最新規格「Ver.2.0」の内容も紹介

シリコンイメージ、モバイル機器向け「MHL」インターフェースの技術説明会を開催

ファイル・ウェブ編集部
2012年06月13日
シリコンイメージジャパン(株)は6月12日、都内でプレスカンファレンスを開催し、モバイル機器向けのデジタルインターフェース「MHL(Mobile High-Definition Link)」の技術説明を行った。

MHLの技術は、HDMIやDVIで使用されているTMDS技術をベースにしており、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器をテレビなどAV機器に接続して、映像・音声データやコントロール信号、電源までもが伝送できる。機器どうしの接続には専用のMHLケーブルと、必要に応じて変換アダプターを使用する。


モバイル機器向けに最適化されたというMHLの技術的特長の解説
映像は非圧縮の1080/60pデータの伝送が行えるほか、音声は最大8チャンネルのデジタルデータ伝送に対応。HDCPによるコンテンツ保護もサポートする。制御コマンドの「RCP(Remote Control Protocol)」信号はスマートフォンからAV機器へ、AV機器からスマートフォンへ相互に伝送することが可能だ。


モバイル機器のコンテンツをAVアンプを介してテレビ側に出力できる
ケーブル接続時に、テレビからモバイル機器へ電源供給が行えるのも特徴だ。例えば大画面にスマートフォンで撮った動画を表示しながら、スマートフォンの充電が行えるため、長時間の動画再生時にもモバイル機器側のバッテリー切れを気にすることなく動画再生が楽しめる。

MHLでは「5pin」でHD信号や制御信号、電源を伝送するインターフェースを実現している。うち2ピンを1080/60p対応のデータ伝送、1ピンを制御信号、残り2ピンを電源用という構成になっている。またコネクタは任意のものが採用できることから、例えばスマートフォンのmicroUSB端子と、テレビのHDMI端子を接続するといったMHLベースのコネクションが可能になる。シリコンイメージでは、これによりモバイル機器の開発コストが低減できるほか、コネクタと基板面積の節約も可能になると説明。スマートフォンなど小型のデバイスに複数のコネクタを設けなくてもよくなることから、デザイン面でのメリットも生まれるとしている。

スマートフォン側のmicroUSB端子からデータをアウトプット

5ピン構成でデータ/制御/電源の伝送を実現


MHLでは任意のコネクターによる伝送が可能だ

MHLの組み込みイメージ
MHLをサポートしていないディスプレイ機器にも、変換プラグを経由することで接続が行える。テレビ側がMHLをサポートしている機器であれば直接専用ケーブルで接続でき、VGAやDVIなど他のフォーマットに変換して接続することも可能だ。

MHLケーブルに変換アダプタを併用することで、様々な接続方法を実現する

市販されている変換アダプター


プレスカンファレンスにはMHL本社から、プレジデントのTim Wong氏が来日し、同技術をめぐる最新状況を報告した。


MHL, LCC プレジデントのTim Wong氏
Wong氏は昨今ではスマートフォンにマルチコアCPUが搭載され始めるようになり、その処理能力が飛躍的に高まりつつあるとし、「スマートフォンで撮影した動画を大画面で楽しみたいという声や、スマートフォン向けのアプリやゲームも大画面で楽しみたいというニーズが強まっていることを受けて、MHLは進化してきた」とコメント。モバイル機器と大画面テレビとの連携強化が求められていることを強調した。

MHLでは、今年の4月に規格の最新バージョンとなる「2.0」を策定し、5月にはシリコンイメージが対応するICチップの開発を発表した(関連ニュース)。最新版「2.0」と、現行「1.0」との違いには、ICチップにおける1080/60pフルHD映像のサポートのほか、3D映像への対応、Unicodeのコマンド対応などが含まれる。またディスプレイからモバイル機器への充電機能が強化され、これまでの最小500mA/5V DCから、最小900mA/5V DCでの充電に対応するようになるという。シリコンイメージでは、今後テストスペックが固められたのち、1年前後で2.0対応機器の製品化が実現されると見込んでいる。


AVアンプはフロントパネルにHDMI/MHL共用の端子を搭載するモデルも登場した

MHL 2.0規格の特長
Wong氏はMHLを活用したライフスタイルについても実例を紹介した。例えば家族や友人と、スマートフォンで撮った動画をリビングの大画面テレビで視聴したり、スマートフォンのゲームを大画面に映して、複数の友人とプレイするといった使い勝手をアピール。「その際には、スマートフォンのバッテリー切れを心配する必要がない」というメリットについても付け加えた。

またテレビにインターネットへの接続機能が搭載されていない場合でも、MHL接続したスマートフォンの機能を活用することで、テレビの使い勝手を充実させることができるとアピール。チューナーを搭載しないモニター機器にもMHL対応機器が製品化されており、Wong氏は「このようなディスプレイにスマートフォンをMHL経由でつなぎ、ワイヤレスでBluetoothキーボードを組み合わせることで、PCのような使い勝手も実現できる」と提案。Wong氏は「今後もMHLでは新たなユーザー価値を提案していく」と意気込みを語り、さらなる技術の進化と採用機器の拡大に自信をみせた。


