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シリーズ3モデルを井上千岳氏が集中試聴

TANNOYの最新スピーカー「Revolution XT」シリーズをレビュー - 新設計同軸ドライバーを搭載

公開日 2015/03/05 10:25 井上 千岳
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フロア型モデルは“ツインキャビティー結合バスレフ方式”を採用

フロア型では同軸ユニットに加えて、もう1基ウーファーを搭載している。クロスオーバーも250Hzと低く2.5ウェイ構成でもあるので、サブウーファーと考えてよさそうだ。これと同軸ユニットのウーファーには、いずれもマルチファイバーコーンを採用している。タンノイ伝統の振動板素材である。

キャビネットにもまた新しい技術が採用されている。外形は奥へ向かって狭まった台形だが、重要なのは内部構造だ。フロア型に限るが、ツインキャビティー結合バスレフシステムという方式を採用している。キャビネット内の空間をキャビティーというが、通常は振動板の口径などに合わせて容積を決定している。大口径ウーファーには大容積のキャビティーが必要だ。しかし容積が大きすぎると背圧が下がってダンピングが悪くなる。かといって容積を小さくすれば低音が出ない。


ツインキャビティーを採用したエンクロージャーの内部イメージ
このジレンマを解消するためのテクノロジーがツインキャビティー方式で、2つのキャビティーがポートでつながっている。第1キャビティーで適切なダンピングを行い、同時に第2キャビティーとの総計で十分な容積が確保されるという仕組みである。3年がかりで開発されたそうだ。

外部への放出は、底部に開けられたバスレフポートから行う。このためキャビネットの底は斜めに切られ、その下にベースが取り付けられている。バスレフポートからの音波はこのベースに当たって放出されるわけである。バスレフなのはブックシェルフ型でも同様だが、ブックシェルフでは底部は斜めにはなっていないようだ。

このほかクロスオーバー・ネットワークには、低損失ラミネートコアのコイルなど高品位なパーツを採用。内部配線は高純度銀コートOFC線としている。また接続端子は金メッキ製で、バイワイヤリングに対応する。

悠然とした再現性を現代的な技術で捉え直した

Revolution XT6は、同軸ユニット1基によるブックシェルフ型である。ユニットの音を純粋な形で聴くことができるが、クロスオーバーはフロア型と同じで低域もかなり下の方まで捉えている。

「Revolution XT 6」

同軸ユニットだけなのでまとまりがいいのは当然だが、質感が痩せることもなく線の太い出方をする。ピアノのタッチやバロックの古楽器の響きなどが厚手に鳴り、ぼやけることがない。ジャズのキックドラムやウッドベースなど、沈み方は上級機に一歩譲るにしてもタイミングが揃って明快だ。オーケストラも手応えのしっかりした音調である。

XT6Fは同じ口径の6インチ同軸ユニットを使用し、さらにサブウーファーを加えた構成である。型番のFはフロアスタンディングの意味であろう。

「Revolution XT 6F」

音調もXT6に量感のある低音を加えた感触で、もともと構成は2.5ウェイで同軸側のウーファーは低域をカットしていないわけだからこれは当然の結果である。面白いのは低域の量感が増すのとともに、高域にも輝かしさが乗ることだ。例えばバロックではヴァイオリンの艶や張りが強まり、ピアノはタッチが明るくなる。ジャズは意外におとなしい出方だが、まとまりがあってベースとトロンボーンなどのバランスに無理がない。

XT8FはXT6Fより一回り大型で、ウーファーも8インチとなっている。その口径を利かせたエネルギーの強い再現力が持ち味と言っていい。さすがにオーケストラのスケールやジャズの力感などは、他のモデルでは得られないものである。

「Revolution XT 8F」

一方でボーカルやピアノでは、ピントの整った音像が再現される。声の感触は暖かめで、それはシリーズ全体に共通するようだ。バロックもしっとりとした余韻と、厚手で柔らかみのある低音が特有の手触りを持つ。PRESTIGEやKINGDOMの世界を思い起こさせる鳴り方である。

シリーズ全体を通じて、ふくよかで悠然とした再現性を現代的な技術で捉え直した印象が残る。上級機あるいは過去の銘機から受け継がれた音への感覚を、いまの時代に寄り添わせた仕上がりと捉えて差し支えはなさそうだ。

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