【特別企画】低遅延の「aptX LL」にも注目

実験で検証! Bluetoothコーデック「aptX」はなぜ高音質で低遅延なのか?

岩井喬

前のページ 1 2 3 次のページ

2015年02月27日

それではここからは実際にその効果を体験するべく、CSRで開発したDDFA試作フルデジタルアンプとS/PDIFデジタル信号の送受信を行うaptX試作トランスミッター/デコーダーを組み合わせた環境で試聴を行ってみた。

トランスミッターにはCDプレーヤーを接続し、CDのサウンドをSBCとaptX、2つのコーデックで伝送したとき、どのように音質が変わるのかを確認してみる。ソースは筆者自身で録音を行ったギターの弾き語り+ウッドベースの演奏(ステレオワンポイント収録)だ。

aptXの音質はワイヤレスであることを忘れる瞬間もあるほど

まずSBCであるがギター、ウッドベースとも弦のアタックが甘く、柔らかい響きとなる。ボーカルの口元も穏やかに動く印象だ。定位感は散漫としており、位相表現も甘さが目立つ。質感も艶がなくドライで荒っぽい。続いてaptXにするとどことなく明確でなかった音像の輪郭がシャープにまとまり、定位もしっかりとどまっている。

演者のスムーズな動きもきちんと追随し、楽器や声の質感も丁寧に描写。ディティールも滑らかで、全体的に潤いのある音場感を得ることができた。DDFAアンプの性能・音質が優れていることもあり、ワイヤレス伝送であると思わせない瞬間もあったほどだ。

SBCとaptXの音を切り替えて音質を聴き比べた

aptXの音に真剣に耳を傾ける岩井氏

aptX LLではほとんど遅延に気づかずコンテンツに没入できる


画面を見ながら遅延をチェック
続いて遅延度合いのチェックである。こちらは一般的な薄型TVとBDレコーダーを繋ぐ経路を分岐し、一方にHDMI入力を備えたaptX試作トランスミッターに接続。BluetoothスピーカーでBDの音声を聴けるようにしたセットを用意した。SBC(遅延量:258ms)とaptX LL(同:33.5ms)の条件で比較し、どの程度映像と音声がずれるのかを確認してみた。

イーグルスの『Hell Freezes Over』から“ホテル・カリフォルニア”の出だしを視聴したが、SBCではアコギを弾く指の動きも拍がずれ、ドン・ヘンリーの声も衛星生中継のように遅れてしまった。

これに対し、aptX LLでは意識すると多少遅れていることが分かるほどで、流し見している程度であれば、全く遅延に気づくことはないというレベルまで改善されている。AVアンプなどでHDMI入力の“A/V Sync”設定を見かけるが、やはり映像と音声のシンクロ率が高いソースは遅延を抑えたいものだ。

そして最後に、小型電子キーボードで演奏した音声で、遅延の度合いをSBCとaptX LLで比べてみた。SBCでは“キーボードが壊れているのではないか?”というくらい時間が経ってから発音するのだが、aptX LLではある程度チープな電子機器なら許される程度のアタック遅延ですむ印象だ。ワイヤレス機器の遅延を具体的に検証する機会がこれまでなかったので、大変有意義な体験であった。

キーボードを叩いて遅延をチェック。SBCとaptX LLのあまりの違いに、思わず笑みがこぼれる



aptXは伝送におけるクオリティに関して、品質保持のため厳格なaptX認証のシステムを構築しており、データ転送量や遅延などの性能面に対するチェックも妥協していないという。だからこそ絶対的な信頼を置けるコーデックとしてプロの世界でも認められたのだろう。それはコンシューマーの世界であるBluetooth伝送でも全くスタンスが変わっていない。LDACなど高音質を目指す対抗コーデックも登場したことで、ますますワイヤレスオーディオのクオリティ改善が進んでゆくことであろう。

その先兵として環境が整いつつあるaptXはより低遅延も実現し万全な高音質コーデックとなっている。まずはご自身のワイヤレス環境を確認し、aptX対応であったなら、その高品質なサウンドをぜひ体感していただきたい。

(岩井喬)

前のページ 1 2 3 次のページ

関連リンク

関連記事