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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第55回】これが究極の低音ホン!? “ベーシストのため”のヘッドホンを聴く

公開日 2013/07/26 12:41 高橋敦
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全国の低音域マニアに捧ぐ − “ベーシストのため”のヘッドホンを徹底試聴

オーディオファン、そしてヘッドホンファンの中には低音の再現性に特にこだわりを持つ方も多い。そこに向けて低音の再現性の高さを謳った数々の製品が登場していることは以前にこの連載でも大きくご紹介した(http://www.phileweb.com/review/article/201305/31/822.html)。

しかしこの世の中にはオーディオファンと同等、いやおそらくはそれよりさらに重度の低音マニアが存在する。今回紹介するのはそんな彼らに向けて開発されたヘッドホンだ。

PHIL JONES BASS「H850」(実売目安8,400円)。

見た目は何の変哲もないヘッドホンだ。大きさも屋内用密閉型として普通程度の範疇

別角度から見てもやっぱり普通。では何がどう普通ではないのかというと…

PJBというブランドをご存知でない読者の方も多いと思う。それは当然、実はPJBはオーディオのブランドではない。PJBはエレクトリックベースアンプのブランドだ。つまりこのH850は、主にベーシストのために開発されたモニターヘッドホンなのだ。例えば、自宅練習時にベースアンプのヘッドホン出力に接続するといった用途が主に想定されているものと思う。

そう! 僕が思う究極重度の低音マニアとはベーシスト! 実はエレクトリックベースの音色作りはかなり難しい。明確なアタックや音程感を確保しながら太さや豊かさも生み出すには、弾き方だけではなくベースアンプ等の機材の深い使いこなしも要求される。そこらへんを「何となく」でこなしてしまう真の才人たちもいるのだが、多くのベーシストは理想の音を目指して試行錯誤しているはずだ。

とにかくベーシストはそういった意識や実践を通して、低音に対する感覚が研ぎ澄まされている。そんな彼らを満足させるべく開発されたヘッドホンならばオーディオファンをも納得させるはず! というわけで今回の紹介なのだ。

“PJB”ブランドとは?


まずはPHIL JONES BASSの概略について説明しよう。主催者フィル・ジョーンズ氏はもちろん自身がベーシストだ。しかし彼の経歴を見ると、実はオーディオとの関連も深い。

例えば、彼がスタジオ勤務時代に自らのために開発したモニタースピーカーは、後に小型高性能モニタースピーカーで知られるアコースティック・エナジー社に発展。短期間ながらもボストン・アコースティックス社に籍を置いていたこともあるという。

長くなるのでその後はさっと省いて、現在PJBのベースアンプは従来のベースアンプの常識を覆す小口径ドライバーユニットの採用、それに伴い小型化の実現、そしてもちろん優れた音質で知られており、ベースアンプの新たな潮流を生み出している。

前置き完了! では次からいよいよH850を見ていこう。

次ページ“ベーシストのため”のヘッドホン「H850」に迫る

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