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JDIと共同開発

マクセル、有機ELのさらなる高精細化を実現する「蒸着用ハイブリッドマスク」を開発

公開日 2017/10/03 18:17 編集部:小澤貴信
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マクセル(株)は、精密電鋳加工技術「ElectroFine Forming」(以下、EF2)による有機ELディスプレイパネル蒸着用高精細ハイブリッドマスク(有機ELパネル用ハイブリッドマスク)を開発したと発表した。

「有機ELパネル用ハイブリッドマスク」のイメージ

パネルの高精細化・大型化に伴い、有機ELパネル用蒸着マスクには、精密なパターン加工、低熱膨張変形性が求められているという。今回マクセルは、熱膨張特性に優れるインバー材フレームにEF2で形成した高精細マスク部を一体化させた、フレーム一体型ハイブリッドマスクを開発。この有機ELパネル用ハイブリッドマスクを用いることにより、有機ELディスプレイパネルの高精細化や蒸着装置への容易な装着が可能になるとともに、フレームにマスクを貼り付ける際の位置調整が不要となることで、工数を削減することができるという。

なお、この有機ELパネル用ハイブリッドマスクは、(株)ジャパンディスプレイ(JDI)と共同開発したもので、2018年秋よりJDIの有機ELディスプレイパネル向けに供給を開始する。また、今後、JDIおよび高精度蒸着に優れるという縦型蒸着機メーカーとの3社による協業を進める予定だという。

有機ELパネル用ハイブリッドマスクは、EF2によるマスク形成により、リアル RGB400ppi以上の高精細化を実現可能。また、インバー材フレームと高精細マスク部が一体化したハイブリッド構造を用いることで工数を削減できるメリットを持つ。

高精細化については、現在の有機ELディスプレイパネルは発光セルを間引いて画素を形成した、リアルRGB換算(リアルRGB:Red、Green、Blueのセルで忠実に画素表示を行う方式を、発光セルを間引いて擬似的に画素表示を行う方式と区別して「リアルRGB」と称する)で、350ppi〜380ppiレベルのものが多いとのこと。そのためリアルRGB 400ppi以上を可能にする蒸着マスクへのニーズがあったという。マクセルのEF2によるマスク形成では開口部の高精度化が可能で、マスク厚の薄さは8μm、有機ELディスプレイパネルの高精細化(リアルRGB400ppi以上)を実現することが可能となる。

また、熱膨張特性に優れるインバー材フレームに、EF2で形成した高精細マスク部を一体化させた有機ELパネル用ハイブリッドマスクを開発することで、熱膨張による変形を抑え、蒸着装置への容易な装着を可能にした。

現在主流のエッチング加工によるマスクは、複数枚をミクロン単位の位置精度で貼り合わせて蒸着装置にセッティングすることが必要であり、この工程に対応するパネルメーカーは、高度な貼り合わせ技術が求められる。一方、マクセルの有機ELパネル用ハイブリッドマスクでは、フレーム一体型のマスクを供給することで、パネルメーカー側の工数を削減することが可能となる。なおマクセルは、EF2の応用製品として2003年より有機ELパネル用ハイブリッドマスクの開発に取り組み、2009年に特許を取得している。

マクセルでは、JDIと共同で有機ELパネル用ハイブリッドマスク量産化のためのクリーンルーム増設と設備導入を進めており、2018年秋の量産開始を予定している。今後は、リアルRGB 400ppi対応品の量産を開始するとともに、リアルRGB 800ppi対応品の開発を進めていくという。

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