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TANNOY、avantgardeとの相性を探る

エソテリック×2つの注目スピーカーで音楽を高品位に楽しめるシステムを組む!

公開日 2014/04/09 13:44 石原 俊
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<音質レポート2>
ESOTERIC×avantgardeの組み合わせを検証

次はavantgarde「uno fino」と組み合わせて試聴

見かけとは全く異なる音である。大半の愛好家は(経験を積んでいればいるほど)、本機の外観からいわゆるホーン的な音を想像するであろう。ところがその種のスピーカーとは正反対の音なのだ。ホーンによるメガホン的な共鳴感は全くなく、音場・音像ともに極めてナチュラルである。このニュートラルさには拍子抜けしてしまうほどだった。この感覚は、現代のスーパースポーツカーが街中で非常に運転しやすいのに近い。

この素直さは、中域のホーンの形状やドライバーユニットの使い方によるものだろう。ここからは筆者の推測だが、中域をフルレンジ的に動作させ、そこに高域と低域を足したようなチューニングをしているのではないか。だとしたならば、これは原初の劇場用ホーン型スピーカーに極めて近い設計思想ということになる。事実、音的な振る舞いもある意味劇場用機的で、サービスエリアが非常に広く、極端に言えば椅子一つぶんくらいオフセンターしてもステレオイメージが崩れない。また、アクティブウーファーは非常にコントローラブルで使いやすい。

■分解能と解像度は極めて高度でありサウンドステージは見事に広がる

ジャズはナチュラル&クリア。ホーン型機にありがちな音像の張り出しは全くなく、音楽はあくまでもスピーカーの奥行き方向に展開する。音量を上げると音像は多少前に出るが、野蛮な領域の聴き味になることはない。逆に、音量を絞っても音にホーンならではの浸透力があるので物足らなさを感じることなく音楽に集中できる。

ヴォーカルは音像が静かな空間にピンポイントで定位する。音像の切れ味は狩猟用ナイフを思わせるほど鋭い。発音の明瞭さも抜群だ。声の質感はニュートラルだが、アンプの選択でさまざまな方向に持って行ける感触を得た。

クラシックは同じバルトークの作品を聴いたのだが、見事なまでのサウンドステージがスピーカーの奥行き方向に広がった。古い録音であるにもかかわらず、分解能と解像度は極めて高度で、誤解を恐れずに言えば平面型機と比べても遜色がないほどだ。ただ一つ異なるのは、エネルギー感の強さが全く比べ物にならないこと。音楽的には極めて冷静で、演奏の表面的な現象をモニターするような傾向が強い。したがってカラヤンの指揮の巧さや、ベルリン・フィルの音程感の素晴らしさが強調されるのだが、最終的には精神性や時代背景が伝わってきた。奥深さを秘めた超高性能機である。

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