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【特別企画】エポックメイキングな製品群

Zonotoneの新境地。10周年記念ケーブル「Royal Spirit」を5人の評論家がレビュー

2016/08/02
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ZONOTONEの新シリーズの魅力を探る
かつてない拡がり感と鳴りっぷりのケーブル
新境地を切り開く出色のRoyal Spirit、遂に誕生



高品質な厳選された複数の導体を、独自の黄金比などのノウハウを用い、巧みなハイブリッド技術を込めてケーブルを作り続けるゾノトーン。来年10周年を迎えるにあたり、ケーブル界に新境地を開拓するエポックメイキングな製品群が登場する。

コンセプトケーブル「ROYAL SPIRIT」である。通常のラインナップとは敢えて音作りの狙いを変え、これまでにはなかった新たな音調を楽しませてくれるケーブルとして、今年の9月頃に発売の予定だ。果たして、その期待する描写性はどんな音だろうか。ここではこだわりの作り込みと特徴、魅力の表現性に切り込むとともに、いち早く聴いたオーディオ評論家によるレポートをお届けする。



ZONOTONE
Royal Spirit AC-1
RCA:66,000円/1.0m(税抜):XLR:70,000円/1.0m(税抜)※9月上旬発売予定
超高純度7Nクラス・4種ハイブリッド・DMHC-Duo・8芯×2 新コンセプト・インターコネクトケーブル
●導体構成:超高純度7NクラスCu 、高機能純銅線HiFC、高純度無酸素銅線PCUHD、高純度無酸素銅OFC ●構造:中心にポリエチレンで覆った天然綿糸を振動対策で配置。その周囲に4種類の異種線材・線径の導体に絶縁体を被せた完全独立の8芯導体を配置。これをホット・コールドの2芯としたDMHC方式 ●導体サイズ:5.0スケア×2 ●外部ジャケット:PVCの上に2色の強靱なナイロン編組を加えた2重●絶縁体:高純度ポリエチレン ●シールド:銅編組 ●介在:天然綿糸 ●外径:15.0mmφ ●端子:RCA→精密加工オリジナル。ニッケルメッキ・キャップ/24金メッキ・ピン。キャップ最大径14mmφ。XLR→ノイトリック社プロ用。接触部は金メッキ。端子最大径20.5mmφ※1.0m以上は0.5m間隔で特注可 ※インターコネクト1本で左右(L/Rch)の接続可能。分岐端子から端子までの長さは約20cm。機器側左右(L/Rch)端子間隔が40cm以上の場合接続は不可


「Royal Spirit AC-1」RCAタイプ

「Royal Spirit AC-1」XLRタイプ

ZONOTONE
Royal Spirit SP-1
¥130,000/2.0mペア完成品、Y/B端子つき(税抜)※9月上旬発売予定
超高純度7Nクラス・4種ハイブリッド・DMHC-Duo・8芯×2 新コンセプト・スピーカーケーブル
●導体構成:超高純度7NクラスCu、高機能純銅線HiFC、高純度無酸素銅線PCUHD、高純度無酸素銅OFC ●構造:中心にポリエチレンで覆った天然綿糸を振動対策で配置。その周囲に4種類の異種線材・線径の導体に絶縁体を被せた完全独立の8芯導体を配置。これをホット・コールドの2芯としたDMHC方式 ●導体サイズ:5.0スケア×2 ●外部ジャケット:PVCの上に2色の強靱なナイロン編組を加えた2重●絶縁体:高純度ポリエチレン ●シールド:銅編組 ●介在:天然綿糸 ●外径:15.0mmφ ●端子:厚手ロジウムメッキ・オリジナルY/B端子つき。精密で高品位なネジ止め設計。※切り売り非対応


Royal Spirit SP-1




■Royal Spiritのコンセプトとは?
ブランド誕生10年を記念した新たなコンセプトケーブル
TEXT/井上千岳

ゾノトーンのケーブルは、螺旋状の多芯構造を基本としている。D・M・H・Cと呼ぶ独自の構造で、複数の芯線をコアの周囲に螺旋状に巻きつけた形である。そしてそれぞれの芯線も単一導体ではなく、数種の線材を取り混ぜて形成している。しかも芯線ごとに線材の種類や比率が異なるという、非常に複雑な構成を採用しているのが大きな特徴となってきた。

このように設計されたゾノトーンのケーブルは、当然正統派の再現性を指向したものである。正統派というのは音調や音色に意図的な特徴を持たせるのではなく、正確な信号伝送を第一として作られた製品を指す。だから特定のテイストを始めから意識した製品作りは、同社では本来行われてこなかった。ただしひとつだけ例外がある。それがBlue Spirit-777シリーズであった。

Blue Spirit‐777は往年のジャズサウンドをイメージして重心の低い陰影の濃い音調を再現すべく、モダーン錫メッキ線と呼ぶ新たな線材を開発して3種類のハイブリッド導体を使用したケーブルである。最初から特定の傾向を意図して作られた製品を同社ではコンセプトケーブルと名づけているが、残念ながら線材のひとつとしてきたPCOCCの生産が打ち切られ、同モデルも生産終了となった。そしてその後を追うように、第2作として開発されたのがRoyal Spiritである。

ゾノトーンには、定評の通常ラインアップ以外に“SPIRITシリーズ”と銘打つ、設計ポリシーを異にする製品群がある。ケーブル設計技術の豊富なノウハウ、導体の特徴を最大限活かし、“積極的に楽しむケーブル”を提案したものだ。その第一弾「BLUE SPIRIT」は類い稀な表現力で強い人気を得た。しかしPCOCC導体の終了で同シリーズは生産完了。そこで、狙いの音調も新たに設計し、完成させた次なるSPIRITが、この、「Royal Spirit」シリーズである。「ケーブル」がオーディオの楽しみを広げるという、かつてない“ケーブルの新境 地”を開拓した「Royal Spirit」シリーズには、スピーカーケーブル1モデルとインターコネクトのRCAとXLRの2モデル、合計3モデルがラインアップされる。ケーブル部分は共通のものだ。太さの割りには柔軟な仕上げとなっている点も評価できる

ゾノトーンが誕生してから、来年でちょうど10年。RoyalSpiritにはその記念モデルという意味もある。そしてそこに込められたコンセプトというのは、これまでの同社にないものだ。

ゾノトーンのケーブルは、どちらかというと前へ出てくるタイプだし、安定感の高いレスポンスと力強いエネルギーを基本としていたように思う。Royal Spiritではこの点であえて大きな展開に踏み切り、ホールでの響きを念頭に広がりの大きな鳴り方を求めている。これがそのコンセプトで、音場のでき方にウェイトを置いた設計ということができる。

構造はやはりD・M・H・C方式だが、従来よりもさらに発展的である。線材は4種類で、7Nクラスの超高純度銅線、高機能銅線として知られるHiFC、新しい無酸素銅線PCUHD、それに高純度OFCとなっている。

これらの導体を線材・線径をさまざまに変えて組み合わせ、絶縁を施して8本の芯線を構成。これをひとつの大きな芯線として、ホット/コールドに1本ずつ配した途轍もなく緻密な構造を実現した。すなわち8芯×2。1本だけでも十分ハイエンドケーブルとして通用する芯線を、片側だけに使用した何とも贅沢な構成である。

絶縁は高密度ポリエチレン。天然綿糸の介在を充填し、銅編組シールドを施して厳重な二重ジャケットで仕上げている。なおスピーカーケーブルとインターコネクトケーブルは同一構造である

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