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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第171回】「イヤーピース交換」を極める! “最低コストで最大効果”のイヤホンチューニング

公開日 2016/11/18 10:50 高橋敦
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Sony トリプルコンフォート|独自シリコンフォーム+シリコン
ソニーというメーカーはこれまでにもイヤーピースに強いこだわりを見せてきた。軸と傘でシリコンの硬さを変える「ハイブリッドイヤピース」を打ち出し普及させたのもソニーだし、シリコンの傘の下にフォームを埋め込んだ「ノイズアイソレーションイヤーピース」という試みもあった。

そのソニーの新作がこれ。…傘の部分に何というか、従来のフォームとは違ってシリコンのようにしっかりとした形を持っていて、でもシリコンとは違う優しい弾力や肌触りな独自シリコンフォームが使われている。

構造としては従来の「ハイブリッド」と同じで軸も同じく硬めのシリコンだが、傘の部分が新素材

何しろ見慣れないのでまだ違和感はあるが…

実際に試してみての印象としては、
「装着感、優しい」
「遮音性、悪くはならない」
「音質面、フォームなのに普通」

といったところ。

装着感の優しさはかなり心地よい。コンプライのふわっとした柔らかさもよいのだが、柔らかさに加えて軽い弾力も感じられるこちらもそれに負けない心地よさだ。またコンプライと同じくシリコンのものと比べるとお値段はお高いのだが、こちらは「水洗い可能」とまで明記してくるくらいだから、そういったお手入れをしつつしばらくは使い続けられる…はずだ。発売まもない製品なので実際の耐久性は未知だが。

遮音性も十分とは言ってよいだろう。T8iEの場合は本体とイヤーピースがどちらも独特の形状でそれらを合わせてのフィットで遮音性を稼いでいる部分もありそう。その合わせ技と関係ない普通の形で「悪くはならない」レベルを確保できているわけなので。

音質面では…フォームっぽさがない!少なくともコンプライと同系統とは感じない!今回試した中ではfinalのEに近い感触で、抜けや広がりは純正に半歩譲るが、帯域や空間の芯や密度の表現が立ってくる。そもそもT8iE+純正シリコンはイヤホンとしては最上級の広がり。それと比べて広がりが少し落ちることで「普通」に近付くので、その変化を「違和感が少なくなった」と感じる方もいるかもしれない。

形状、口径などがいちばん近いのもfinalのEなので、「シリコンと音の違いは出にくく、それでいてシリコンと異なる装着感やフィットを得られる素材」と捉えておいてよいかもしれない。

ここの口径の小ささや深さはfinal Eに近い

つまり純正付属と比べると口径は小さく深さがある

イヤーピース選びのまとめ
ということで今回はイヤーピース選びの意義、そして選ぶ際のポイントを、実際の人気製品や注目製品も例にしながら考えてみた。

一通り聴き終えて付け加えておきたいこととしては、特にスパイラルドットとトリプルコンフォートには、「これ他社のイヤホンに付けてもこのイヤーピースが標準装備されてる同社のイヤホンの音に少し近付くような…」と感じさせられた。各社のイヤホンの音作りの要素としてイヤーピースは小さくないようだ。

だからこそそこをあえて変える!効果も小さくない。最低コストで最大効果なイヤホンチューニング。それはやはりイヤーピース交換だ。

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