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「瞬速フォーカス」搭載の15倍ズーム機

フジフイルム、メディア向けに「FinePix F300EXR」の技術説明会を実施 - 位相差AFなどを解説

公開日 2010/08/02 16:56 ファイル・ウェブ編集部
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富士フイルム(株)は、最速0.158秒の高速AF「瞬速フォーカス」を搭載するなどしたコンパクトデジタルカメラ「FinePix F300EXR」(関連ニュース)の詳細技術説明会を一部メディアに向けて実施。位相差AFや搭載レンズについて技術解説を行った。

FinePix F300EXR

モニター面の様子

同機では、被写体との距離を瞬時に測定する“位相差画素”を組み込んで進化させたイメージセンサー「スーパーCCDハニカムEXR」を搭載。最速0.158秒の高速AF「瞬速フォーカス」を実現させた。

位相差AFの原理説明

ピントずれ時のズレ量を検出してAFを行う

この位相差AFについては「フォーカスを駆動させずに合焦位置が分かるため高速にAFを行うことができる」というメリットと共に、「撮像面と別のセンサーに光路を導く必要がありボディが大型化するため、コンパクトカメラには不向き」だというデメリットを紹介。

また、続けて多くのコンパクトデジタルカメラで採用されているコントラストAFにも言及。「撮影用センサーを利用できるため、専用のAFセンサーが不要」「画面のどこでもピントを合わせることができる」というメリットと、「フォーカスレンズを駆動品柄コントラストを取得するため位相差AFに比べて時間がかかる」というデメリットを説明。

その上で、両方式の“良いとこ取り”のAFシステムが理想的なAFシステムであるとコメント。明るい被写体の場合には位相差AF、低照度のときにはコントラストAFを働かせる同製品の特徴をアピールした。

なお、今回採用された位相差センサーでは2つのセンサーをペアとして、フォトダイオードの中心から互いにずれた方向に配置。位相差センサーはEXR CCDの中心部に数万個配置している。なお、センサー部は撮影画像に影響がないように画像処理を行っているという。

CCDの中心部に位相差センサーを配置

そして位相差センサーに続いては、光学15倍ズームとして世界最小となる最薄部22.9mmを実現させた要因のひとつである新開発のフジノン「ツインシフトレンズ」に言及。

光学15倍ズームとして世界最小となる最薄部22.9mmを実現

レンズ部の分解モデル

退避させたレンズを鏡筒内に収納させているのは同社だけであるとし、これにより外部からのゴミに強いこと、また、退避する距離を最小にすることで、解像度への影響を最小限にしていることを説明する。

なお、従来の4群ズームでは全長が長くなりすぎるため、本製品では15倍ズームを実現するために5群ズーム構成を採用。この5群のうち、真ん中のものと最もボディ側のものの2群を退避させる。これらのほかにも小型化技術をすべて投入することで世界最小サイズでの15倍ズームを実現させたとした。

レンズ構成の解説図

5群ズーム構成を採用

また、レンズでは非球面レンズ3枚と、波長に対する屈折率の変化が少ない低分散ガラスの中でも、短波長側でのみ波長に対する屈折率変化が大きい「異常分散ガラス」を用いた異常分散レンズ2枚という構成を採用。ガラスモールドを含めた3枚の高精度非球面レンズによってレンズ枚数を削減して小型化した。

そして異常分散ガラスの採用によって、高倍率ズームレンズで発生しやすい色収差を低減。異常分散ガラスを用いた凸レンズと、通常の高分散ガラスを用いた凹レンズを組み合わせることで、小型化しながらも色収差を低減させているという。

そのほか、本製品では鏡筒内にフォーカスモーターを内包するなどズーム駆動方式を改善。これにより動画記録時の駆動音の静音化も実現した。加えて、速度制御による低速駆動を行うことで静音かつ動画撮影時に最適な速度でのズームを行えるようにしている。

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