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Sosos新製品と最新システムをさっそく体験

<IFA>Sonosの「Beam Ultra」「Ace Ultra」を先行体験。サウンドバーとヘッドホンが瞬時につながる

公開日 2026/09/04 13:17 山本 敦
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Sonosがドイツ・ベルリンでプライベートショーを開催した。主役は9月2日に発表された、一体型サウンドバーの「Sonos Beam Ultra」とワイヤレスヘッドホンのフラグシップモデル「Sonos Ace Ultra」だ。

それぞれを結び付ける独自開発のオーディオ・オペレーティングシステム「Sonos 27」が実現するリスニング体験も重要なトピックのひとつ。

ベルリン市内のブティック・ホテルにプライベートな空間を模したデモルームをつくり、先行プレビューを実施した。筆者もこのイベントに参加して、Sonosの新製品を体験した。

ベルリン市内でSonosが開催したプライベートショー参加。新製品の「Sonos Beam Ultra」を体験した
新しいワイヤレスヘッドホンのフラグシップ「Sonos Ace Ultra」

独自のサウンドプラットフォームを刷新した「Sonos 27」

Sonosのシステム/ソフトウェア担当の先端技術部門 ディレクター、ジェームス・ネスフィールド氏は「Sonosは長年にわたりスピーカーブランドとして知られてきたが、その本質は家庭内のサウンド体験の中核を担うオペレーティングシステムにある」と語った。

今回「Sonos 27」と正式に命名されたこのプラットフォームは、大きく4つの主要コンポーネントにより構成される。

SonosがOSの開発に力を入れる背景をジェームス・ネスフィールド氏が語った

ひとつは100を超える世界中のストリーミングサービスを束ねるコンテンツプラットフォームだ。

2つめは、「Sonos 27app」「Sonos 27web」「Sonos 27voice」、さらに今回拡張される外部AI連携などからなる各種コントロール・インターフェースだ。

3つめは、製品間の接続と位置関係をインテリジェントに把握するソフトウェアレイヤーの「Sonos Fabric」。

そして4つめが、設置環境に合わせて音響特性を最適化する「Trueplay」の機能になる。

Sonos 27によるハードとソフトの高度な連携が生み出す、ホームシアターとパーソナルリスニングの垣根を越えたシームレスな体験には、筆者も強い説得力を感じた。

Sonos Beam Ultraのサウンドに包み込まれる臨場感

最初に体験したコンポーネントはSonos Beam Ultraだ。前世代のSonos Beam (Gen2)と同等のコンパクトなサイズ感を維持しながら、内部構造はパーツ単位から全面的に見直されている。

Sonos Beam Ultraのホワイト
 こちらは Sonos Beam Ultraのブラック

最大の進化点は2基のアップファイヤリング専用ユニットを含む、計9基のカスタムメイドのスピーカーユニットを搭載したことだ。従来のバーチャル処理ではなく、天井の反射を利用したリアルなイマーシブサウンドが再現できるようになる。

プロダクト紹介を担当したネスフィールド氏は、ユニットの数がGen2の5基から大幅に増えたことで「低域のエネルギーを複数のユニットに効率よく分散できるようになり、歪みを抑えながらダイナミックレンジの飛躍を果たした」と成果を語った。

デモンストレーションは本機のサウンド体験エンジニアであるハリー・ジョーンズ氏が担当した。最初に音楽配信サービスのステレオ音源から試聴した。

ハリー・スタイルズの楽曲『Ready, Steady, Go!』を再生すると、イントロのシンセサイザーが音像の中央に鋭く立ち上がった。

そしてボーカルが続いた瞬間、音場が左右と上方へダイナミックに広がる。コンパクトなサウンドバー単体で鳴らしていることがにわかに信じられないほど、引き締まったパンチ力のある低音を響かせる。

Sonos Beam Ultraのサウンドの魅力を解説するハリー・ジョーンズ氏

ジョーンズ氏は、新しいBeam Ultraの音響設計はSonos本社のオーディオラボと、グラミー賞やアカデミー賞の受賞歴を持つサウンドクリエイター集団のSonos Soundboardによるスタジオでのチューニングを粘り強く重ねと説明。これによってクリエイターの意図に忠実なサウンドバランスに整えることができたと自信を見せた。

