SAECケーブル・コレクション

SHURE“SEシリーズ”全モデルで岩井喬が試聴 − SAECの交換ケーブル「SHC-100FS」をテスト

レビュー/岩井喬
2011年06月20日
サエクからSHUREの着脱式ケーブルを採用したイヤホン“SEシリーズ”の交換用ケーブル「SHC-100FS」が登場した。本製品をSEシリーズの全モデルを使って、ライターの岩井喬氏がテストした。

S/N感の向上、音像の引き締め効果、音場の透明感向上に効果を発揮


SHC-100FS
PCOCC-A導体を用いたSHURE新SEシリーズ用リケーブル。同ブランドとしてはリケーブル分野初参入製品でもある。MMCXコネクターやプラグ部も含めて、ブラックを採用しており、耳掛け部分は形状を保持するフレキシブルな構造だ。対応機種はケーブル着脱対応の「SE535」「SE425」「SE315」「SE215」の4モデル。ノイズに強くセパレーション特性を向上させたという左右独立ツイストペア構成で、細くしなやかな取り回し感を持っている。ケーブル長については0.8m、1.2m、1.6mの3つの長さが用意されているので、使用している携帯プレーヤーとの環境に合わせて最適なものを選べる点が嬉しい。

すべてのSEシリーズ・ケーブル着脱対応モデルで本製品を試したところ、共通してS/N感の向上、音像の引き締め効果、音場の透明感向上に対して効果を発揮していた。差し替えて音が出た一瞬は、同じボリューム位置でもやや静かな印象を受ける。しかしこれは音量が下がったのではなく、ノイズや歪み成分が減ったため、聴感情静かに感じられるようになったということの証でもある。特に低域の解像度の向上と、凝縮された密度感、押し出しの良さが際立ち、シングルウェイモデルである「SE215」や「SE315」においては楽器一つ一つの音の滑らかさとともに、自然で音ヌケの良いボーカルを楽しめた。「SE315」ではバランスド・アーマチュア型特有のピーキーさや芯の細さが解消され、全帯域伸びやかで音像の厚みも自然に感じられるようになった。


SEシリーズ対応コネクタを採用
対してマルチウェイモデルである「SE425」や「SE535」ではやや違った音質変化も見受けられた。一つ一つのドライバーに対して、音が磨き上げられたように鮮度感が向上し、音の前後感や空間表現も巧みに表現。全帯域でエナジーの粒が揃い、ダイナミックレンジが向上したかのように解像感豊かなサウンドが楽しめる。

下位モデルほど音のまとまり感や音場のクリアさに対する効果は高いように思えたが、総じて質感描写は丁寧で、ドライな傾向だった音もウェットな方向へシフトする。じっくりと聴き込むほどにその如実に変化した細部の様子に驚くだろう。

「SE535」をメインに用いた試聴において、クラシックではクリアな音場へ細やかでスマートな音像が浮き上がり、一枚ベールを剥いだような鮮度感が得られる。ジャズピアノやウッドベースの音像は輪郭の粒子が細やかで繊細に質感を描写。胴鳴りも滑らかで自然な存在感を演出している。ポップスは適度な音像の厚みを感じ、現代的なピアノの旋律はソリッドかつ鮮やかに浮き立つ。ロックのギターやリズム隊は適度なタイトさを持っており、ボーカルも含めて付帯感のないストレートなトーンを感じることができた。

試聴ソース
●クラシック
・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『ホルスト<惑星>』(ユニバーサル・グラモフォン:00289 477 5010)
●ジャズ
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』(ユニバーサル:UCCU-9407)
●ポップス
・『Pure〜AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS』(F.I.X.:KIGA2)
●ロック
・デイヴ・メニケッティ『MENIKETTI』(DREAM CATCHER:CRIDE35)


岩井 喬 プロフィール
プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。

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