HOME > ニュース > 水月雨、7年かけて開発した静電ヘッドホン「MOONZERO」など多数の新製品を発表

2026年後半以降に登場予定の新製品をブランド代表自ら解説

水月雨、7年かけて開発した静電ヘッドホン「MOONZERO」など多数の新製品を発表

公開日 2026/09/05 17:46 編集部:原田郁未
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

水月雨(MOONDROP)は9月5日(土)、東京・丸の内のステーションコンファレンス東京にて「水月雨(MOONDROP)試聴発表会 2026」を開催した。同ブランドが日本国内で自ら主催する試聴発表会は今回が初めて。メディア向けの新製品説明会の後、一般来場者向けに会場を開放し、新製品の試聴会を実施した。

メディア向け発表会には、水月雨代表の鄭(水月)氏が登壇。製品紹介から技術解説まで終始日本語で説明した。

今回の発表会では「今度こそ、もう待たせない。」をテーマに掲げ、これまで発表しながらも発売には至っていなかった製品、開発が長引いてしまっていた製品などを、改めて国内向けに正式発表した格好だ。

ブランド代表の鄭氏

今回披露された注目製品は、7年をかけて開発した静電型ヘッドホン「MOONZERO(月零)」、平面磁界型フラグシップ「DARK SIDE(月之暗面)」、完全ワイヤレスイヤホン「the Garden(万華鏡)」、CrinacleとのコラボレーションによるトライブリッドIEM「Silicon(硅基)」など。

発表会ではこのほか、イヤーフック型DAC/アンプモジュール「EVO II」、IEM用ゲーミングモジュール「E.S. Combo」、eスポーツ向けヘッドホン「Gaming Maestro GM-01 Pro」など、未発売製品を多数紹介した。

7年越しで製品化。静電型ヘッドホン「MOONZERO」

MOONZEROは、水月雨にとって初となる量産型のフラグシップ静電型オーバーイヤーヘッドホン。構想から7年間をかけて開発してきたモデルだという。

同社が独自開発した静電型ドライバー・アーキテクチャを採用し、その中核となるのが直径112mmの大型静電型ドライバー。長期にわたり試作と改良を重ねることで、構造的な安定性と信頼性を高めたとしている。

MOONZERO

振動板には、厚さ1.2μmの円形振動膜「Golden Cicada Wing(金色蝉翼)」を採用。具体的な材料については非公開とする独自素材で、温度や湿度が変化しても安定した状態を維持しやすく、分極電荷についても均一な分布を狙った設計だという。

企業秘密の新素材を振動板に採用

外装には軽量素材を使用。ヘッドバンドにはドライカーボンファイバーを採用し、弾性や耐久性を確保しながら軽量化を図った。

頭頂部には柔軟な3Dプリント製の調整式ヘッドバンドパッド、イヤーパッドにはステッチ入りのラムスキンを採用する。ハウジングはオープン型で、ドライバー部分には二重の保護メッシュを採用。振動板を保護しながら、音響面では反射をできる限り抑える構造としている。

端子には、静電型ヘッドホンで広く使われている汎用5ピンコネクターを採用。市販されている多くの静電型ヘッドホンアンプとの組み合わせを想定している。発表会時点で、日本国内における販売価格は未定だが、10万円弱程度になるとのこと。

価格は未定だが、およそ10万円弱になるとのこと

もう1つのフラグシップ「DARK SIDE」。500nm振動板×FDT全面駆動

平面磁界型ヘッドホン「DARK SIDE」も紹介。同製品については「1年間お待たせしました」と説明した。大口径振動板とFDT構造、磁気回路を一体で設計することで、低歪みと広いダイナミックレンジ、自然な音場表現を追求したとしている。

DARK SIDE

ドライバー周辺には一体成形・精密加工した透明PMMA構造を採用し、振動板固定部にはセラミック基材を使用。外側のフレームは多層複合カーボンファイバー製とし、剛性と軽量性の両立を図る。

ドライバーの構造イメージ

ヘッドバンド部には、MOONZEROと同様に柔軟な3Dプリント技術を用いた調整式パッドを採用。標準ケーブルには銀・白金・パラジウム系の合金線材を採用し、専用のアルミニウム製キャリングケースを用意する。各製品には個別番号入りの金属製プレートも備える。

 銀・白金・パラジウム系の合金線材ケーブルを採用

“豆型でもステム型でもない”完全ワイヤレス「the Garden」

完全ワイヤレスイヤホンでは、「the Garden」を紹介。充電ケースには内部構造が見える透明デザインを採用する。イヤホン本体も、一般的な豆型やステム型とは異なる独自形状を採用した。会場資料では販売価格27,900円(税込)と案内された。

 the Garden

細長い独自構造によって内部容積を確保し、13mmの平面磁界ドライバーを搭載。ドライバーには、独自のFDT(Full Drive Technology)構造を採用する。

