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<山本敦のAV進化論>第2回

ハイレゾをワイヤレス伝送「WiSA」は「有線よりも高音質」? − 詳細をキーマンに訊く

公開日 2014/04/02 14:22 山本 敦
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こうしたスピーカーメーカーの動きに対して、サラウンドアンプのメーカーは静観しているばかりではない。それぞれの製品へ、どのようにしたら有効なかたちでWiSAを組み込めるか、真剣なトライアルが始まっている。

鎌田氏

「マルチルーム対応が次の進化に向けた大きなテーマのひとつ」と鎌田氏は語る。8チャンネルのスロットを5.1chと2chに分けて2つの部屋へ配信したり、あるいは2chずつのステレオソースを4つのマルチルームに展開する使い方が検討されている。それぞれに4件個別の入力ソースを、セレクターと4つのトランスミッターを使ってマルチルームに振り分ける。

「課題となるのは、現在の通信距離10m前後という電波の強度だ。マルチルームへ届けるために30〜40mまで伝送距離を伸ばす必要があると考えている。送信側の出力を上げ、受信側の感度も同時に向上させるための長距離モジュールを現在開発中だ」(鎌田氏)

取材のようす

昨今ホームシアターのサラウンドフォーマットに高さ情報を加えた新しい規格が登場してきたこともあり、対応チャンネル数やスピーカーの台数を拡張する計画もありそうだ。この場合、現在のままでは11aの20MHzのバンド幅でサポートできるチャンネル数が8チャンネルまでなので、これを拡大していくための技術的なブレークスルーも必要になる。


■WiSA搭載の薄型テレビや192kHz/24bit対応にも期待

ワイヤレスオーディオの音質を高めるだけでなく、柔軟な発展性を持っていることがWiSAの進化にとって大きなキーポイントになってくるだろう。

サミット・セミコンダクターではWiSAの単体トランスミッターのリファレンスも試作し、技術メリットを訴求している。フル機能のAVアンプに内蔵することもできるものだが、単体のHDMIスイッチャー機能を搭載するWiSA対応トランスミッターとして薄型の筐体に組み込み、コンパクトなWiSA対応ワイヤレススピーカーセットと一緒にパッケージ提案すれば、スマートなサラウンドシアターシステムを実現でき、国内を中心に潜在ニーズを掘り起こすこともできるだろう。

単体トランスミッターの試作機

トランスミッターの背面端子部

ほかにも、例えばテレビ本体に送信機を組み込むこともできるという。さらには、受信機を内蔵したスピーカーを揃えるだけで手軽にサラウンド環境が構築できれば、これもワイヤレスサラウンドの有力な選択肢になるはずだ。

もともとはマルチチャンネルをターゲットにしている技術だが、リッチな2chステレオをワイヤレスで楽しむために使っても良い。WiSAでは96kHz/24bitまでの非圧縮オーディオ信号伝送についてHDCP認証を受けているが、192kHz/24bitについて対応する場合、改めて認証の取得が必要になる。鎌田氏は今後、192kHz/24bit対応を望む声が高まるようであれば、HDCP認証の取得と平行して技術展開も検討したいとも語ってくれた。

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