VGP2011SUMMER 総合金賞受賞

鴻池賢三が見た新“VIERA” − あたらしい世界=見たことのない、「黒」

鴻池賢三
2011年06月20日
新しいVIERA(ビエラ)のユニフォーミティに刮目せよ! 液晶であれ、プラズマであれ、自由自在に使いこなすパナソニックの技術力にあなたは驚くに違いない。デバイスの垣根を越えた高画質ぶりをぜひ確かめて欲しい。「総合金賞」を受賞しただけの価値を実感できるはずだ。

<右>「TH-P50VT3」●内蔵チューナー:地上・BS・110度CS×2 ●HDMI入力端子数:3 ●その他の主な映像入力端子:コンポジット×2、D4×1 ●外形寸法・質量:1202W×768H×335Dmm・35.0kg(スタンド含む) <左>「TH-L32DT3」●内蔵チューナー:地上・BS・110度CS×2 ●HDMI入力端子数:3 ●その他の主な映像入力端子:コンポジット×2、D4×1 ●外形寸法・質量:751W×502H×230Dmm・13.0kg(スタンド含む)

■光と影を共存させたVIERA

ビエラVT3およびDT3シリーズの第一印象は「光と影の共存」である。

映画映像は比較的暗いシーンが多く、特に陰影部の繊細なニュアンスが重要な意味を持つことが多い。映画『インセプション』の中に、裸電球が灯る薄暗い地下室で、眠りから醒めない男達が無数に横たわっているシーンがあるのだが、絶対的に深く沈む黒と色付きの無い正確な階調表現による闇の広がりや奥行きが見て取れ、それが夢や心の中の底知れぬ深さ、不気味さを意図しているのだと印象付けられた。

また同時に、裸電球の眩しさ、電球に照らされてモノトーンに浮かび上がる表情には陰影も精緻に描写される。黒に質感が伴い、総じてナチュラルで立体感をも感じ取れるのだ。

ちなみに、高画質の最も重要な要素としてコントラストが挙げられる。黒の深い沈みと白の伸び、つまり「光と影の共存」がダイナミックで上質な映像表現に繋がるのだ。新ビエラVT3およびDT3シリーズでは、黒の沈みを追求する事で圧倒的な高コントラストを実現し、また、黒の沈みは、暗部および映像全体の質感にリアリティーを持たせ、艶やかな黒、鮮やかな色彩の表現にも大きく寄与している。

プラズマ方式を採用するVT3シリーズは、今までに経験した事のない、引き込まれるような「黒」が印象的だ。特に、暗室に近い照明条件でも黒浮きは皆無で、シアター環境への強さを印象付けられた。

また驚きだったのは、明室での黒の締まりだ。照明光があってもパネルは漆黒を保ち、プラズマに対するイメージが覆った。

この結果を、技術的な側面から検証して行こう。まず、VT3シリーズでのトピックスは、新開発の「フル・ブラックパネルII」が採用されている点である。フィッシュボーン構造と呼ぶ新電極構造などの新技術により、発光効率はVT2シリーズと比べ15%向上しているのだが、輝度の向上だけでなく、低輝度時もコントロールに余裕が生まれるのか、繊細な黒の階調表現が可能になっている。

<フル・ブラックパネルII>画素の一つ一つを制御し、これまで実現不可能だった「黒」を画面に表示。低反射ディープブラックフィルターIIも進化し、明るい環境下でも深く締まった黒を描写することが可能

<3D高画質>プラズマVT3シリーズでは短残光蛍光体を採用し、適切な発光制御を行うことで高精細な3D映像を実現。発光に関しては「明」から「暗」の順序に制御を行っている

また、進化した「低反射ディープブラックフィルターII」は、外光がパネル内部で反射することで生じる黒浮きを大幅に低減する事で、暗室に加え、明かりの有る部屋でも安定して深い黒をキープする。明室コントラストに至ってはVT2シリーズの約1.4倍という高スペック値でも裏付けられる。

RGBでフルカラーを再現する映像装置にとって、原色のピュアネスは他原色の完全な排除が肝要である。VT3シリーズでは、RGBそれぞれのサブピクセルが自発光というプラズマ方式の長所を活かし、純度が高く濃い原色の再現も得意だ。特に深紅の表現は素晴らしく、艶やかな黒に映える。

■視野角特性が非常に良好なDT3シリーズ

液晶方式を採用するDT3シリーズは、特に明室での艶やかな黒再現が印象的だ。

「LEDブラックパネル」は、視野角特性が良く、斜めから見てもコントラスト感や色味に変化が少ないと定評のIPS液晶方式をベースに、DT3シリーズでは、新たに開発した新高速応答IPSαパネルを採用。画面をエリア分割し、一画面内における画柄の輝度に応じて、エリア毎にバックライトとなるLEDの輝度を調整する事で、同一画面内における黒の沈みと明部の輝度を両立している。

<インテリジェントコントラストAI>画面をエリア分割し、各エリアの明るさに合わせてバックライトの光量を緻密に調整。映像特徴に合わせて光量を制御して引き締まった黒を描く

