自動車の様々なノイズ下でもハイレゾの魅力は味わえるか?

業界初の“ハイレゾ対応カーナビ”の音質は? ケンウッド「彩速ナビ Type Z」レビュー

野村ケンジ
2015年03月11日
カーオーディオの世界も、いよいよハイレゾ時代へと突入する。いち早くハイレゾ音源に対応、その先鋒を担うこととなったのがケンウッドの彩速ナビ「MDV-Z702」(関連ニュース)だ。今回の記事では、「MDV-Z702」の音質にフォーカスして詳細を紹介していこう。

200mmワイドモデル「MDV-Z702W」との2モデル

クラシックやジャズなどオーディオマニア向けのタイトルばかりでなく、Jポップやアニソンなど幅広いジャンルのタイトルが揃いつつあるハイレゾ。機器の方も高級ホームオーディオ製品ばかりでなく、ポータブルオーディオの世界にまで浸透しつつあり、今やかなりの数のユーザーが、その上質なサウンドを楽しみ始めている。

MDV-Z702

MDV-Z702W

しかしながら、カーオーディオの世界では、ハイレゾへの対応がずいぶんと遅れてしまっていた。それにはちゃんとした理由があって、そもそもカーオーディオは、車室内というオーディオに不向きな環境を克服するため、DSPを利用した音質/音場向上システムが発展させてきた。その恩恵もあってクオリティに関してはかなりの高みに達しているのだが、そういった複雑なシステムがかえってネックとなり、ハイレゾへの対応が遅れてしまっていたのだ。

プレーヤーがハイレゾ対応になればOK、と単純に行かないのが、カーオーディオならではの難しさ。ケンウッド「MDV-Z702」は、プレーヤー部分だけでなくDSPなどのデジタルシステムまでを大きくグレードアップさせ、完全なハイレゾ対応とした世界初のカーナビなのだ。

ケンウッドがハイレゾ対応カーナビの一番乗りを果たすことができたのは、いくつかのポイントがある。グループ内に音楽レーベルを有しているのは大きなアドバンテージだし、ホームオーディオからポータブル機器まで、幅広いジャンルでハイレゾ対応機器をリリースしてきた、JVCケンウッドならではのスキルの高さも大きいだろう。

ハイレゾ音源の再生時にはハイレゾロゴも表示される

しかしながら、最も重要なポイントとなっているのは、これまでもケンウッドがカーナビの音質についてこだわり続けてきたことだ。ナビ部とオーディオ部を筐体内でセパレートすることから始まり、彩速ナビというシリーズネームを冠するようになってからは、音質と共に映像のクオリティも追求するなど、機能性重視のカーナビに対してもケンウッドらしさ、常にクオリティを追求する姿勢を続けてきたからこそ、今日の「MDV-Z702」へと結実したといえる。

実際、「MDV-Z702」のディテールを見ていくと、ケンウッドブランドならではの音質に対する追求が随所に垣間見られる。たとえばハードウェアでは、セパレートシャーシや新・独立中点回路システム(専用回路により各パートの中点電圧を統一することでノイズの低減と安定した信号伝達を実現するもの)など、これまでに培った高音質技術を継承しつつ、新型パワーアンプICや薄膜高分子積層コンデンサ、低位相ノイズマスタークロック、低雑音&低歪率オペアンプ、独自開発した電解コンデンサなど、音質にこだわったパーツを厳選し、さらなる高音質を追求。さらに、AKM製Tripleコア浮動小数点演算DSPを採用し、全ソースの音源を192kHz/32bitにアップコンバートすることで、ハイレゾ音源の実力を確実に引き出すだけでなく、CDや圧縮音源などのサウンドクオリティも向上させている。

また、デジタルコントロールシステムについても、様々な調整機能が用意されている。リスニングポジション調整とフロントフォーカス調整がきめ細かく行える「リスニング設定」などはもちろん、圧縮音源やCDソースを高音質で楽しめる「K2テクノロジー」、圧縮音源を自然な音に近づけてくれる「リアライザー」などを搭載。そのほかにも、周波数特性の改善によって音像の位置を持ち上げて自然な広がり感を作り上げてくれる「サウンドライザー」など、車種や好みに応じた、様々なカスタムが行えるようになっている。特に「サウンドライザー」に関しては、秀逸のひとこと。数多くのクルマで音質&音場サンプルを取り、実際の効果について追求し続けてきたケンウッドだからこそ実現できたシステムといえる。

K2テクノロジーなど様々な機能を搭載

さて、ケンウッドが用意してくれたデモカーを借用し、実際にハイレゾ音源を再生して試聴を行った。なお、対応している形式はFLACとWAVで、スペックは192kHz/24bitまで。DSDには対応していないものの、十分なスペックといえるだろう。

いい。とてもいい。ハイレゾ音源ならではのきめ細やかな表現が、しっかりと再生されている。特に中高域は、解像感が高く、抑揚のニュアンスも丁寧なため、ボーカルの声がしっかりと届いてくるし、何よりも格段にリアルに感じられる。一方、低域再生にも大きなアドバンテージを感じた。フォーカス感が高く、突き抜け感があるため、グルーブ感の高いリズミカルな演奏が楽しめるのだ。

デモカーは、ユーザー自らがスピーカー交換を行った程度、いわゆるポン付けレベルのインストールで、実力のすべてを発揮できている状態ではなかったのだが、それでも充分に音質の良さを感じ取られるほど、ハイレゾ音源のアドバンテージが伝わってくる。

「騒音レベルの高い車室内だとハイレゾの意味がないのでは」と思っている人が多いかもしれないが、さにあらず。エンジン音やロードノイズなど、クルマの騒音は低域がメインとなっていて、中高域はしっかりと届いてくるため、クルマでもハイレゾの良さはしっかり感じ取れる。

そればかりか、きめ細やかな表現のハイレゾは、音量を下げてもよく聴こえるのため、心地よい音楽を満喫しつつも、今まで以上にまわりの環境音がしっかり届いてくるという、安全性への貢献も考えられる。音の良さだけでなく、音量的なコントロールの自由度が高まる点においても、「MDV-Z702」でのハイレゾ再生は大いにオススメだ。

関連記事