映画はいくつかのコンテンツを視聴した。映画『罪人たち』の中で、キャストたちが歌い踊るミュージカル・ナンバーでは、包み込まれるような音場感に息をのんだ。

Sonos Beam Ultraではセンターチャネルの音響設計が刷新されただけでなく、DSPとAIを統合した「AIスピーチエンハンスメント」の機能を強化した。アプリから4段階で、スピーチ(=ダイアローグ)の強調度が調整できる。

静かなセリフ中心の作品でその効果を試すと、背景のアンビエント音や効果音のバランスを崩すことなく、声の輪郭だけがスッと前面に浮き上がる丁寧な処理を確認できた。

瞬時にイマーシブサウンド環境をつくりだす「Portable Surrounds」

今回のイベントで、来場したメディアを最もわかせたのが、Sonosの機器どうしをシームレスにつなぐ「Sonos Fabric」のデモンストレーションだ。

そのひとつである「Portable Surrounds」は、Sonosのサウンドバーとサブウーファーによるシステムに、ポータブルスピーカーの「Sonos Play」をリア側に2台追加した環境でデモを実施。

Sonosのスタッフがデモルームの後方に配置したサイドテーブルに、2台のスピーカーを無造作に置いただけでシアター環境がたちまち7.1.4ch相当のイマーシブ構成にアップグレードした。

このセッティングで、先ほどの映画『罪人たち』のシーンを再生すると、後方の音場密度と立体的なサウンドオブジェクトの移動感が一変した。まさしく映画のシーンの真ん中に放り込まれたような臨場感だ。

視聴環境に追加された2台のSonos Playが圧倒的な臨場感をつくり出した

Portable Surroundsの中核にあるのが、高周波の音波を利用してスピーカーの配置を検知し、その位置に応じてシステム内での役割を自動的に切り替える技術だ。

スピーカーが移動したことを加速度センサーにより検知すると、サウンドバーとポータブルスピーカーの間で高周波音を送受信し、部屋の中での相対的な位置関係を素早く算出する。

ここでさらに秀逸なのは、サウンドバー側であらかじめ測定・保存されたTrueplayの音響プロファイルが破綻しないことだ。なお、映画鑑賞を終え、リアスピーカーを元の場所に戻すだけでBeamとPlayはそれぞれ元の設定に切り替わる。

ワイヤレススピーカーのSonos Playをリアスピーカーとして使う場合、気になるのは内蔵バッテリーによる駆動時間だ。Portable Surroundsのモードで駆動することによって、通常のWi-Fiリスニングに比べて大きくバッテリーを消費することはないという。

もしバッテリーの減りが気になるようであれば、Sonos Playに付属する充電スタンドを併用すればいい。

旗艦ヘッドホン「Sonos Ace Ultra」の新しいワイヤレス再生機能

Sonosの新しいフラグシップヘッドホン「Sonos Ace Ultra」も、この日はSonos Fabricを構成するもうひとつのメイン機能である「Headphone Linking」を中心に試聴できた。

ヘッドホン製品のプロダクト・ディレクターであるカイル・ハッチソン氏によると、2024年に発売された初代Sonos Aceに対して、ファンからは「ヘッドホン単体でWi-Fiに直接つながり、スピーカーと同じようにSonosシステムの中でシームレスに動作してほしい」という要望が多く寄せられたという。

ヘッドホン製品を担当するカイル・ハッチソン氏

開発初期のプロトタイプでは、スマートスピーカー「Era 100」と同等のフルスペックのLinuxプラットフォームをヘッドホン内部に丸ごと組み込む設計も実際に検討してきた。

しかし、ヘッドホンの小さな筐体内で大規模なコンピューティングを行おうとすると、深刻な発熱の問題が生じ、重量増やバッテリー駆動時間の大幅な短縮、装着感の低下、さらにはBluetooth接続の不安定化や製造コストの高騰といった数多くのトレードオフに直面することになったという。

そこでAce Ultraでは、米クアルコムの最新チップセットを採用してBluetooth 6に対応させつつ、Sonos独自のハードウェア/ソフトウェア複合エンジン「Headphone Engine 2」を開発。

電波環境が不安定になりがちな家庭内の死角でも安定して通信できるようRF回路を徹底的に強化した。

Sonos Aceの、 やわらかみのあるデザインを継承した
側面のスライド式ボタンを長押しするとHeadphone Linkingが起動する

コンテンツの生成やストリーミング処理といった「再生機=プレーヤー」の役割は、宅内に設置したSonosのスピーカー(Era 100、Move、PlayなどWi-Fiに対応するモデル)に任せるという、分散処理によるWi-Fi再生のシステム構成を採用した。

