スマホの充電が面倒! その悩み、速くて安全な「Qi2」が解決するかも?
ワイヤレス充電は便利ですが、置き位置が少しずれるだけで速度が落ちたり、端末が余計に発熱したりする“惜しい技術”でもありました。
そこで登場したのが次世代規格「Qi2」です。2024年のCESでWireless Power Consortiumが正式発表し、最大15Wを磁力で最適位置に吸着させて安定供給する「Magnetic Power Profile」を採用しました。これにより、充電効率と安全性が一気に底上げされます。  
記事執筆時点でQi2を完全に利用できるスマートフォンは多くありませんが、先陣を切ったのはiPhone 15以降のiPhoneです。15W給電を実現し、既存のMagSafeアクセサリーがそのまま使えます。
Android陣営では、サムスンが2025年モデルのGalaxy S25シリーズを「Qi2 Ready」と呼称しました。これは専用マグネットリング入りケースを併用することでQi2の15Wを引き出す方式で、本体のコイルは従来Qiと共通という立ち位置になります。  
では旧Qi充電器は使えなくなるのかといえば、答えは「当面は併用可能」です。Qi2端末は下位互換性を保っているため、従来パッドの上に置けばこれまで通り充電できます。ただし磁気誘導による位置合わせが働かないため給電効率は下がり、実測で7.5〜10W程度に制限されるケースが報告されています。
技術検証を行うGranite River Labsの試験データによると、Qi2の熱損失は旧規格比でおおむね10〜15%低減し、同じ15Wでも端末温度の上昇が抑えられるという結果が出ています。温度上昇が少ないほどバッテリーの劣化も抑えられるため、長期的に見れば端末寿命の延伸や発火リスク低減にもつながると考えられます。 
アクセサリーメーカー各社も動きは早く、BelkinやAnkerなどが手頃な商品を多数出しています。モバイルバッテリー型でも1万円前後と、従来のMagSafe製品との金額差はわずか。買い替えても“高くつく”印象は薄れました。Qi2ロゴが付いた製品は異物検知や過電流保護などの試験を通過しており、安全面でも一定の信頼があります。  
iPhone 15以降を含む最新端末を使い、日中こまめに充電する人や車載マウントで確実に本体を固定したい人は、Qi2対応機機へ切り替える価値があります。一方、就寝中にゆっくり充電するだけの使い方であれば、旧Qi充電器を流用しても、当面のあいだ困る場面は少ないでしょう。
ご自身のライフスタイルやスマホの充電の仕方を確認しながら、Qi2の採用を検討してみましょう。