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ガラスの新たな魅せ方/使い方

AGCが“踊る” “光る”新しいガラス製品を提案。協創プロジェクト「SILICA」発表

2018/12/12 編集部:押野 由宇
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AGC(株)は、同社の素材・技術の新たな可能性を引き出しイノベーションを生み出すことを目的とした協創プロジェクト「SILICA」の発表会を、本日12月12日に開催した。

AGCが協創プロジェクト「SILICA」を発表

SILICAでは、同社の保有する「化学強化技術」「コーティング技術」「挟込み成形技術」を題材に、クリエイティブパートナーと協創し、技術の新たな魅せ方を検討するべく立ち上げられたプロジェクトとなる。

発表会では、まずAGCの代表取締役 兼 専務執行役員CTOの平井良典氏が登壇。「AGCは自動車用ガラスやブラウン管用ガラスバルブなど、日本で最も早くガラス事業を手掛けてきた。20世紀には『こういったものが欲しい』という要望にじっくりと取り組むことが出来たが、21世紀は迅速な展開が求められており、そこでオープンイノベーションが必要となる」とオープンイノベーションへの活動を行ってきたことを説明。

平井良典氏

そして、その鍵となるキーワードは『つなぐ』であると述べた。「“つなぐオープンイノベーション” として、3つの活動を行っている。1つは世界をつなぐ、グローバルにテクノロジーネットワークと新規事業開拓を一体にした技術マーケティング。そして2つめ、新研究開発棟を2020年6月を目安に設立し、他業種や研究機関とコラボレーションできる協創空間を構築して社外をつなぐ。3つめがSILICAであり、未来のパートナーとつながるための種まきを行い、協創を実現することを目指している」。

オープンイノベーションの取り組みとしてSILICAをスタート

SILICAの現在の取り組みとしては、素材・技術の新しい魅せ方を提案する「ANIMATED」と、ガラスの新しい使い方を提案する「GLASS INNOVATION CHALLENGE」を展開する。

このうちANIMATEDについて、AGC(株)商品開発研究所の續木 南氏が「いままでとはまったく異なるガラスの魅せ方により、未来の協創パートナーにガラスの魅力を感じてもらう場を作りたい。ANIMATEDの展示では、従来のガラスに抱かれがちな “冷たい” “無機物” というイメージではなく、ガラスを “生き物” に見立てて表現している。これはAGCのガラス技術と多彩なクリエイターが組むことで実現できた」と説明を行った。

續木 南氏

ガラス技術とは上述した3つを指しており、「化学強化技術」では薄いガラスでも圧倒的な強度を持つ「Dragontrailガラス」を開発、この薄くて強い特性により、揺れるガラスのバネ「踊るガラス」などの動きのあるガラス製品が実現できるという。

バネ状になっておりゆらゆらと動く「踊るガラス」(建築家:大野友資)

またガラスに低反射機能をプラスする「クリアサイト」、ガラスに色付けする「ラコベル」、さらに光の特性を制御するといった「コーティング技術」では、様々な意匠性をプラスできることで、幅広い応用が期待できる。

光の特性制御による「発光するガラス」(プロダクトデザイナー:秋山慶太)

そしてガラスにフィルムや金網などを挟込むことで、様々な機能をもたせる「挟込み成形技術」では、防火性能や耐久性能だけでなく、2重にかさねたメッシュを挟込んだ「ゆらぐガラス」、蓄光粉末を挟込んだ「光を食べるガラス」などの意匠性を実現することも可能となっている。

メッシュを挟込んだ「ゆらぐガラス」(建築家:古市淑乃)

蓄光粉末を挟込んだ「光を食べるガラス」(建築家:大野友資)

またオープンイノベーションプラットフォーム「Wemake」を提供する(株)A(エイス)の代表取締役 山田 歩氏が、その取り組みについて「異分野・異業種で活躍するプロフェッショナルからのコンセプト、ニーズの提案が行われることで新しい気づきが得られる。さらにジャストアイディアではなく、精査された事業企画を創出できるという、ハイレベルな事業創造が提供できるプラットフォームとなる」と解説を行った。

山田 歩氏

このWemakeを活用したAGCプロジェクトについては、「ガラスの特徴を活かした日常の体験を変える製品、サービスのデザインを募集した。顧客である様々な製品開発を行う企業に対して説得力のある提案を行うために、エンドユーザーが欲する体験をどうガラスで実現するか、という体験ありきのアプローチで新規事業、新開発開発を行うことを目指した」という。

ファイナリストとして選抜された事業化を前提としたプロトタイプが会場には展示されている。その1つである「IoTガラスブロック」は、「ガラスに好みの機能を持たせ、その機能を自由に組み替えたい」というアイディアから生まれたというコンセプトモデル。ガラスに調光と面発光の機能を持たせることで、オフィスなどの空間に応じて透明度や照度を調整できるというインタラクティブなガラスウォールが構築できる。ガラススピーカーや環境データのセンシング機能などを取り入れての多機能化も想定されている。

ガラスに調光、面発光機能を持たせた「IoTガラスブロック」

また「風を通すガラス」は、開放性、デザイン性、安全や防犯性を兼ね備えるという透明な壁面が実現できるプロジェクトだ。規則的な有孔を持たせることで、通常のガラスより開放感をもたせることができ、またガラスを用いることで居住性や防犯性、デザイン性を生み出すことができるとしている。

「風を通すガラス」と通常の手すりの比較

このSILICAプロジェクトから生まれた活動成果の技術企画展「AGC Collaboration Exhibition 2018」が12月12日から2019年3月1日まで、東京・京橋のAGC Studioで開催されている。音の鳴るガラスのプロトタイプなども合わせて展示されており、この会場で最新のガラス製品を体験することが可能だ。

ガラスから音が鳴る「音の間仕切り」のプロトタイプ

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