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TI、次世代デジタルAVコンテンツ向けプラットフォーム「DaVinci」を発表

2006/01/26
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日本テキサス・インスツルメンツ(株)は、本日記者会見を行い新たに開発を進めるプラットフォーム「DaVinci(ダヴィンチ)」の内容を明らかにした。

DaVinciはブロードバンドを軸とした通信機能を介して、デジタルAVコンテンツを共有する電子機器の全般に向けて最適化された、高集積のプロセッサー、ソフトウェア、開発ツール等からなるDSPベースのプラットフォームである。AV機器にとって時代の変化とともに、より広範なマルチオーディオ&ビデオフォーマットのサポートを進めて行く必要性が高まる一方、処理に必要なソフトウェアの量も膨大になりつつある。今回同社が新たなプラットフォームを開発した背景には、オープンなプラットフォームを構築し、メーカーの開発負担を軽減させるとともに、高機能・低コストの付加価値を製品にもたらしていくことが大きな狙いとしてあるという。


DaVinciプラットフォームの構成要素
DaVinciの主な構成要素は以下となる。「DaVinciプロセッサー」はDSPコア、ARMコア、アクセラレーター、ペリフェラルを統合したSoC(システム・オン・チップ)である。対象となるアプリケーションの特性に応じて最適化されたソリューションをSoCとして製品化することができる。プロセッサーのベースには、最新の「C64x+」DSPコアが位置づけられており、こちらはプログラマブル、かつスケーラブルな特徴を備えるICとして、将来の仕様変更にも柔軟な対応が可能になる。


DaVinciを核としたTIのソリューション
ソフトウェアは構成の柔軟性に富むフレームワークで構成されており、一般的なオペレーティング・システムのAPI(アプリケーション・プグラミング・インターフェース)を介して提供されることによって、実装作業も容易で迅速という特徴がある。ビデオ・画像・オーディオ&音声の新しい圧縮規格にもいち早く対応が可能なほか、標準的なOSへの対応、多様な開発者向けのAPI提供、DSPベースのSoCハードウェア/ソフトウェアコンポーネントが全てシームレスに動作するように設計されたソフトウェア・フレームワークなど、数々の優位点を実現しているという。


DA6xx上で動作するオーディオ・アルゴリズム

オープン・スタンダードのメリット
またDaVinciのプラットフォームでは、スターター・ツールや包括的な開発キット、リファレンス設計など、様々なアプリケーション分野・設計向けに低価格のツール&キット群が提供される。ARM/DSP統合開発環境、OSツール、DSPツールなども提供されるため、開発者にとっては馴染みのある環境でプログラミングを行いながらプラットフォームの利点を活用できるという側面もある。

さらに全世界で400社におよぶというTIのサードパーティー各社との連携により、クライアントは迅速かつ容易に機器開発が行える点も特徴としてあげられている。


日本TI 岡野明一氏
本日の発表会に登壇した同社執行役員 戦略企画本部 本部長の岡野明一氏は、DaVinciプラットフォームの開発背景について語った。

岡野氏は、今日の携帯電話やカーAVの製品分野でみられる機能の多様化と機器間連携の進化について触れ、「次々と台頭する圧縮規格への対応や、機器の多機能化・消費者ニーズの多様化により、メーカー側が大きな開発負担を強いられている点に当社は着目した」と語る。「同様の変化が今後リビングのAV機器に起きるだろう」とする岡野氏は「DaVinciの登場がオープンな開発環境をご提供することにより、各メーカーは市場投入までの期間を短縮し、自社製品の差別化に力を注いでいただくことが可能になる」とした。


DaVinciプラットフォームの応用事例

TMS320DM6446プロセッサーの詳細

DaVinci採用最終製品は今年夏頃に市場へ出荷予定


会場ではDaVinciプラットフォームの評価機を使ったMPEG2→H.264リアルタイムエンコードのデモも行った

DaVinciプラットフォームの評価機
現在までにTIはDaVinciプラットフォームを採用した第一弾のDSP(SoC)製品となる「TMS320DM6446」「TMS320DM6443」をそれぞれサンプル出荷している。これらのDSPを採用した最終製品は今年夏頃に市場に投入が予定されているという。対象アプリケーションとしては、デジタルカメラやカーAV、次世代アプリケーション向けネットワーク型ビデオなどが想定されている。


日本TI 山崎俊行氏
また本日は代表取締役社長の山崎俊行氏も登壇し、同社の本年のビジネス戦略を語った。同社が現在世界市場におけるアナログシェアの14%、DSPシェアの50%を獲得していることを明らかにした山崎氏は「我々がフォーカスしてきたことの結果が良いかたちで現れている」と評価する。2005年におけるTIの売り上げ全体の構成については、アナログ製品が40%、DSPが40%、その他のDLP製品やマイコン、汎用ロジックで20%を記録し、それぞれの分野で堅調な伸びを達成し、「きっちりマーケットポジションを確立できた」とした。


2005年の半導体売上高

アナログ、DSP製品のマーケットシェア

日本TIの2006年注力分野
さらに2006年の注力分野について語った山崎氏は、アナログ製品については引き続き製品ラインナップの強化、新分野に向けた開発を進めながら販売体制の強化を行っていく方針を示した。またワンセグ放送の本格化を見据えた携帯電話向けのアプリケーション開発も進められていく。さらにリアプロ市場を中心としたデジタルTVの発展にも着目しながら、「DLP製品の強化も進めて行きたい」と抱負を語った。

【問い合わせ先】
日本テキサス・インスツルメンツ(株)
TEL/03-4331-2088/2091

(Phile-web編集部)

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