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アトモス/DTS:Xにも対応

5万円台で主要機能が全部入り。デノンのAVアンプ「AVR-X1300W」レビュー

公開日 2016/08/09 12:40 岩井 喬
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端子の数や配列においてもユーザビリティーに考慮

これは本機だけではなくデノンのAVアンプに共通する部分だが、ユーザーライクなポイントとして、横一列に配したスピーカーターミナルを用いて接続や確認のしやすさに気を配っている点が好ましい。特に本機では、映像系端子においてHDMI入出力以外の端子を極力排除した、潔くシンプルな背面パネルとしていることも合わせて評価したい。

スピーカー端子は一列配置で結線のしやすさにも配慮。端子数も絞っているため、接続も迷わない

現在の映像機器における標準的な端子はHDMIであり、エントリークラス機だからこそ、より手軽に接続できるよう配慮することが時代に寄り添うことに繋がる。入門層にとって多機能であることと発展性の高さを兼ね備えることも大事ではあるが、昨今の風潮を鑑みると普段使いの機能性に絞ることで使うことの少ない端子を省いてコストを下げ、リーズナブルな価格とすることの方がよりメリットが高いだろう。

ステレオ再生はすっきりソリッドにまとめられ、DSDの情報量も引き出す

視聴においては5.1chスピーカーにMONITOR AUDIO「Silver」シリーズ(「Silver 6」×2、「Silver 1」×2、「Silver Center」、「Silver W12」)を用意し、ハイトスピーカーにLINN「Classic Unik」をセッティング。ハイトスピーカーは試聴室の傾向と音質の感触として直上よりフロントハイトとして設置した方が印象が良かったため、やや変則的な5.1.2環境となった。なおBD再生機としてはパナソニック「DMR-BZT9600」を用いている。

フロントハイトを含めた[5.1.2]システムを組んで、AVR-X1300Wの音質をチェックした

まずステレオ環境でのサウンドチェックだが、フロントUSB端子に差し込んだUSBメモリー内の音楽ファイル再生を行った。すっきりとした爽やかなサウンド傾向で、高域はソリッドにまとめている。空間のクリアさも従来モデルより向上しているようで、低域も制動良い。クラシックの飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(96kHz/24bit)から聴いてみたが、ほぐれ良くハリのある管弦楽器の爽快な旋律と、深くリッチなローエンドの伸びを両立し、奥行き感の自然な響きを生み出している。

ジャズのオスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit WAV)では、ピアノの転がるような軽快で柔らかいアタック感を滑らかに響かせ、ウッドベースはむっちりとした胴鳴りを聴かせてくれた。スネアブラシの響きも粒立ち良い。

ロックのデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit WAV)では軽快なエレキギターのリフと、どっしりとしたボディの太さとビートのキレを両立したリズム隊との対比が心地よい。ボーカルはハリ良くスマートで明瞭な描写となる。

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