続いて登壇したシリコンイメージジャパンの竹原氏は、シリコンイメージのビジネスに関する近況を説明した。


シリコンイメージジャパン(株)代表取締役社長 竹原茂昭氏
同社では今後のモバイル機器の普及状況ついて「スマートフォン・タブレット・カメラを含めて今後2015年までに25億台を超える規模」を見込む。竹原氏は市場のトレンドについて「近年までは映像機器との接続はアナログVGAだったが、今やほとんどの機器が1080p出力に対応している。CPUもクアッドコア化が進み、データインフラも次世代4G環境へとバンドがさらに広がりつつある。グラフィックスの処理負荷が大きなゲームコンテンツもスマートフォンで楽しめるようになってきた」とした。

このように普及が拡大するモバイル機器にとって、課題として残されている点が「小さな画面サイズ、電池寿命、そしてゲームなどの操作性」だとしながら、このようなモバイル機器の課題をサポートするために、MHLの技術革新が進められてきたのだと竹原氏は説明する。

MHLの採用機器はディスプレイ、スマートフォンをはじめ、AVアンプやホームシアター機器に拡大を続けている。昨今海外ではオートモーティブの製品にも搭載機がリリースされたという。竹原氏は「MHLは2010年にソニー、東芝、サムスン、ノキアとシリコンイメージの、5社ファウンダー企業が参加するMHLコンソーシアムが設立され、いまでは136社のライセンシーが参加している。2010年5月には初のコンシューマー製品が登場し、以来対応製品の出荷総数は2011年実績で5,000万台、2012年予想はスマートフォンやテレビ、Blu-rayやAVアンプなどを含む1億台以上の機器出荷を見込んでいる」と説明し、MHLへの注目が今後も高まっていくだろうと述べた。

世界で発売されているMHL対応ディスプレイのリスト

MHL対応スマートフォンのリスト

MHLの説明の後、竹原氏は「Wireless HD」の現状についても補足した。60GHzのワイヤレス伝送をベースにした同技術は、1080/60pまでの非圧縮の映像信号をワイヤレスで伝送でき、速度遅延がほとんど発生しないことが特徴となる。また機機どうしの直接接続となるため、帯域環境が保証されることもAV視聴環境を構築する上でのメリットになる。同社ではWireless HDの技術を今後も促進しながら、ICの高機能化・小型化・省電力化に注力していく考えだという。

60GHz WirelessHDのメリット

またHDMIに関しては、2003年に搭載製品がリリースされてから、2012年までにグローバルでの搭載機器の累計出荷台数が30億を超えたという。竹原氏は「シリコンイメージでは今後も、HDMI/MHL/Wireless HDの活用を積極的に提案しながら、インターフェースのスタンダード化と技術開発を推し進めていく」と宣言した。

HDMI対応機器の出荷台数はグローバル累積で30億台を突破したという


プレスカンファレンスには、MHLを搭載する製品のメーカーを代表して、(株)東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 商品統括部 参事 阿部裕俊氏が出席した。


(株)東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 商品統括部 参事 阿部裕俊氏
同社では2011年夏にオーストラリア市場向けにMHL対応テレビを発売し、その後、ニュージーランドと欧州にもMHL対応のテレビを展開してきた。今後はASEAN地域やインド、中近東など新興国で発売するテレビにも、MHL対応を広めていく考えがあるという。阿部氏は「東芝ではテレビの可能性を広げるため、MHLの採用が必要と考えている。MHL対応のテレビとモバイル機器をケーブルでつなげば、様々なサービスが楽しめるようになるのが最大のメリットだ」とし、今後も日本を含めたグローバル市場に向けて、搭載機のラインナップを拡充する考えを示した。


プレスカンファレンスの会場では、MHL対応機器によるデモンストレーションも実施された。オンキヨー「TH-NR515」、パイオニア「SC-LX56」など、MHLに対応するAVアンプを経由して、スマートフォンに保存した動画をテレビに出力。テレビやアンプのリモコンで、スマートフォンのコンテンツを操作する「RCP(Remote Control Protocol)」のデモなども紹介された。

スマートフォンで再生中の動画を大画面テレビに映すことが可能。接続中はスマートフォンの充電が行える

AVアンプのリモコンでスマホのコンテンツを操作できる


東芝が海外で展開するMHL対応のREGZA

サムスンのMHL対応モニター


アストロデザインのMHLプロトコルアナライザー

テクトロニクスのMHLプロトコル検証用オシロスコープ。Windows OSを搭載し、MHL以外のプロトコル検証メニューも多数搭載する

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