特に液晶パネルは明室でも深みのある黒の再現を得意とし、省エネでありながら一段と明るさを増したLEDの輝きで官能的なコントラストを表現する。また、日中の空のように画面全体が明るいシーンから暗闇へと暗転するようなシーンでは500万:1相当のコントラスト性能が発揮されダイナミックな画を見せる。総じてこの黒の沈み、暗部の階調再現、コントラスト感が、斜めから見ても損なわれないのはプラズマ方式に通じる美点と言えよう。キッチンからリビングのテレビを見たり、プライベートルームでデスクやベッドなど違った角度から見るのにも安定した高画質が愉しめるのだ。

同時に、新IPSαパネルは液晶層の厚みを縮小して液晶パネル駆動信号が切り替わってから、画面上の表示映像が切り替わるまでの時間を従来に比べて半減し、さらに60コマ/秒を240コマ/秒に作りかえる補間処理、つまり4倍速駆動した上に、データスキャンを4倍速駆動のさらに2倍となる2msで高速駆動する「APD」技術により、液晶モデルながら3Dでもクロストークを抑えたクリアな映像を楽しめる。キレの良さは、黒の質感の向上にも貢献しているようだ。

<新高速応答IPSαパネル>高流動材料を採用した独自開発のIPSαパネルを採用。液晶パネル駆動が切り替わり、画面上の表示映像が切り替わるまでの時間を従来に比べ半減、残像が少ない映像を実現した

<IPSαパネル>斜めから観ても映像を綺麗に映し出せるIPSαパネル。複数人で視聴する場合でも、映像の美しさを全て共有することができる

■デバイスの違いを意識せず画面サイズを選べる

ビエラ最高画質のプラズマ「VT3シリーズ」は50型、46型、42型の3サイズをラインナップし、ビエラ最高画質の液晶「DT3シリーズ」は、37型と32型の2サイズをラインナップする。両シリーズは映像表示の方式こそ違うが、画質傾向や機能および操作面で共通点が多く、50型〜32型を擁する一連のシリーズとして捉える事ができる。

まず画質面では、黒の描写に共通の思想が見て取れる。刻々と変化する照明下で深い沈み込みを実現するのはもちろん、色付き無く階調豊かな表現とそれによる立体感は、デバイスの違いを感じさせない。発想の出発点がデバイスありきでなく、ビエラ最高画質、ビエラとしての理想を追い求めた結果だろう。

DT3シリーズは、視野角の広いIPS方式の液晶パネルを採用するのに加え、クリアフォーカス4倍速駆動による残像低減は、良い意味で液晶らしからぬ映像表現を手に入れた。もはや、プラズマや液晶といった論議は不要なのかもしれない。

機能面では、比較的大画面のVT3シリーズはもちろん、DT3シリーズも32型まで全て3D表示に対応している。詳細にはダブルチューナーの搭載やSDメモリーカードおよび外付けHDDへの録画機能、共通のリモコンと、違うところを見つけるのが難しいくらいだ。

つまり、最高画質を求めて選ぶなら、プラズマや液晶を気にせず画面サイズを決めるだけで良い。家族団らんの時間はリビングで50型のVT3を囲み、プライベートは自室でDT3に向かい合う。そこには、画質、機能、操作の全てにおいてシームレスで快適な視聴環境が約束される。

■両シリーズで実現した機能面の先進性

VT3シリーズとDT3シリーズは共通して無線LANに対応している。機能としては今やコミュニケーションには欠かせない存在となりつつあるスカイプに加え、従来通りアクトビラやひかりTVによる動画配信、YouTube視聴などの、話題のインターネット関連機能が充実している。

特に、宅内のネットワークとして「お部屋ジャンプリンク」機能に注目したい。同機能に対応したDIGAとLAN接続環境を整えれば、DIGAに録画したテレビ番組はもちろん、「放送転送機能」により放送中の地デジ・BS・CS放送をほぼリアルタイムに離れた部屋のビエラへ「転送」して観る事ができる。リビングからプライベートルームに移動しても、録画の続きがネットワーク経由で見る事ができるし、BS/CSもプライベートルームでもほぼリアルタイムに鑑賞できるのは大きなメリットだ。

ソース面では「お部屋ジャンプリンク」機能がシームレスな視聴環境に寄与し、画質面ではVT3シリーズとDT3シリーズ間でユニフォーミティーが達成され、視聴場所を移しても映画作品や試合観戦に没入できるだろう。

従来、暗い部屋で映画を見るならプラズマ、明るい部屋でテレビ番組を見るなら液晶といった暗黙の了解があったが、プラズマは明室に強くなり、液晶も黒の沈み込みや動画解像度の向上により、上質な映像表現を手に入れた。

VT3シリーズとDT3シリーズは、プラズマと液晶という表示デバイスの違いによってシリーズ名こそ異なるものの、最高画質の「ビエラ」の名の下にラインナップされた1本のシリーズとみなせる。

事実、ビエラとしての理想を追い求めた黒の沈み込みと、色彩表現などを含めた総合的なテイストはデバイスの違いを感じさせない。

リビングもパーソナルもビエラで統一すれば、最高峰の画質をシームレスに愉しめる。高画質を目指すAVファンにとって新しい視聴スタイルの始まりだ。

(取材・執筆/鴻池賢三)

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