BluetoothコーデックはLDACとLHDC-Vに対応。水月雨のオンライン・インタラクティブDSPも利用でき、ユーザーによるサウンド調整に対応する。ノイズキャンセリングにはFF+FBのデュアルフィードバック方式を採用。リアルタイム・アダプティブANC、風切り音抑制、外音を自然に聞かせる「Vivid」トランスペアレントモードを備える。

細長い特殊構造に様々な機能を搭載

通話系には左右合計6マイクのアレイとマルチマイク・ビームフォーミング技術を搭載。バッテリーはイヤホン単体で最大12時間、充電ケースから追加で30時間分を確保する。ケースを開けると接続する機能やボタンペアリングに加え、ワイヤレス充電にも対応。ケースのヒンジにはステンレス製MIM(金属粉末射出成形)パーツを採用し、1万回の開閉耐久試験をクリアしたとしている。

クリアカラーが特徴的なケースは 1万回の開閉耐久試験をクリアした

有線イヤホン「Silicon」はDD+BA+MEMSの5ドライバー

有線イヤホンでは「Silicon」を紹介。海外のオーディオレビュアーであるCrinacle氏とのコラボレーションによって開発したモデルで、片側3種類/5ドライバーを搭載するトライブリッド構成だ。内訳は、低域用ダイナミックドライバー1基、中域用BAドライバー2基、高域用MEMSドライバー2基。

Silicon

高域側には、新開発の低電圧駆動MEMSトゥイーターを採用。専用パワーアンプを必要とせずに駆動でき、同社では超広帯域かつフラットなレスポンスと、鋭い過渡応答を特徴として説明している。

低域用ダイナミックドライバーには、極薄のバーチ無垢材ドームを使った複合振動板を採用。さらに、内側と外側を等体積としたデュアル磁気回路構造を組み合わせ、厚みや量感を伴った低域を狙ったという。

ドライバーの構造イメージ

イヤーチップは、熱可塑性素材を用いた「UC Tips」と、デュアルレイヤーシリコンでメモリーフォームを支える「ATF-O」の2タイプが付属。シェルには内部の複数ドライバーや音響構造が見えるクリアデザインを採用する。

イヤーチップは、熱可塑性素材とデュアルレイヤーシリコンの2種を各サイズ用意

eスポーツ専用ヘッドホンも紹介

ゲーミング製品も紹介。水月雨では、元プロeスポーツ選手によるテスト・最適化チーム 「MOONDROP: Gravity」を設立し、ゲームにおける定位や音情報の聞き取りやすさを研究したと説明している。

ゲーミング製品専門の開発チーム「MOONDROP: Gravity」を設立

MOONDROP: Gravityが手掛ける初の製品となるGM-01 Proは、オーバーイヤー型のワイヤレスゲーミングヘッドセットで、2.4GHz専用ワイヤレス、Bluetooth 6.0、USB-C/USB-A、3.5mm AUXの4モード接続に対応する。2.4GHz接続には専用トランスミッターを用い、理論上の伝送遅延は最短15ms、実測のシステム全体では最短30msと説明する。

「GM-01 Pro」はホワイトとブラックの2カラーを用意

ドライバーは50mm径。N52ネオジム磁石と、カーボンファイバー複合ドーム+柔軟エッジによる複合振動板を採用し、左右チャンネルの特性差は±1dB以内をうたう。

また、中国のECサイト・JD.comとのコラボレーションモデル「GM-01」も発表。こちらは GM-01 Proのコア機能を残しつつ、一部素材/部品を変更した廉価版になるという。

廉価版「GM-01」も紹介

その他アクセサリーなど新製品も披露。試聴会は大盛況

イヤホン、ヘッドホンに加えてアクセサリー類も紹介した。「EVO II」は、耳掛け型の完全ワイヤレスBluetoothアダプターとワイヤレスDAC/アンプを一体化したアイテム。手持ちの有線IEMをワイヤレス環境で使用するための製品となる。税込16,650円前後での発売を予定している。

有線IEMをワイヤレス化できる「EVO II」

「E.S. Combo」は、新しいイヤホンそのものではなく、既存のIEMをゲーム用途へ拡張するモジュラー型の有線ゲーミングセット。セットを構成するのは、ケーブル、着脱式マイク、ミュートスイッチ、USBサウンドカード、変換アダプター、衣類用クリップなど。それぞれを組み合わせて一式のゲーミングシステムとして使うほか、必要なパーツのみを使用することもできる。こちらは税込7,380円前後での発売を予定。

自前のIEMをゲーミング仕様にカスタムできる 「E.S. Combo」

試聴会には多くのユーザーが足を運び、新製品を試聴した。特に「MOONZERO」「DARK SIDE」の2製品では、試聴に整理券を配布して対応するなど注目度が伺えた。

 「MOONZERO」「DARK SIDE」をはじめとした新製品に注目が集まった

終始日本語で解説を務めた鄭氏は、「慣れない日本語の説明で緊張したが、多くの日本ユーザーに自社の製品が注目されていることが分かり喜びを感じている。今後も魅力的な製品の開発を進めていきたい」と、同会の手応えを語った。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク