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3名のオーディオ評論家がDCD-SX1のサウンドに迫る

デノン「DCD-SX1」連続レポート - 山之内正が検証する“10年後を見越した”デジタル入力

公開日 2013/12/04 10:00 山之内 正
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■光/同軸デジタル入力のクオリティにもぜひ注目したい

クロック回路の高精度な動作はUSB以外のデジタル入力でも威力を発揮する。たとえば同社の「DNP-720SE」などネットワークプレーヤーのデジタル出力を光接続で入力すると、本機の高精度なD/A変換回路を活用して音質改善が期待できる。「DNP-720SE」はWAVとFLACの両形式で192kHz/24bitへの対応を果たしており、本機もその高品位なPCM信号をそのまま受け取ることができるため、使い勝手の良いネットワーク再生でハイレゾ音源を楽しむにはお薦めの組み合わせだ。

ネットワークプレーヤー「DNP-720SE」(上)。アップデートで192kHz/24bit再生にも対応

「DNP-720SE」から光デジタル出力した信号を「DCD-SX1」で受けて再生した

本機を介した再生音は「DNP-720」SE単体で再生するよりも空間がひとまわり大きく、ステージの奥行きやホールトーンの広がりが伸びやかに伝わってくる。ベースやアコースティックギターは音像のフォーカスが精密で、一音一音の輪郭に緩みがない。エントリークラスのネットワークプレーヤーにそれを求めるのは荷が重いはずだが、本機のD/A変換回路を使うと低音の質感が一変し、1クラス上の音を引き出すことができる。ボーカルは高音域まで柔らかさを失わず、ピアノは中低音の分解能が大幅に向上するなど、どの楽器でも明らかな音質改善がみられた。

光デジタル出力した192kHz/24bitの信号も再生にも成功

光デジタルに加えて同軸デジタル入力もハイレゾ音源に対応している。今回はデジタル出力をそなえるユニバーサルプレーヤー(OPPO「BDP-105JP」)をつなぎ、HQMのディスク版ハイレゾファイル(ロッシーニ:3つの弦楽ソナタ、ベルリン弦楽合奏団)を再生してみた。

OPPOのユニバーサルプレーヤー「BDP-105JP」でハイレゾディスクを再生。同軸デジタル出力した信号を「DCD-SX1」で再生した

同軸デジタル出力した192kHz/24bitの信号も再生にも成功

録音から35年を経た音源だが、弦楽器のクリアな発音と鮮明な音像はまったく古さを感じさせない。CDでは高弦のフォルテがやや硬めの音色になることがあるが、ハイレゾ音源を読み出して本機のDACを経由すると、その硬さが気にならなくなる。オリジナル音源にそなわる本来のしなやかな音色を忠実に引き出しているのだろう。

■USBメモリー、そしてiPhoneも高品位再生できる

ハイレゾオーディオ以外にも様々なメディアをつなぎ、手軽に再生できる点にも注目しておきたい。USB入力はiPhoneなどiOS機器の音楽再生に利用できるほか、ファイル形式とサンプリング周波数には制約があるものの、USBメモリーのダイレクト再生にも対応している。

デジタル接続したiPhoneやiPodの信号にも「Advanced AL32 Processing」が適用できる


USB-A端子は背面に装備されているので、付属の延長ケーブルを用いてUSBメモリーを接続すると便利だ

しかも、ハイレゾ以外の音楽ファイルに対してもAdvanced AL32 Processingを適用するため、音色や質感は確実に向上する。実際にいくつかの音源を聴いてみたが、高音の硬さが適度にほぐれ、細かい表情を引き出すなど、好ましい方向での音質改善効果を確認することができた。

本機を導入すると、ディスクとハイレゾ音源それぞれを最高水準で楽しめることに加え、手持ちのデジタル機器をつないでグレードアップを図る楽しみも広がる。10年後の再生環境を見通したという設計コンセプトはまさに的を射ていると思う。

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