HOME > ニュース > <CEATEC2006:SEDインタヴュー> イス取りゲームではなく新しいイスを作るのがSED

<CEATEC2006:SEDインタヴュー> イス取りゲームではなく新しいイスを作るのがSED

公開日 2006/10/03 16:20
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

初披露となる55インチSEDが3台並んだSEDブース
今年もSEDのブースは、人垣が取り囲む大人気ぶりを示していた。早速、IFAベルリンレポートでもインタビューさせていただいた、(株)東芝 SED開発・事業推進プロジェクトチーム 事業企画担当 参事 森慶一郎氏に、初登場の55インチSEDについて語っていただいた。


■商品化サイズの55インチSEDがついに世界初登場

Q:これまでの36インチから、ついに今回は55インチの初お披露目ですが、仕様について教えてください。

A:会場展示させていただいたのは55型サイズで、フルHD解像度の1920×1080で、明るさは450cd/m2。暗コントラスト比は50,000対1。応答時間は1msec以下を実現しています。展示はSEDブースに3台、東芝ブースに1台の計4台を並べました。まさに来年からのパネル生産ラインで作ったものです。

Q:製品化の最新スケジュールについて教えてください。

A:2007年7月パネル生産開始予定で、商品としてのテレビは東芝、キヤノンにパネルを供給してからの話ですが2007年度の第4Qくらいです。いまはとにかく来年7月のパネル量産開始に向け、現在詰めを行っています。

Q:現時点での画質の仕上がりはどの程度でしょうか。

A:今回の映像回路は試作向けであって、商品用にチューンアップされたものではありません。そういう意味では本当の実力を見た人はまだ誰もいないのです。コントラスト比も単にスペック数値を上げているわけではありません。明部を上げすぎても飛んでしまうし、暗部の階調をつぶしてはいけない。単なる50,000対1ではなく、明暗を絶妙にバランスさせています。最終商品は、SEDパネル部門から東芝さん、キヤノンさんのセット部門がチューニングを行う話です。

■素性のいいパネルほど、よりよいコンテンツが必要になる


SEDデモが見られるブースを取り囲む人・人・人
Q:デモされていた映像コンテンツに関してはいかがでしょうか?

A:素性のいいパネルほどコンテンツにアラが出てきてしまうことを思い知らされました。55インチSED向けに用意したデモ映像で、シーンとしてはいいのに、使えない素材もあった。HDカムでも圧縮ノイズがそのまま出てしまい、レンズの収差まで出てしまった。そこでヨーロッパでの収録ではハイビジョンカメラのHDCAM SRを使用しました。それだけSEDには実力があるということですが、パネルの性能が上がるとコンテンツもよくないと困ることになります。今回のデモでは映画以外はMPEGを使用していません。

Q:55インチはどのように決められたサイズなのでしょうか?

A:55インチはマーケティング的と技術的な面の両方から出てきた数字です。2004年のプレス発表以前に決めていたのですが、まず誰が見ても画質差がわかるサイズにしたかった。また36インチ試作の画素サイズでフルHDにすると55インチになります。ハイビジョン放送規格にある数式による理想の画面サイズの53.5インチに近づけたということも理由のひとつです。

Q:ほかのフラットパネルディスプレイのようなサイズは考えていないのでしょうか。

A:当然、サイズラインナップは考えていかなければなりません。しかしながら55型をまず世の中に送り出し、まとまった数を生産できるようになることに今は集中しています。今年の3月、延期を発表したのは一言でいうならコストの問題です。一定レベルのコストで作っていけるように少々時間をいただきました。

Q:薄型テレビの市場も成熟してきており、日本メーカーも海外へ向けシフトしています。SEDの国内と海外の割合はいかがでしょうか。

A:SEDの海外のヒキはありますが遠慮しています。数の問題もあり、まずは日本限定になってしまいます。それも売り方、値づけ、商品企画など検討中です。

Q:SEDのユーザー像、商品像はどのように考えていますか?

A:会社として検討中です。パネル部門としての希望ですが、「この画質でなければならなければならない」というユーザーが必ずいらっしゃいます。そういう方にまずお届けするべきだと訴えています。

Q:そうなるとSEDは業務用の展開もあるのでしょうか?

A:確かにプロフェッショナルの要望は多くありますが、SEDは当初より民生機器を想定しています。そして日本は民生向けにも画質にこだわる市場が必ず存在します。いま、コンテンツが大きく変わろうとしています。デジタルハイビジョン放送はますます増えていき、2011年にはアナログ放送が停波します。パッケージソフトにおいてもHD DVDやBDといった、ハイビジョンコンテンツが普及してきたとき、「何でこれ(次世代DVD)でなければいけないのか」の理由は「画質」です。それに相応しい画質を持っているのはSEDしかない、と思っています。

Q:そうはいってもユーザーの多くは当面、SD画質を見ていくわけだから、480iにおいても美しく見られたほうがいいのではないでしょうか。

A:もちろんです。ただSD画像(480i)のアップコン画質(1080p)は多分にスケーラーに依存していると思います。そういう意味ではSEDテレビのセットとして、なるべく高画質のスケーラーを搭載してほしい。

■イス取りゲームではない。新しいイスを作るのがSED


(株)東芝 SED開発・事業推進プロジェクトチーム 事業企画担当 参事 森慶一郎氏
Q:他方式・同サイズのフラットパネルとの関係で、SEDのプライスポイント(価格)は微妙になっています。エンドユーザーはいくらで手に入るのでしょうか。

A:そこが商品企画のポイントなのでまだ申し上げることはできません。

Q:電気量販店などで普通に販売されるのは何年後でしょう。

A:最初の数はごく少量としか申し上げられません。どこにでも置いてあるというものではなく、「あそこにあるのか!」といった感じではないでしょうか。ちゃんと映像をわかっている方はふさわしい売り方をしたほうがいいとおっしゃってくれる。また、どういう販売チャネルかは別として、本格量産は2008年。姫路工場を立ち上げてからになります。2008年のいつなのかは申し上げられません。

Q:今回は他方式のフラットパネルとの比較はしませんでしたが。

A:他方式を気にする必要はないからです。SEDは画質の差がはっきりとあって、それは過剰品質ではなく、まったく違うジャンルであると思います。自動車でも同じです。カローラとベンツを比べる人はいない。

Q:薄型テレビの「次の商品」ですね。

A:ええ、そうです。数値・スペック競争ではありません。個々の数値はたし算ではなく、かけ算であり、各々がバランスしていなければなりません。今回のデモで訴えたいSEDの世界観は「To be involved」、映像の中に引きずり込まれるような臨場感です。その臨場感に必要なポイントは7つあります。

1) ディテールに神が宿る「精細感」
2) 鋭い白ピーク再現による「迫力」
3) その場にいるような「立体感」
4) 自然で俊敏な「動き」
5) 「色のリアリティ」
6) 透徹した「質感」
7) フルハイビジョンの解像度を持つ「大画面」


これら7つの要素が高いレベルでバランスすることが必要です。

Q:要するにイス取りゲームではなく、イスを作るわけですね。今後のデモンストレーションの予定はありますか。

A:来年の米国CESは今回レベルのパネルになると思います。それより次は商品ですので、来年を楽しみにしていてください。


(Phile-web編集部/月刊AVレビュー編集部)

ceatec2006report

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック