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アニソンオーディオポータル:第4回

アニメ「AIR」の神曲をこだわりオーディオで聴く! 独自開発 “胸キュン指数”で絶対評価

2015/07/21 赤江ユウ
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ここからはキャラクターのテーマ曲を原曲としたイメージソング、そして挿入歌を取り上げていきたい。そのどれもがエース級、主題歌であってもおかしくないタイトルだ。


「夏影」


決して騒がしくなることなく、徐々に音数が増えていく
メインヒロイン神尾観鈴のテーマ曲を原曲としたヴォーカル曲。作詞・作曲はKey(麻枝 准)、編曲は岡部 亮。ピアノとヴォーカルをメインとしたスローテンポの楽曲は、活動的な夏とは違う、濃い緑の香りが大気を満たすような、ノスタルジアな夏をイメージさせる。静かな前半に対し、後半では音数が増え、さらに低音が加わることでオーケストレーション的な盛り上がりを見せる。「夏影 〜Cornwall summer mix〜」ではイギリスのCornwallの夏をイメージしたアレンジで、より壮大な仕上がりとなっている。音数を増やすのではなく、最後のサビを転調させたことによる盛り上がりがポイントだろう。

楽曲から漂う夏感は、「AIR」関連タイトルでも随一だろう。パソコン直出しでは【キラキラ=4】、【夏感=6】、【泣ける=4】。音色なども柔らかいものになっているが、悲しいかなパソコンでは表現しきれない。この曲で大切な余韻が、うまく感じ取れないのだ。一方で、オーディオシステムでは【キラキラ=6】、【夏感=10】、【泣ける=8】。これが、日本の夏。奥行きのある音楽に優しく包み込まれ、意識だけが幼き日にタイムスリップしていく。ふと、夏の匂いがした。


『月童』


歌声につけられた抑揚も余裕ある再生だと鮮明に感じ取れる
第二部SUMMER編のヒロインとなる、神奈備命のテーマ曲を原曲としたヴォーカル曲。作詞は大貫剛史、作曲は戸越まごめ、編曲はANANT-GARDE EYES。月明かりに照らされる静かな夜の情景をイメージさせる美しい楽曲で、どこか子守唄めいた印象も受ける。アコースティックギターとヴォーカルがリードするなかで、木や水を感じさせるようなナチュラルな音色が優しく響き渡る。

静けさがもたらす美しさを感じ取りたい楽曲だ。つまり、音量を上げることで余裕のない必死な感じが出てしまうと台無しになる。直出しでは【キラキラ=2】、【夏感=1】、【泣ける=2】くらい。小音量では小さな音が再生されず、大音量では全部の音が大きくなって静けさがなくなる。オーディオシステムでは、【キラキラ=5】、【夏感=3】、【泣ける=9】まで変化。音の大小の差がしっかり再現されることがいかに大事かを実感でき、音楽が深く、深く染みわたる。


「青空」


ヴォーカルを良く再現する、というシステムの指標となるだろう
挿入歌として作中でも使用された楽曲で、作詞・作曲は麻枝 准、編曲は折戸伸治。感動的なシーンのバックで流され、非常に多くのファンの涙を誘った名曲だ。タイトルや歌詞が、「AIR」という作品を最も表しているように感じられる。ヴォーカルだけのイントロが象徴するように、1曲を通してヴォーカルを最大限に聴かせる構成となっており、それ以外の音は主張しすぎることなくアクセントとして散りばめられている。「青空 〜Lia 1st Concert Lia's Cafe “Prologue” LIVE音源〜」はその名の通りライブ音源であり、よりヴォーカルの存在を強く感じられる。

ヴォーカルをどれだけ再現できるか、まさにそれ。パソコン直出しでは【キラキラ=2】、【夏感=2】、【泣ける=5】くらいだった。メロディがもう泣けるのでそれは良いのだが、「青空」というタイトル、言葉が抱かせる綺麗さが得られないのは痛い。小さくまとまってしまい、かといって大きくすればビリつくことがある。これがオーディオシステムでは【キラキラ=6】、【夏感=8】、【泣ける=10】。出だしを聴いた瞬間に、記憶がフラッシュバックした。あのシーンが色鮮やかに再現されていく。気づけば目を閉じ、音楽に没頭し、涙を流していた。




繰り返すが、この名作、名曲に対して語れることはそう多くない。それだけ思い入れが強く、結局は「観て! 聴いて!」とお薦めするに行き着く。ただ、夏に限らず今回取り上げた楽曲は年中聴いているが、オーディオシステムを用いて聴くことで新鮮に感じられた。最初に耳にした時の感動を、また享受することができた。それはとても価値のあることだと思う。なお、アニメのBlu-rayおよびDVDがコンパクト・コレクションとしてお求めやすい価格で発売されている。今回取り上げた「AIR」だけでなく、「Kanon」や「CLANNAD」、「CLANNAD〜AFTER STORY〜」もラインナップされているので、まだ見たことがないという方は即ゲット。鑑賞時はハンカチを忘れずに。

Liaが主題歌を担当する作品が、2015年も続々登場している。PCゲーム『Angel Beats! -1st beat-』、そしてTVアニメ『Charlotte』だ。これらの作品も、また我々に感動を与えてくれることは想像に難くない。これは見るっきゃないですよね。ともあれ、Key/ビジュアルアーツとLiaの今後の展開を、一ファンとして楽しみにしたい。

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(C)Visua lArt's/Key/翼人伝承会


■「AIR」コンパクト・コレクション
★本編(+特別編)の全話数をコンプリート収録!
★再エンコードによりディスク枚数を大幅に圧縮、コンパクトなパッケージを実現!
Blu-ray:PCXE.50415/\12,500(本体)+税/1枚組/本編12話+特別編2話(全14話)/336 分
DVD:PCBE.54533/ \6,000(本体)+税/2枚組/本編12話+特別編2話(全14話)/336 分




TVアニメ「Charlotte」のOP/EDテーマを収録したCDは8月26日発売!






TVアニメ「Charlotte」プロモーションムービー第3弾




赤江ユウ Yu Akae
主にアニメ・ゲームとオーディオの分野で活動中。気持ちの良い音・映像を求めて、2次元と3次元の狭間を漂う。都内の片隅にある6畳間から、庶民的な感性を発揮した文章を発信している。

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