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データを確実に保存する方法を解説

日本写真家協会、写真データの光ディスク保存に関する研究会を開催

公開日 2009/02/17 19:38 Phile-web編集部
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(社)日本写真家協会は「光ディスクへのデジタル写真データの安心保存とレーベル印刷の活用」と題した技術研究会を開催。講師には(株)スタート・ラボ 企画統括部担当部長の小林 貴氏が招かれた。

講師を務めた(株)スタート・ラボ 小林 貴氏

会場には約90名もの参加者が訪れ、熱心に解説を聞いていた。/撮影:(社)日本写真家協会

技術研究会は同協会が定期的に行っているもので、今回で第6回を数える。日本写真家協会会員だけでなく一般の方の参加(参加費500円)も可能。今回は89名の参加者のうち、一般参加者は33名にのぼった。

スタート・ラボの調査によれば、撮影した写真をディスクに保存している人は28%(うちDVD-R 14%、CD-R 14%)、PC本体に保存しているユーザーは36%、外付けHDDに保存しているユーザーは23%だという。小林氏は「ディスク、HDD、メモリーカードなど記録メディアにはおのおの利点がある。そのうちディスクにはCD-R/-RW、DVD±R/±RW/-RAM、BD-R/-REなど多くの規格があるため、何を選んだらいいのか分かりづらいと感じる方もいらっしゃるかも知れない」とし、メディア規格の整理とデータ用/録画用などの用途別ディスクの違いを解説したほか、パッケージに記載されている情報の読み取り方のほか、光ディスクの記録のしくみといった基本的な部分まで幅広く詳しく説明を行った。

撮影後の写真の保存方法(スタート・ラボ調べ)。ディスクに保存している人は28%

光ディスク/HDD/フラッシュメモリーなど記録メディアの仕組みを解説

また「ディスクは物理フォーマットがきっちり決められているから、各社間の製品のクオリティは変わらないのではないか、と考える方がいらっしゃるかも知れないが、実は違う」と語る。「物理規格は定められているが、記録色素やハードコートなど材料についての規定はない。ここが各メーカーの特徴や、品質の差となって表れてくる」(小林氏)のだという。

光ディスクの品質は材料の品質に影響されるのだという

例えばThat'sブランドの製品の場合、温度25度/湿度50%程度の暗所環境で保存した場合、100年後もデータ保持が予測できる(生存確率99%以上)という結果を得ているという。また、キズに強く防塵/防汚性が高い「トリプルガード」コートを施したディスクも製造しており、会場では実際にスチールウールやマジックで記録面にキズ/ヨゴレを付け、「トリプルガード」と同社他製品の違いを見比べる実験も行われた。

(左)トリプルガード(右)同社通常製品。トリプルガードは油汚れをはじいているのがよく分かる

大勢の参加者たちが実際にキズや汚れをつけ、その違いを実感していた

「大切なデータを確実に保存するために気を配りたいのは、信頼できるメーカーのディスクを選ぶこと、直射日光に当てないなど適切な環境で保存すること。そしてなにより“ダブルバックアップ”体制も大切。劣化が外見からは分からない光ディスクだからこそ、万が一のことを考え、複数の異なる記録メディアで保存する/複数枚のメディアで異なる場所に保存するなど気を配りたい」と語る小林氏。「“100年持つ”というのも、『確実に』とは言い切れない。1〜2年に一度は別のディスクに保存しなおすことで、より確実性が高められる」のだという。

小林氏が語る光ディスク保存のポイント

さらに、レーベル印刷の活用についても提案。印字彩度や耐水性の高い写真画質ディスクや、「WaterShield」を使用し、レーベル面を写真 で彩ることも提案した。

耐水性の高いレーベル印刷も提案。左の通常製品は水を吹きかけると文字が滲んでしまうが、右2つの“写真画質”ディスクでは、染料インクを使用しているため高い耐水性を備えている

会場後方に設けられた展示コーナーではディスクについて活発な質問が飛び交っていた/撮影:(社)日本写真家協会

光ディスクは撮影した大切な「作品」を保存するものであるだけに、その選び方や保存方法のポイントなどについて、参加者たちは皆真剣なまなざしで聞き入っていた。

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