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3名のオーディオ評論家がDCD-SX1のサウンドに迫る

デノン「DCD-SX1」連続レポート - 山之内正が検証する“10年後を見越した”デジタル入力

2013/12/04 山之内 正
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3名のオーディオ評論家が、独自の視点からデノンのフラグシップSACDプレーヤー「DCD-SX1」にフォーカスしてレビューを行う本企画。山之内正はDCD-SX1が搭載する、USB-DACをはじめとするデジタル入力のクオリティに目を付けた。DSD/PCM音源からS/PDIFやiPhoneやまで、あらゆるソースをDCD-SX1で聴いた。

DCD-SX1はその優れたマスタークロックを用いて全てのデジタル入力を統括している

■高精度のマスタークロックとノイズ対策が高次元のDSD再生を可能に


DCD-SX1を詳細に試聴してその実力は認識していた山之内氏だが、今回はあえて「デジタル入力」にフォーカスしてそのポテンシャルに切り込んだ
デノンはディスクプレーヤーの最上位機種を開発するにあたって、今後5〜10年の間に起こるデジタルオーディオの変化を視野に入れて基本コンセプトを追い込んでいった。その結果、DCD-SX1はUSB端子をはじめとする複数のデジタル入力を装備し、さまざまなデジタル音源を高音質で再生する能力を磨き上げている。

特にマスタークロックの精度とノイズ対策を徹底して追求したことは大きな成果を上げており、ディスクだけでなくファイル音源の再生時にも、下位モデルとは一線を画す対応力の広さと高水準のクオリティを獲得することに成功した。

その端的な例は、空間やレンジの制約を感じさせないDSD音源のスケール感豊かなサウンドに聴き取ることができる。ショスタコーヴィチの交響曲第15番(ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管、DSD2.8MHz)は最弱音からフォルテシモに至る強弱の幅が驚くほど広く、しかもかなり大きめの音量で聴いた時にもトゥッティで響きが飽和することがない。オープンな感触の低音、そして部屋を満たす伸びやかな余韻の広がりは最高水準の高音質SACDに匹敵し、細部の緻密さでも譲らない。

MacBook AirとMac再生ソフトウェアの定番「Audirvana Plus」を使い、DoP形式によるDSD再生を行った

本機にUSBケーブルを接続したところ

プエンテ・セレステの『NAMA』(DSD5.6MHz)は一音一音の発音が軽く、しかもスピードが乗っているため、演奏の躍動感がストレートに伝わってきた。DSD録音のメリットとして演奏現場の空気感を生々しく伝えることが挙げられるが、DCD-SX1のUSB-DACはその長所を素直に引き出すことができる。

■クロック2系統搭載の効果が現れたPCMハイレゾ再生

PCM音源はハイレゾオーディオならではのなめらかな音色が最大の聴きどころだ。本機のクロック回路は低位相雑音型のクリスタル素子を44.1kHz系と48kHz系それぞれに独立して搭載しているため、192kHzや96kHzだけでなく、176.4kHzや88.2kHzのサンプリング周波数で収録された音源でも高精度なD/A変換が期待できる。

5.6MHz DSDを再生したところ

192kHz/24bit PCMを再生したところ

サンプリング周波数が異なる音源を実際にいろいろ聴いてみると、声やピアノの澄んだ音色や弦楽器の艶やかな響きなど、その音源ごとの一番重要な部分を忠実に再現していることに気付く。あらゆる側面からクロック回路の性能を突き詰めた成果として注目したいポイントだ。

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