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アコースティックオプティマイザーで低域の量感と抜けのよいサウンドを両立

デノン“Music Maniac”シリーズの新イヤホン「AH-C120M」をレビュー

公開日 2014/04/24 11:32 山本 敦
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「AH-C120M」は、デノンがオーディオファイル向けの上級シリーズとして展開する「MUSIC MANIAC」シリーズに、初めて加わるダイナミック型イヤホンだ。スタジオクオリティのピュアサウンドを再現することを音づくりのテーマに掲げながら、デノンの高音質技術を投入していることが特徴だ。

「AH-C120MA」

11.5mm口径の新開発ドライバーは、高磁力ネオジウムマグネットを搭載する。ハウジングはアルミとABS樹脂の異種素材を組み合わせて、不要な振動をコントロール。キレの良さと透明感、力強さを兼ね備えたサウンドを実現している。デザインはハウジングの側面に配置したアルミパーツのいちばん外側をマットに仕上げつつ、角の部分にはデノンのHi-Fiアンプのノブにも使われているというダイヤカットを施して煌びやかに仕上げた。

ハウジングはアルミとABS樹脂の異種素材を組み合わせて構成

ハウジングの背部にはダイヤカットを施している

「アコースティックオプティマイザー」の採用も特徴だ。これは振動板後部に放射される音圧の一部を音響フィルターを通して放射することで、振動板前後の音圧バランスを調整するというもの。音響特性を最適化することで低域のこもりを抑えながら量感を確保し、同時に低域が中高域に及ぼす影響を回避してクリアで抜けの良いサウンドとした。

他にもケーブルを伝ってドライバーに到達してしまう不要な振動をキャンセルするため、ドライバーユニットを弾力性のあるラジアルカスケードダンパーで支える構造を採用している。

本体の形状はノズル部分をやや前方にスラントさせて、耳穴へのフィットを向上。Complyのイヤーチップを1組のほか、シリコン製イヤーピースはS/M/Lの3サイズを同梱して、様々なユーザーの耳にジャストフィットする柔軟な装着感を実現した。

本体の形状はノズル部分をやや前方にスラントさせ、耳穴へのフィットを向上

型番の最後に「A」が付くモデルはマイクコントローラーを装備。ボタン部分は指がフィットしやすいよう凹み形状にするなど操作感にも工夫を凝らした。MUSIC MANIACシリーズ向けのスマホアプリ「Denon Audio」も利用できる。

「AH-C120MA」はマイクリモコン部を搭載

端子は3.5mmステレオミニプラグとなる

試聴は、ソニーのウォークマン「NW-F880」シリーズでハイレゾ音源を中心に行った。全体に上品でナチュラルな傾向のサウンドながらも、音楽の根底に秘められたパワーをしっかりと引き出してくれるイヤホンという印象だ。

3サイズのシリコン・イヤーピースと、Complyのイヤーピース、専用ケース、スマートフォン用アダプターが付属

パッケージのデザインにもこだわられた

ダフトパンクのアルバム『Random Access Memories』から「Give Life Back to Music」では、解像度方向の表現力と力強さのバランスが絶妙なリスニング感に結びついている。低域が過度に主張することはないが、しっかりと芯にあるパワーを引き出しながら輪郭を丁寧に描き出す。中低域を巧みに制動しながら、高域までの帯域をスムーズにつなげて瑞々しくクリアなサウンドに仕上げるうまさに、デノンの技術の円熟味を感じた。

ビル・エヴァンス・トリオ『Waltz for Debby』から「Milestone」を聴いた。ピアノは硬質なタッチのあとにふっと浮かび上がるクリスタルな余韻が心地良い。ドラムスは乾いたスネアの音色がビシビシと決まる。ハイハットは立ち上がりが濃厚ながらも、あっさりと後味すっきりめに消えていく自然な残響感だ。引き締まった筋肉質なベースが迫力いっぱいのグルーブを描きあげる。立体的な表現力が豊かなので、ライブ演奏系の作品にもぴたりとはまるイヤホンだ。

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