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ボーズ“Waveシリーズ”に究極の一体型システム誕生 − キーパーソン・Bazydola氏に訊く

公開日 2006/08/29 09:42
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Kenneth Bazydola氏
ボーズ(株)は、独自の「アコースティック・ウェーブガイド・テクノロジー」を搭載した一体型オーディオシステム「Acoustic Wave Music System II」を発表した(>>関連ニュース)。今回Phile-webでは、本製品の特徴と魅力を開発担当者のKenneth Bazydola氏に詳しくうかがった。

−−−はじめに新製品「Acoustic Wave Music System II」の開発コンセプトをご説明いただけますか

「Acoustic Wave Music System II(以下:AWMSII)」を開発するにあたって、「優れたオーディオパフォーマンス」を実現すること、「誰にでも扱えるシンプルさ」を持った製品にすること、そして気軽に持ち運べるなど「様々な用途での展開ができる」製品であることの、3つに重点を置きました。これらの点を兼ね備えることによって、充実した音響特性を備えながら、コンパクトでシンプルな一体型システムを完成させることが、本製品の開発コンセプトでした。

ボーズ独自の「ウェーブガイド・テクノロジー」の開発研究には、およそ40年近くのバックグラウンドがありまる。その過程では「上質なライブパフォーマンス」が常時追求されてきました。その成果として今日、このようにコンパクトでシンプルながら、本格的なオーディオコンポーネントの実力に迫る、一体型システムを製品化することができました。本製品はオーディオシステムにあまり馴染みのない方々にも、気軽に使えるシンプルさを備え、持ち運びもできる多彩な用途を提案しています。

本体デザインについても、典型的なオーディオシステムの概念にとらわれないものにしたかったという強い思いがあります。インテリアに溶け込むような、シンプルなデザインを実現することも今回の製品開発にとって大事なポイントであったことを強調しておきたいと思います。


コンパクトな筐体にボーズの高音質技術の粋が集まった「Acoustic Wave Music System II」
−−−本製品の特徴となるポイントをあらためてご紹介下さい

本体には中高域をカバーする7.0cmのトゥイドラ(“トゥイーター”と“ドライバー”を混合した同社独自の愛称)を2本、低音域をカバーする11.5cmのウーファーを1本搭載しています。ウーファーには総延長が203cmにも及ぶ、異なる長さの2本の共鳴管を配置することにより、帯域の広い、迫力溢れる重低音を実現しています。このウーファーの構造は、当社のキャノン型スーパーウーファーシステム「AWCS-II-SR」の思想を応用しています。「AWMSII」のコンパクトな筐体には、「AWCS-II-SR」とほぼ同じ長さのアコースティック・ウェーブガイドを共鳴管を何度も折り返して配置したことにより、コンパクトな筐体ながら迫力ある低音再生を実現しているのです。

−−−本製品のサウンドをつくり込む過程で特にご苦労された点はありますか

「AWMSII」の音づくりには、当社のドクター・ボーズをはじめとする心理音響学リサーチャーをはじめ、音響エンジニア、電機・ソフト・メカニカル各分野のエンジニアが参加しています。殊に「アコースティック・ウェーブガイド・テクノロジー」については当社の中でも40年に渡る古い歴史があり、既に現時点でも非常に高い完成度を誇る技術となっております。しかしながら、その技術のターゲットである「究極のライブサウンドの実現」に向けた、たゆまぬ努力が現在も続けられています。

一つ大きなポイントは、Waveシリーズの歴史において、本製品と「Wave Music System」から、DSPが採用されることになったことです。これによって、音響のエンジニアリング同様、ソフトウェアのエンジニアリングも非常に大切になりつつあります。

−−−本製品に搭載されたDSPは「Wave Music System」に搭載されたものと同じものでしょうか

チップ自体は同じものが採用されていますが、プログラムは「AWMSII」のために開発した全く新しいものになります。

−−−「Acoustic Wave Music System II」について、米国ではどんなユーザーに最も親しまれると考えていますか。またどんな使われ方が想定されるのでしょうか

例えば一日の生活の中で、テレビを視るよりも音楽を聴いて過ごす時間が長いというような「音楽好き」のユーザーが挙げられるでしょう。一方では、音楽は好きだけれど、複雑な操作やセッティングを必要としない、気軽なコンポーネントシステムを求めている方々に本気は相応しいものと思います。これは米国に限らず、日本をはじめとした全世界のマーケットにおいて言えることだと思います。


本体に電源ケーブルを接続するだけで音楽を楽しむことができるシンプルさが特長だ

本体左右に取っ手を設け、可搬性を高めている
用途としては、リビングやファミリールームといった、家族が大勢集まる部屋で多く使われることと思います。米国の場合は、ゲストをもてなすためのリビングのほかに、家族で集まるための専用の「DEN」と呼ばれる部屋を持つ家庭が多くありますので、こういった場所で気軽に音楽を楽しむためのシステムとしてご愛用いただけるものと思います。また、今回は本体左右に持ち運びに便利な取っ手を備えていますので、屋外でのパーティーなどにも活躍する製品だと思います。今後、屋外用のバッテリーパックや、カーエンターテインメントとの連携も楽しめるよう、シガーライターソケットへのコネクターなども展開する予定です。


「プラチナムホワイト」と「グラファイトグレー」の2色が揃う
−−−今回は本体色に「プラチナムホワイト」と「グラファイトグレー」の2色のカラーバリエーションが同時発表されることとなりましたが、これまで発売されたWaveシリーズも含めて、米国ではどちらの色のほうが人気が高いのでしょうか

カラーバリエーションによる人気の比率はほぼ「50/50」ですが、米国では若干ブラック系のモデルの方に人気が集まっているようです。これは「Wave Music System」においても言えることです。
※一方日本国内では若干ホワイト系の人気が高いとのこと(ボーズ株式会社広報担当者のコメントより)

−−−Waveシリーズは今後、ボーズの他の技術などと融合してどのように進化していくのでしょうか

ボーズはいつも新しいテクノロジーを追究し、製品に活かすことによって提案し続けています。新しい技術に出会った時には、それをすぐさま製品に活かす前に、ユーザーの方々に本当に楽しんでいただけるものにできるかどうかを注意深く検証しています。ある新しい技術を製品に盛り込む際、その技術は長きに渡ってポピュラーになり得るものなのか、すぐに陳腐化することのない継続性を備えた技術であるかは非常に重要です。またそれらを投入することによって、システムとしての統合性とシンプルさが損なわれてはなりません。それは常に「直感的に楽しめる」製品であることが重要であり、技術と製品が高度に融合した製品をボーズはつくり続けて行きたいと考えています。

−−−日本のユーザーへのメッセージをいただけますか

今回ボーズが発表する「Acoustic Wave Music System II」は、気軽に良い音を楽しみたいと考えている、世界中の音楽好きのユーザーに満足いただける製品です。ぜひその魅力を体験していただきたいと思います。

−−−本日はありがとうございました。

(Phile-web編集部)

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