キヤノン・東芝、「SED」試作機をデモ PDP、液晶との比較展示も
●別項でお伝えしたように、キヤノン(株)と(株)東芝は、2004年10月より次世代の薄型ディスプレイ「SED」パネルの開発、生産、販売を目的とした合弁会社を設立することで合意した。
2005年の8月より、キヤノンの平塚事業所で50インチ級パネルの生産を開始する。月産は3,000台。その後、2007年より東芝の拠点で本格量産を開始する。月産15,000台からスタートし、同年中には月産75,000台まで引き上げる。
実際の製品は05年度中に販売を開始する。開発と製造は東芝が担当し、キヤノンはOEM供給を受ける。
発表会場には36インチの試作機が置かれ、実際の映像を確認することができた。この試作機の情報をお伝えしよう。
試作機のパネルサイズは36インチで、画面のサイズは35インチ。解像度はワイドXGAで、720pの映像を表示していた。製品化第1弾となる50インチ級のモデルでは1920×1080のフルHD解像度を実現するという。技術解説員によると「40インチ、30インチ級でフルHDを実現することも可能」とのことだ。
試作機のピーク輝度は300cd/m2、平均輝度は260cd/m2。「製品化の段階では400cd/m2に引き上げたい」(技術解説員)という。暗コントラストは8600対1、明コントラストは85対1を実現している。
色再現性については「言い方が難しいが、10ビットのドライバーを使っており、10億色以上は出ている。基本的にCRTテレビと同等と考えてもらって良い」とのこと。
応答速度は非常に早く、「1msec以下を実現した」という。なお、一般的な液晶テレビは12msec、プラズマテレビは7〜8msec程度の応答速度となる。
実際の製品となる50インチ級モデルでは、「07年からの本格量産時からはPDPと同程度の価格を実現する」という。ただし、「05年、06年は月産3,000台と少量生産なので、その段階での販売価格は未定」とのこと。
製品の厚さに関しては、「ガラスがあるのでPDPと同程度。ただ、プラズマより電源を小さくできるから多少は薄くできるかもしれない」。発熱に関しても、「消費電力が少ないからプラズマよりは少ない」という。なお、試作機の消費電力は160Wとなる。
同サイズのPDP、液晶との比較デモも行われた。暗いシーンでは、液晶では黒浮きが激しいのに対し、SEDでは黒がしっかりと沈んでおり、かつ暗部の階調もしっかりと描けている。
少しずつ色の異なる口紅を表示するシーンでも、SEDは微細な赤の違いを巧妙に映し出し、かつ色の実在感が感じられる。
テロップが高速に流れる場面では、液晶、PDPは字がボケてしまうが、SEDではくっきりと表示し、応答速度が速いことが確認できた。
SRDの画質は、ブラウン管の色再現性、高速応答性、コントラストと、PDP、液晶の高精細さを合わせたような印象だ。製品化の段階ではさらに画質が向上することが予想され、今から期待が高まるばかりだ。
発表会の模様、SEDの原理などについては下記リンクを参照されたい。
(Phile-web編集部・風間)
2005年の8月より、キヤノンの平塚事業所で50インチ級パネルの生産を開始する。月産は3,000台。その後、2007年より東芝の拠点で本格量産を開始する。月産15,000台からスタートし、同年中には月産75,000台まで引き上げる。
実際の製品は05年度中に販売を開始する。開発と製造は東芝が担当し、キヤノンはOEM供給を受ける。
発表会場には36インチの試作機が置かれ、実際の映像を確認することができた。この試作機の情報をお伝えしよう。
試作機のパネルサイズは36インチで、画面のサイズは35インチ。解像度はワイドXGAで、720pの映像を表示していた。製品化第1弾となる50インチ級のモデルでは1920×1080のフルHD解像度を実現するという。技術解説員によると「40インチ、30インチ級でフルHDを実現することも可能」とのことだ。
試作機のピーク輝度は300cd/m2、平均輝度は260cd/m2。「製品化の段階では400cd/m2に引き上げたい」(技術解説員)という。暗コントラストは8600対1、明コントラストは85対1を実現している。
色再現性については「言い方が難しいが、10ビットのドライバーを使っており、10億色以上は出ている。基本的にCRTテレビと同等と考えてもらって良い」とのこと。
応答速度は非常に早く、「1msec以下を実現した」という。なお、一般的な液晶テレビは12msec、プラズマテレビは7〜8msec程度の応答速度となる。
実際の製品となる50インチ級モデルでは、「07年からの本格量産時からはPDPと同程度の価格を実現する」という。ただし、「05年、06年は月産3,000台と少量生産なので、その段階での販売価格は未定」とのこと。
製品の厚さに関しては、「ガラスがあるのでPDPと同程度。ただ、プラズマより電源を小さくできるから多少は薄くできるかもしれない」。発熱に関しても、「消費電力が少ないからプラズマよりは少ない」という。なお、試作機の消費電力は160Wとなる。
同サイズのPDP、液晶との比較デモも行われた。暗いシーンでは、液晶では黒浮きが激しいのに対し、SEDでは黒がしっかりと沈んでおり、かつ暗部の階調もしっかりと描けている。
少しずつ色の異なる口紅を表示するシーンでも、SEDは微細な赤の違いを巧妙に映し出し、かつ色の実在感が感じられる。
テロップが高速に流れる場面では、液晶、PDPは字がボケてしまうが、SEDではくっきりと表示し、応答速度が速いことが確認できた。
SRDの画質は、ブラウン管の色再現性、高速応答性、コントラストと、PDP、液晶の高精細さを合わせたような印象だ。製品化の段階ではさらに画質が向上することが予想され、今から期待が高まるばかりだ。
発表会の模様、SEDの原理などについては下記リンクを参照されたい。
(Phile-web編集部・風間)