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ウミガメの孵化を「タマゴ型センサー」で検知する試み。海へ向かう時期も予測可能に

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公開日 2022/10/28 17:43 Munenori Taniguchi
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ウミガメは夜のウチに浜辺に穴を掘り、そこに大量の卵を産み付けて、夜が明ける前にその場を去って行く。卵は砂浜の熱で保温され、60日前後で孵化し、生まれた子どもたちは地上に姿を現してすぐに海へと泳ぎ出して行く。

ウミガメの産卵で知られる海岸では、シーズンになると海岸への立ち入りを禁止して、産み付けられた卵がすべて孵化して子ガメたちが海に向かったと思われるまで、再開しないようにしているところも多い。

そこでバージニア大学の研究者と、オープンリサーチグループ「Nerds Without Borders」のチームは、この卵の孵化を監視し、ビーチをいつ解放できるかを予測するため、産み付けられた卵を監視するタマゴ型センサーを開発。2013〜2017年にかけて、ノースカロライナ州のハッテラス岬国定海岸にある、74のアカウミガメの巣で試験した。

このタマゴ型センサーは、ウミガメの卵と同じ大きさ・形状をした防水ポリウレタンの球に、加速度センサーと温度センサー、プロセッサーを内蔵したもの。卵から伸びた黒いケーブルは、モバイル通信モジュールやバッテリーなどが収められた通信ユニットに繋がっている。

チームは、産卵されたばかりのウミガメの卵の巣を発見すると、その卵のなかにセンサーを紛れ込ませて埋め戻す。通信ユニットはその時点から卵の巣の様子を監視し、通信ユニットがデータをワイヤレスで中継する。そして孵化の時期になって、卵のなかで子ガメが活発に動き出すと、センサーが反応してデータをチームの元に届けはじめるので、研究者らは忙しくなる。

得られたデータからは、子ガメたちはある時期に一斉に卵から生まれ出たあと、水辺に向かうまでの間に一斉に休憩する時間があることがわかった。これは、子ガメが互いの動きを感じつつ集団で待機し、一斉に地上に出てくることで、捕食者に捕らえられる可能性を低くしているものと考えられる。

おそらく子ガメは、卵の殻を破って出たあと、その殻の上にいる兄弟たちに合流し、地上へ出る機会をうかがう。そして、孵化した卵から出たすべての子ガメが準備を終えると、卵がガサガサと動かなくなるため、しばしの静寂が訪れる。これが、子ガメたちが一斉に地上へ出てくるきっかけになるのだ、と研究者は述べている。

さらに研究者らは、最初に卵から出てくる動きを検知してから、すべての子ガメの準備が整う静寂の時間がどれぐらい続くかを予測した。これにより、子ガメが地上に出てくる日を、ほぼ正確に推測できるようにもなった。こうしたデータの蓄積を重ねていくことで、絶滅が危惧されるウミガメに関する知見も、もっと深まるかもしれない。

Source: PLOS ONE
via: EurekAlert

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