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「多くのオーディオファンを沸かせるであろうプリアンプ」

エソテリック「C-02」に秘められたこだわり

公開日 2012/12/10 23:20 藤岡 誠
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■完全デュアルモノラル設計を採用 − 5つの電源トランス式という強烈な電源回路

本機C-02はエソテリックの「Master Sound Works」シリーズの最新型プリアンプ。同社にとっては2008年から発売されているC-03に続くプリアンプの第2作目である。今後、同社のプリアンプのトップモデルとして君臨することになる。そして早々とオーディオ銘記賞2013年で「特別大賞」を受賞。今後展開されるオーディオ各誌のアワードで間違いなく上位入賞するだろうが、今回の受賞はその先駆けとなった。

C-02

本機は左右チャンネル間の相互干渉を徹底的に排除する目的で電源部から完全デュアルモノラル設計。基本的にはラインレベル入力専用である。その上で、左右の入力アンプ部と出力アンプ部にそれぞれ2個ずつ、合計4個のトロイドコア型電源トランスと整流回路を持っている。

もちろん、コントロール系にも独立したEIコア型電源トランスを使っているから、これを含めると本機は5電源トランス方式という強烈な電源回路を持つ。そして整流回路にはSiC(シリコンカーバイド)ショットキーバリアダイオードをふんだんに用いて高解像度、高SN比を獲得。こうした電源回路によって本機の重量は32kg。重ければいいというわけではないが、本機の徹底したこだわりの一端を象徴しているといっていい。

入力は、系統ごとに専用の完全バランス設計の入力バッファーアンプで信号を受け、その後は低インピーダンスのフルバランス信号伝送を行ってコモンモードノイズなどのノイズ混入を抑えている。また、各入力は個別に利得調整が可能である。出力バッファーアンプ部も凝った内容だ。

背面端子部

エソテリックは、プリアンプからパワーアンプへの信号伝送で大切なことは「電流伝送能力」の高さと「ハイスピードな応答速度」にあると捉え、それらの能力を飛躍的に向上させるべく、電流出力能力が高くスルーレートが2000V/μsという驚異的にハイスピードな素子を厳選して採用。RCA出力では各端子に使用、XLR出力では各端子のホット/コールドごと使用するなど、とにかく凝りに凝った回路構成である。

音量調整はQVCSと呼ぶ独自方式。これによって信号劣化がなく左右分離度・位相特性に優れた音量調整が可能。実際にノブを操作するとノブ自体の質感の良さもさることながら、高精度な操作フィーリングに驚く。さらに音量変化のカーブの切り替えも可能である。なお、本機専用の「フォノモジュール(MM/MC)」を別売で用意する。

■繊細でスムーズな広域と自然な中域 − 弾力のある低域は各楽器の質感をきちんと表現

聴こえはリアル&ストレート。広帯域にわたってクセを排除している。広域方向は繊細で済むー座宇。中域周辺は妙な明るさや密度感を勝手に演出することがなく穏やかで自然だ。

低域方向は強力な制動力。しかし、空振りするような素っ気ない低域ではなく、弾力があって各種低音楽器の質感をきちんと表現する。

もちろん、高SN比でダイナミックレンジも格段に広い。まずは文句なしの特別大賞である。

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