HOME > レビュー > Dynamic Motion「DM200H」を聴く - “世界初”の同軸2ウェイ・ハイブリッド型イヤホン

【特別企画】最新DAPと組み合わせて徹底解析

Dynamic Motion「DM200H」を聴く - “世界初”の同軸2ウェイ・ハイブリッド型イヤホン

公開日 2016/07/15 10:00 岩井 喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
「AK70」と組み合わせて各ジャンルとの相性も検証

試聴ではAstell&Kern「AK70」に直結状態で試してみた。まずクラシックのレヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜「木星」(CDリッピング)を聴く。管弦楽器が爽やかに浮き立ち、余韻もすっきりと伸びている。中低域のハーモニーは多少ふくよかな印象もある。ティンパニの打感もキレ良く、アタックと胴の響きがそれぞれバランス良く両立。適度な解像感と低域の深い伸びを実感する。

DM200Hのケーブルは、サエクとのコラボレーションによって実現したものだ

続いてハイレゾの飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜「第一楽章」(96kHz/24bit)を聴いてみたが、弦の柔らかい旋律が艶滑らかに立ち上がり、管楽器のふくよかな音伸びと芯の硬さを爽やかに包み込む。ウォームな余韻感もほのかに感じるが、中高域の倍音感が適度な張りとなり、明瞭感も高く豊潤なハーモニーを堪能できる。ハイレゾならではのきめ細やかさと、空間の広がりの自然さ、余韻の階調表現も特筆できる。

ジャズ音源のオスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」(CDリッピング)はアタックの質感が柔らかく伸び良いピアノの自然なタッチが優しく耳元へ届く。ウッドベースの弦のたわみも明瞭に表現し、胴鳴りは堂々とした響きだ。スネアブラシは爽やかにハリ良く描かれ、太鼓のボディ感も自然に表現している。個々のパートは分離良く明瞭に立ち上がり、存在感たっぷりだ。

ロックのデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜「メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ」(CDリッピング)では、ブライトなディストーションギターが軽快なリフを聴かせ、わずかにかけられたリヴァーブ感もすっきりと感じ取れた。たっぷりと伸びの良いベースとドライで押し出しの良いキックドラムは、リズムをズンズンとリード。非常にパワフルで、かつ制動感も程よく持っているので粘りのあるビートが楽しめる。シンバルワークは澄み切っていて、スネアのアタックも適度な厚みがありきつさはない。ボーカルは口元のしわがれた細やかなニュアンスも丁寧に拾い上げ、リアリティの高いサウンドだ。

Astell&Kern「AK70」と組み合わせて基本的な音質を検証

リンドバーグ『V』〜「今すぐKiss Me」(96kHz/24bit)ではキックドラムの密度高く押し出し良い表現とベースラインのリッチさがシャープに抜け上がるボーカルやエッジ感くっきりのギターワークを下支え。この時代ならではの広がりを作るパッド系シンセとリヴァーブの爽やかな空間性もきちんと見えてくる。比較的音数が少ないバンドサウンドとの相性も良さそうだ。

そして本機の得意な分野として強くお勧めしたいのがアニソンである。Ray『Little Trip』〜「secret arms」(48kHz/24bit)ではキラキラとしたシンセフレーズの粒立ちを明瞭に引き出しながらも、きつさに繋がらない絶妙なサウンドバランス。加えてベース帯域のリッチな厚みが女性ボーカルの細さをうまくカバーしてくれるのだ。声の輪郭もシャープに描くため、キャッチーさに繋がるフックを作り出すための音数の多さも分離良くヌケ鮮やかに浮き上がってくる。スカッと爽快なシンセフレーズとドシッとしたベースの対比は盤石の安定感だ。

次ページ組み合わせるプレーヤーに素直に反応。低域はさらに追い込める

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: