絞りは3段階から変更可能

リコー、360度カメラのフラグシップモデル「THETA Z1」。1.0型センサー採用、約12万円

編集部:平山洸太
2019年02月25日
リコーは、360度撮影が可能なカメラ「RICOH THETA」の新モデルとして、「THETA Z1」を3月下旬に発売する。価格はオープンだが、公式直販ストアでは117,500円(税抜)で販売される。

「THETA Z1」

「THETA Z1」

同社の光学技術や画像処理技術を駆使し、高画質・高品質を追求したとするフラグシップモデルとなる。同シリーズからは、「THETA V」(関連ニュース)、および「THETA SC」(関連ニュース)の2モデルがラインナップされていたが、今回、新たに最上位ラインが追加されたかたちだ。

THETAシリーズのラインナップ

フラグシップモデル「THETA Z1」を発表

発表会では、冒頭に同社執行役員 Smart Vision 事業本部 事業本部長 大谷 渉氏が登壇。THETAシリーズについて「初代機を発表して5年が経った。撮りたい時にすぐ撮れる・スマホと連動していつでも見られる・リアルタイムでシェアできるというコンセプトでやってきて、360度カメラとしてトップブランドを維持してきた」と述べた。

(株)リコー 執行役員 Smart Vision 事業本部 事業本部長 大谷渉氏

またこの5年間で360度カメラはビジネスでも使われてきており、不動産、報道、観光、教育など、様々な分野に広がってきているとのことだ。また広告での使用など、360度カメラにはまだ可能性が秘められているという。

360度カメラは一般ユーザーでもビジネス利用でも広がってきているという

これを踏まえた上で、今回の製品は “最も要望の多かったところに答えよう” というテーマで開発が行われたという。そして多く上がった声が「もっと綺麗に撮りたい」「もっと美しく撮りたい」というものであったことから、 “持ち運べて簡単に撮れる、現時点で最高のもの” という結論に至ったとのこと。カメラメーカーの挑戦として、プライド、誇り、遊び心を製品に込めたとアピールする。

高画質の360度コンテンツ制作に関わるユーザーを想定

THETA Z1のイメージセンサーには、1.0型の裏面照射型CMOSを2基搭載。なお下位モデルのTHETA V・SCではこれより小さい1/2.3型センサーを搭載している。有効画素数は約2,000万画素で、約2,300万画素相当の360度の静止画が撮影できる。また360度の動画では、4K/30fpsの記録に対応する。ISO6400の高感度撮影、最速1/25000秒のシャッター速度での撮影も可能。また静止画では、従来のJPEG形式に加え、新たにRAWファイル形式(Adobe DNG)での記録にも対応した。

1.0型の裏面照射型CMOSを2基搭載。3段階の絞り調整にも対応する

本機搭載のイメージセンサー(左)。右はTHETA V搭載の1/2.3型

同社のユーザー調査では、THETAシリーズの68%が一眼カメラを所持していることがわかったという。それらのユーザーが求めることは「 “解像度” や “高感度撮影時の画質向上” で、これに答えるため大型のセンサーを搭載した」と同社 Smart Vision 事業本部 THETA事業部 事業部長 藤木 仁氏は語った。その効果はTHETA Vと比較すると1段分相当となり、感度で言えばZ1のISO1600と、VのISO800が同等のノイズ量になるという。

(株)リコー Smart Vision 事業本部 THETA事業部 事業部長 藤木仁氏

画質を求める声が多いという

そしてレンズユニットは大型化したセンサーを搭載するために新設計となった。3つのプリズムを用いて3回の屈折を行うことで、1.0型センサー搭載したにもかかわらず、本体の厚さ24mmを実現したという。なおTHETA Vでは屈曲機構を取り入れているものの、その回数は1回。「今回の開発では、このレンズユニットが1番苦労したポイントだ」と、藤木氏は話した。

3回屈曲構造

内部のレンズユニット。独自の3回屈曲構造技術を採用する

さらに設計を行う際に、絞り機構を入れ込んだ。これにより絞りはF2.1、F3.5、F5.6の3段階から選ぶことができ、絞り込むことで周辺部の画質を上げることも可能になった。またレンズは10群14枚で、画像に影響を与えるゴースト、フレア、パープルフリンジを効果的に抑制する設計とのこと。

THETA V(左)との比較。ノイズが少なくなったほか、解像度も向上。またパープルフリンジが減少するなど、画質を向上したという

画像のアルゴリズムも一新。「低感度から高感度まで低ノイズで解像感の高い映像が得られるようになった」とアピールされている。また通常撮影時においても自動判定でDR(ダイナミックレンジ)補正が行われるほか、屋外で明暗差がある場合でも白飛びを効果的に抑えるとのこと。そのほか「HDR合成機能」、星の光跡の記録に使える「インターバル合成機能」、最大19個の設定で連続撮影する「マルチブラケット撮影」など様々な撮影モードを搭載する。

手ぶれ補正として、動画撮影時に回転3軸補正を搭載。これにより優れた手ぶれ補正性能を発揮するという。また露出設定にAv(絞り優先自動露出)、Tv(シャッター優先自動露出)、ISO(ISO感度優先自動露出)、M(マニュアル)を追加、よりきめ細やかな設定での動画撮影が可能になった。なお静止画時には手ぶれ補正は使用できない。

会場にはスケルトンモデルも展示されていた

カメラ本体には4基のマイクを搭載しており、水平方向だけでなく上下も含めた360度全方向に対する音声の記録・再生に対応する。映像だけでなく音も撮影環境のままを再現することで、臨場感にあふれたVR動画コンテンツの作成や、大型モニターでの動画鑑賞をよりリアルに楽しめるという。

本体下部には、撮影情報を表示する0.93型の有機ELパネルを搭載。そのほかFnボタンによりパネル表示の切り替え、通常撮影とセルフタイマーの切り替え、3種のプラグインの切り替え、消灯・消音モードへの切り替えなどを行うことができる。また「マイセッティング」として、スマートフォンから設定した撮影条件を、静止画と動画1つずつ、カメラ本体に記録することも可能。

側面にはFnボタンなどを備える

0.93型の有機ELパネルを搭載

ボディの素材にはシリーズ初となる金属を採用、軽量・堅牢性をもつマグネシウム合金を用いた。また表面にはシボ加工が施され、「最上位機種にふさわしい高級感の質感」とする。底面には金属製の三脚ネジ穴が備えられ、外部接続コネクタとしてUSB3.0(Type-C)を搭載する。

底面に金属製の三脚ネジ穴とUSB-C端子を搭載

本体はマグネシウム合金製

プロセッサーにはTHETA Vと同様にQualcomm Snapdragon、OSにはAndroidベースのものを採用。ファームウェアアップデートによる継続的な機能拡張・性能向上を可能とする。また各種プラグインにも対応し、純正プラグインのほか、「RICOH THETA プラグイン パートナープログラム」により、一般の開発者がリリースしたプラグインも利用できる。

ワイヤレス機能として、Wi-FiとBluetoothに対応。Bluetoothでスマホと常時接続することで、バッテリーの消費を抑えつつもリモート撮影や撮影設定変更が行えるようにした。また、本体側のシャッターで撮影した場合でもスマホのGPSで記録した位置情報をBluetoothで本体側に渡すといったこともできる。

外形寸法は約48W×132.5H×29.7(レンズ部を除くと24)Dmmで、質量は182g。本体には約19GBのストレージを内蔵する。撮影可能枚数は、静止画約300枚、動画約60分。

本機の発売に際し、Adobe Photoshop Lightroom Classic CC用プラグインとして「RICOH THETA Stitcher」もリリース。無償で提供され、これを用いることで、RAWで記録したファイルを現像した後、プラグインでつなぎ目のわからない全天球画像を生成できるという。天頂補正、方位補正、スティッチング時の距離指定の詳細を変更することもできる。

また3月には、新プラグイン「Time-shift Shooting」がリリース予定。このプラグインは片側それぞれのレンズの撮影時間をずらすというもので、これにより物陰に隠れなくとも、撮影者を映さずに撮影ができるようになる。

そしてアクセサリーも新しく追加される。レンズ部を保護する専用キャップ「TL-2」は3月下旬発売予定となっており、価格はオープン。内装素材と設計を工夫することで、抜き差し時にレンズに傷がつきにくい設計とした。また本体底面部に装着することも可能で、これによりテーブルの上など、安定した撮影ができるという。

本機に使用できるアクセサリー。左から、TL-2、TL-1、TE-1、AT-1

そのほか、レンズキャップ「TL-1」(3月8日発売予定)、専用セミハードケース「TS-2」(3月下旬・本体と同時発売予定)もラインナップされる。

専用セミハードケース「TS-2」

■“インスタ映え” ならぬ “THETA映え” を広めていきたい

発表会では、フォトグラファーの角谷靖氏を招きトークセッションを実施。実際に撮影した感想を作例とともに語った。

フォトグラファー 角谷靖氏

同氏はカナダに拠点を置きオーロラをはじめとした絶景写真を撮っているという。当初はフィルムでオーロラを撮影していたが、広角レンズでは光景を全て収められないことから、デジタルになった10年ほど前から、6〜7枚の写真を合成し、360度写真を作るようになったという。

360度カメラの魅力について、「前後左右や、天候がどうだったのかなどを捉えることができる。例えば北はどういう風景で、南はどういう風景であるとか、そういった臨場感を伝えることができる」と語る。

またボリビアで実際に撮影した写真を表示させて「これは走る車から片手を出して撮影したもの。THETA Z1は小型なので片手で撮ることができる。海外撮影では飛行機での持ち込み制限などがあるので、ポケットに入る大きさは魅力の1つ」と、小型であることのメリットについて解説した。

ボリビアで撮影された360度写真

高感度時の画質については、「ウユニ塩湖で星を撮影したが、ISO3200で撮影したにもかかわらず、天の川がはっきりと撮れた。水面に映る星も捉えられている。RAWでも撮影できるようになったので、作品制作にとてもよい1台になった」と話す。

ウユニ塩湖で撮影された360度写真

さらにセンサー大型化の恩恵であるダイナミックレンジにも触れ、「夜景では街灯があるところと無いところでは輝度差があり、白飛びしやすい。大阪で撮影したが、ビルの窓も白飛びせず中まで見える。一方の暗いところもはっきり写っているので、ダイナミックレンジが広くなったと感じた」と説明した。

大阪で撮影された360度写真

そして最後に、THETA Z1を連れていきたいところについて尋ねられると、「インスタ映えと言われるような場所でも、例えば富士山を撮ると誰でも綺麗に撮れるかもしれないが、その反対側には道路や店などが並んでいて、THETAで撮ると綺麗に撮れるとはいいがたい。カナダの北極海は海が凍っていて、ぽつんと1人だけ。さらにオーロラも出るので、そういった360度絶景、THETA映えするところに行きたい」と語っていた。

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