公開日 2017/02/17 11:26 山之内 正
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音場の透明感の高さという点では、『プルチネルラ』との相性の良さを強調しておくべきだろう。それぞれの楽器のリアルな音像が眼前に浮かび、旋律の掛け合いや奏者の息遣いまで、生々しく再現する。

タピオラ・シンフォニエッタはその名から想像できる通りフィンランドの演奏団体だが、旋律の歌い方やリズムの取り方を奏者全員が見事に共有しており、アンサンブルのうまさが際立つ。古楽器演奏にも通じる切れの良い躍動的な表現は、鈴木雅明の独壇場である。その動きがもたつくことがなく、リズムの動きを忠実に再現することにも注目したい。

BS U5 SLIM

「Seals」の録音はどちらかというと音像が大きめで低音にエネルギーの重心があるため、量感重視のスピーカーで再生すると良さが伝わりにくい面がある。FS U5 SLIMや本機の再生音には鈍重さがなく、特にブックシェルフ型の本機で聴くとピアノ、ベース、ドラムのそれぞれが自然なサイズのイメージで並び、ほぼ等身大のサウンドステージが広がる。一音一音のアタックが鮮やかに決まることもあって、心地よいテンションの高さが伝わってきた。

背面からみたところ。中央にバスレフポートを配置

ムジカ・ヌーダのデュオは、一音一音の鮮明な発音と中低音域の潤いが両立したヴォーカルが一番の聴きどころだ。テンポと音程を正確に刻むベースはどの音域でもヴォーカルにかぶらず、歌の表情と音色のニュアンスがマスクされずに素直に浮かび上がってくる。このデュオの録音はこれまでさまざまなスピーカーで聴いてきたが、BS U5 SLIMが奏でる表情の豊かさと切れの良い低音は、小型スピーカーのなかではトップランクに評価すべき水準に達している。



アンドリュー・ジョーンズが理想とするのはどんな音なのか。これまでに彼が手がけた製品の音や本人の言葉を通じて、筆者はかなり具体的に把握しているつもりだ。今回のUni-Fiシリーズの音は、明らかにその志向と一致している。ベテランのエンジニアが会心の作と自認するに違いない出来映えである。

(特別企画 協力:(株)ユキム)

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