宅内に1台でもSonosスピーカーが稼働していれば、ヘッドホンは本体背面の物理ボタンを長押しするだけで、スピーカーやテレビの音声をシームレスに引き継ぐことができる。

仮にスマートフォンが手元になくとも、Sonosのスピーカーを介することで家中を移動しながらシームレスなリスニングが楽しめる。

なお、クアルコムがSnapdragon Soundのブランドのもとに実現した、スマートフォンなどのプレーヤー機器とワイヤレスイヤホン・ヘッドホンを超低消費電力のWi-Fiプロトコルで接続して、ハイレゾワイヤレス伝送を実現する独自SoCによるWi-Fi無線オーディオ伝送技術「XPAN」と、このSonosのHeadphone Linkingは似て非なるもののようだ。

Sonos Ace Ultraのアプリによる様々な機能を解説したプリンシパル・プロダクトマネージャーのコラム・フレーザー氏

なおSonos Ace UltraはaptX AdaptiveによるBluetoothオーディオにも対応しているが、本機の上限は48kHz/24bitのロスレスオーディオ再生までとなり、最大96kHzのハイレゾワイヤレス再生はサポートしていない。

Sonos Ace Ultraの実機を手に取ってみて、装着感やポータビリティが一段とブラッシュアップされた手応えがあった。ヘッドホンを肩にかけたときに、イヤーカップの外側が表を向くようにヒンジの回転機構が修正されている。

柔らかく耳もとにフィットするイヤーパッドはマグネット式で着脱交換が可能。バッテリーの交換にも対応する。

カラーバリエーションの「ブラック」は、ビジネススーツのような重厚な黒からわずかにトーンを明るくした色味に変更され、カジュアルな装いにも馴染みやすくなっている。ブラックよりも少し青みがかった新色「アガベ」に筆者は物欲をそそられた。

左側が新色のアガベ。右がブラック
右側がもうひとつの新色サンド
イヤーパッドを着脱できる

なぜSonosはAIオーディオにこだわるのか

ハッチソン氏は、新しいOSのSonos 27が実装する「Sonos 27mcp=MCP(Model Context Protocol)」の開発担当者でもある。

OpenAIのChatGPTなど、外部の生成AIベースのプラットフォームにSonosのOSを接続するための新機能だ。なぜSonosはプラットフォームのAI対応に力を入れるのだろうか。

Sonosのチーフ・イノベーション・オフィサーであるニック・ミリントン氏らが率いる開発チームは、同社が一貫して守り続けてきた「ユーザーに自由な選択肢を提供する」という哲学を、AIの領域にも持ち込むことに、今回大きな一歩を踏み出した。

特定のAIによるエコシステムにユーザーを囲い込むのではなく、OpenAIのChatGPT、グーグルのGemini、あるいはアンソロピックのClaudeなど、ユーザーが普段愛用している外部AIエージェントからSonosシステム全体を自由に制御できる環境を目指す。

オーディオシステムをAIとチャットしながら操作するという感覚は正直、筆者にとってもあまり馴染めないが、ハッチソン氏に聞くと、生成AIを組み込むことによってオーディオシステムの操作は劇的に変わる可能性があるという。

例えば「2000年ごろの映画で、ラッセル・クロウが出演していた古代ローマの作品のサントラをかけて」と伝えれば、AIが映画『グラディエーター』を特定して指定された楽曲を再生する。

さらに「今夜は友人が集まるので、18時から20時までは1階のスピーカーすべてで90年代パンクロックを流し、20時になったら家中すべてのシステムにHDMIで接続したテレビの音声を流して」といったゾーン設定、時間指定、入力ソースの切り替えを伴う複雑なコマンドも、自然言語で伝えるだけで正確に実行できるようになるとハッチソン氏は説明する。

今後はユーザー自身が独自のモデルや音声を作り込んだ専用アシスタントを組み込める「Sonos Custom Agents」の展開も予定されており、フィットネスやクッキングなどより専門性の高いサードパーティ製のAIモデルとの連携にも拡大する見込みだ。

今回、筆者が取材したイベントを通じて、Sonosの視線が製品単体のスペックだけを高めるのではなく、「家全体の音響空間」をいかに破綻なくシームレスに機能させるかという体験価値の創出に向けられていることがわかった。

秋に発表された新製品はもちろん個別に魅力的だが、互いが連携することによってSonosらしい先進的な世界観が浮かび上がってくる。筆者も帰国後にまた、腰を落ち着けて体験できる機会を楽しみにしたい。

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