824億円の純利益を計上

ソニー、'15年1Qは大幅増益。テレビは「数を追わない戦略」や為替の影響で減益

編集部:小野佳希
2015年07月30日
ソニーは2015年度第1四半期(2015年4月1日から6月30日まで)の連結業績を発表。売上高は前年同期比で0.1%減とわずかながら減少したが、営業利益は前年同期比271億円増加し、969億円の大幅増益。四半期純利益は前年同期に比べ556億円増加し、824億円となった。


売上高は上述の通り0.1%減少し、1兆8,081億円。当四半期において為替の影響、およびイメージセンサーが好調なデバイス分野の大幅な増収があったが、スマートフォンの販売台数の大幅な減少によるモバイル・コミュニケーション(以下「MC」)分野の減収、および液晶テレビの普及価格帯の販売台数減少によるホームエンタテインメント&サウンド(以下「HE&S」)分野の減収などにより、全体ではほぼ前年同期並みとなった。

第一四半期 連結業績概要

各セグメント別の業績

営業利益での大幅な増益は、主に、後述の再評価益を計上した音楽分野の増益、またデバイス分野の増収の影響によるもの。一方、MC分野では為替の悪影響、映画分野では映画製作における劇場興行収入およびテレビ局向けライセンス収入の減少などによる損益悪化要因があった。

通期見通しは4月に発表したものから変更はない

セグメント別の通期見通し

当四半期の営業利益には、音楽分野においてSony Music Entertainment(以下「SME」)が、持分法適用会社であったOrchard Media, Inc.(以下「The Orchard」)を100%子会社とした結果、既に保有していた持分51%を公正価値により再評価したことによる利益151百万米ドル(181億円)が含まれている。また、ロジスティクス事業に関する合弁事業開始に関連して、事業の一部を売却したことによる123億円の売却益が全社(共通)およびセグメント間取引消去に含まれている。なお、前年同期の営業利益には、御殿山テクノロジーセンターの土地および建物の一部売却にともなう売却益148億円が全社(共通)およびセグメント間取引消去に計上されていた。

The Orchardの再評価益などを除いた場合の成績も紹介

構造改革費用(純額)は、前年同期に比べ51億円減少し、101億円。その他の収益(費用)(純額)は、前年同期に比べ432億円改善し、418億円の収益。この改善は前年同期に(株)スクウェア・エニックス・ホールディングスの株式の売却益48億円があったものの、オリンパス(株)の株式の一部売却にともなう売却益468億円、および前述のロジスティクス事業に関する合弁事業開始に関連した株式の売却益27億円によるもの。

テレビなどが含まれるHE&S分野の売上高は、前年同期比13.8%減少し、2,531億円。液晶テレビの主に普及価格帯における販売台数の減少、および家庭用オーディオ・ビデオの市場縮小にともなう販売台数の減少などによるもの。

HE&S分野の業績

営業利益は、前年同期比21億円増加し、109億円の利益。前述の液晶テレビおよび家庭用オーディオ・ビデオの販売台数の減少やコストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の損益に対する悪影響などがあったが、コスト削減および高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などにより、分野全体で増益となった。なお、為替の悪影響は77億円。

テレビについては、売上高は前年同期比17.6%減少し、1,689億円。この減収は販売台数の減少が主因。液晶テレビの販売台数は、北米以外の地域で減少した。これは主に収益構造の改善に向け、売上規模を追わない戦略を徹底したことによるものだ。

営業利益については、高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善やコスト削減があったが、販売台数の減少による影響およびコストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の損益に対する悪影響などにより、前年同期比9億円減少し、70億円となった。「今年4月の会見では『営業赤字の可能性もある』といったが黒字を維持できた」(代表執行役 副社長 兼 CFOの吉田憲一郎氏)とした。

発表会で説明に当たった吉田CFO

MC分野の売上高は、前年同期比16.3%減少し、2,805億円となった。この減収は、収益構造の改善に向け、売上規模を追わない戦略を徹底することにより、スマートフォンの販売台数が大幅に減少したため。営業損失は、前年同期比213億円拡大し、229億円。前述のスマートフォンの販売台数の減少および構造改革費用の増加をマーケティング費用等の削減および製品ミックスの改善などで補ったが、主にコストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響により損失が拡大した。なお、為替の悪影響は254億円。

MC分野の業績

吉田氏は、モバイル事業について「事業規模を転換させていくフェーズにある」と、高付加価値モデル重視へシフトしていたずらに数を追わない戦略への方針転換について改めて言及。同様の方針転換で黒字化を達成したテレビを例に出し、「方針転換のタイミングでは構造改革費用もあるので大きな損失を計上するが、テレビでは3年かけて通期黒字化を達成した。モバイルは今期中に構造改革や事業規模の適正化を終える予定。構造改革は当初予定通り進んでいる」とした。

同様の方針転換で黒字化したテレビ事業と比較も

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野 の売上高は、前年同期比12.1%増加し、2,886億円。PS4のソフトウエアの増収、PS4周辺機器の販売台数の増加、ならびに為替の影響などにより、分野全体で大幅な増収となった。

G&NSの業績

営業利益は、前年同期比151億円増加し、195億円。コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の損益に対する悪影響、およびPS3のソフトウエアの減収があったが、PS4のハードウエアコスト削減、前述の周辺機器の販売台数の増加、ならびにPS4のソフトウエアの増収の影響などにより、分野全体で大幅な増益となった。

イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野の売上高は、前年同期比3.5%増加し、1,704億円。市場縮小の影響によりデジタルカメラの販売台数が減少したが、為替の影響、およびデジタルカメラにおける高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などにより、分野全体で増収となった。

高付加価値モデルへのシフトが好調なことを紹介

営業利益は、前年同期比39億円増加し、213億円。デジタルカメラの販売台数減少の影響があったが、高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善、2011年度に発生したタイの洪水による損害や損失に対する保険収益が前年同期に比べ増加したこと、および為替の好影響などにより、分野全体で増益となった。


会見の最後に吉田氏は、公募増資で3,017億円、転換社債で1,200億円の資金調達を行ったことに言及。これは成長に向けた投資資金の確保と財務基盤の強化を目的にしたもので、「今後の成長投資への余力を獲得できたと思っている」とコメント。これまでの構造改革フェーズから、これからは成長都市と利益創出フェーズに移る考えを示し、「持続的に高収益を創出する企業へとステージアップしていきたい」と述べた。

投資資金の確保と財務基盤強化を目的に資金調達を実施

成長のための投資フェーズへ

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