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【特別企画】日本仕様にカスタマイズした注目機

iBassoからハイレゾポータブルプレーヤー「DX90j」登場! 音質・使い勝手をレビュー

公開日 2014/07/23 11:04 山本敦
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ハイレゾ音源を聴いてみた

続いてサウンドのインプレッションを報告しよう。リファレンスのヘッドホンにはソニー「MDR-1R」を使用した。ハイレゾの楽曲ファイルは、64GBのmicroSDXCカードとUSBメモリーに入れたものを聴いた。USBメモリーは本体トップのmicroUSB端子にUSB-OTGケーブルを介して接続すれば、ファイル一覧から楽曲が選択できるようになる。ヒビノインターサウンドから「Micro-B/Mini-B」仕様の専用ケーブルが1,000円(税抜)で発売されるが、市販の「Micro-B/A型メス」のUSB-OTGケーブルも同じく使用できた。

楽曲再生時の表示画面。サンプリングレートや量子化ビット数も表示される仕様だ

リピート再生やシャッフル再生、1曲リピート再生などに対応している

試聴の結果、共通して言えることは本機のサウンドが非常にクリアで色づけがなく、様々な種類の音楽にバランス良く対応ができる柔軟性を持っているということだ。細かな部分については筆者が聴いた楽曲ごとのインプレッションも参考になれば幸いだ。

ボリュームボタンを押した際のGUI。円形に表示されるためわかりやすい

ボリュームボタンは本体右側面に装備する

■Michael Jackson XSCAPE/Love Never Felt So Good (96kHz/24bit FLAC)

SNがよくノイズフロアがとても低いので、編曲の構成が隅々までよくみえる。量感を欲張らず、解像感を重視した歪みのない透明な低音が持ち味。ドラムやエレキベースの音色は表情が豊でありながら軽快で安定感のあるビートを刻む。高域はストリングスの旋律が踊るように煌びやか。ボーカルはシャープで切れ味が良く、声の子音をはっきりと聴かせる滑舌の良さも特徴。ハイトーンの伸びやかさも心地良い。ロック・ポップス系は疾走感が豊かでワクワクとさせられる音楽を聴かせてくれそうだ。

■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」/ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」 第4楽章:フィナーレ(アレグロ・コン・フオーコ) (96kHz/24bit FLAC)

高さ方向の立体表現に優れるスケール感の豊かなオーケストラの演奏。金管楽器は自然な高域の伸びやかさと音のきめ細かさが特筆できる。打楽器の低音はスピーディーに立ち上がり、消え入り際のレスポンスも俊敏。木管楽器のソロは弱音のディティールを極めて細かく再現しながら、静寂とのバランスによる臨場感も鮮やか。スコアの強弱の幅と抑揚感を自在に描き別けるレンジ幅の表現力も秀逸。大きめの音量で聴いても響きが飽和してしまうことがなかった。

■Daft Punk Random Access Memories/Doin' It Right (feat. Panda Bear) (88.2kHz/24bit FLAC)

低域がややあっさりとしている印象だが、解像感が高くスピーディーでキレ味に優れるぶん、演奏の緊張感に富んでいるところが本機ならではの魅力だと思う。情報量が濃く、しなやかな中高域がダンス系の音楽に溢れんばかりの生命感を与える。メインボーカルとボコーダーのコーラス、シンセサイザーによるプログラミングが複雑に重なり合うパートは、各々のサウンドのレイヤーをくっきりと描き別けながら重厚で立体的なアンサンブルを作り上げる。透明な音楽の空間を遊泳するような不思議なリスニング体験ができた。

■山崎まさよし LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾/僕はここにいる(192kHz/24bit FLAC)

アコースティック楽器の音色を極めてナチュラルに再現するプレーヤーであることを報告しておきたい。冒頭ギターのフィンガーピッキングは、スチール弦の振動から生まれる音を滑らかにきめ細かく蘇らせる。高域の余韻は伸びやかに広がりながら空間を包み込んでいく。サビ以降ではガツンと響くコードのカッティングも聴きどころ。ボディのハコ鳴りも深々としていて立体的だ。ボーカルとストリングスによるアンサンブルのバランスがよく、自然な一体感も心地良い。

■ビル・エヴァンス トリオ Waltz For Debby/Milestones(192kHz/24bit FLAC)

今回本機で聴いた中で最もグッときたタイトル。ピアノの音色はどちらかと言えばスリムだが、芯のあるしなやかな力強さを兼ね備えている。短い音符が鍵盤の上で弾けて、長音は濃厚なサスティーンが効いている。演奏の情感がビビッドに表われるプレーヤーだ。ドラムスはバスドラやスネアのアタック感が鋭く、ハイハットやシンバルから奏でられた音の粒子はふわっと広がり、透明な静寂の中にさっと消えていく。強靱なバネを持ったウッドベースのグルーブも刺激的だ。



最後に今回のテストで本機を使ってみて気がついた点をもう一つ。長時間のリスニングに使っていても、本体が過度に熱くならなかったことがとても好感触だった。バッテリーにはリチウムイオン充電池を採用しているが、バックパネルを開けて簡単に交換できるようになっている。バッテリーの容量は2,100mAh。交換用パックも販売が予定されている。フル充電に必要な時間はUSB電源アダプタ使用で約3時間、PCのUSBポート経由で約5時間。連続再生時間は約8.5時間とスタミナは十分だ。

リファレンス「HDP-R10」の高音質を継承しながらハンドリング性を高め、軽快さが魅力のスタンダードモデル。ハイレゾ対応ポータブルプレーヤーの入門機として、あるいは2台目・3台目のモデルとしても逃さずチェックしておきたい。

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