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アナロググランプリ2021 受賞インタビュー

オルトフォンジャパン、ブランドスピリットを受け継ぐ新カートリッジでアナログをさらに推進

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PHILEWEBビジネス 徳田ゆかり
2021年05月31日
アナロググランプリ2021 Gold Award
受賞インタビュー:オルトフォンジャパン


「アナログ感覚が感じられ、オーディオファンに推薦するにふさわしいアナログ再生に欠かせない機器」を選出し、13年目を迎えたアワード「アナロググランプリ2021」。Gold Awardを受賞したオルトフォンジャパン、代表取締役社長の坂田清史氏が、受賞の栄誉とともに、就任からの3年間を振り返った。


オルトフォンジャパン株式会社 代表取締役社長 坂田清史氏

インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)

■貴重な8N超高純度銅線を使用し豊かな表現力を獲得したMCカートリッジ「SPU Ethos」


ーー アナロググランプリ2021のGoldAward受賞おめでとうございます。まず今回の受賞モデルであるMCカートリッジ「SPU Ethos」について、特徴的なポイントをお聞かせいただけますか。

坂田  栄誉ある賞を頂戴しまして光栄です。誠に有難うございます。SPU Ethosはシリーズの中でも非常にヒットしたMeisterというMCカ-トリッジのスピリットを受け継ぎ、その直系の後継機となるモデルです。

表現力の極めて高い8N超高純度銅線をコイルに使用しているのですが、かつて同和鉱業さんが試験的に作った細線がデンマーク本社に保管されていたという背景があり、商品化できたのはこのおかげです。奇跡的に残っていた貴重な素材を使うことができたのがこのEthosの肝です。

商品として非常に豪華な仕様に仕上げていますが、価格はあえて抑えているのも魅力に映ると思います。おかげさまで皆様からご好評をいただいており、昨年12月の発売以来セールスが非常に好調です。今回、賞を頂戴したことでますます関心を持って頂けるのではないかと思います。

ーー ご就任から4年目となりました。コロナ禍に見舞われたここ1年間の手応えはいかがでしたか。

坂田 アナログの市場は、ハイファイオーディオに関しては安定しています。DJの市場は波が激しく、2008年をピークに下がっていましたが、現状はやや上向きです。昨年は3月~5月頃にコロナの影響で需要が落ちましたが、6月~7月に全世界で持ち直し、そこから一気に流れが変わりました。予想を超える受注が急に増え、供給とのバランスが崩れてしまいました。

昨年はコロナの影響もあって2月頃から部品や材料の遅延が始まり、物流も滞りました。メーカー側でも3月~5月の需要をみて生産を落としたのですが、その後とんでもない受注のリバウンドが来て、8月~11月頃はバランスを取り戻すのに必死でした。12月にようやく復旧しましたが、年が明けてもまだ需要に少し追いついていない状態です。

大変な1年でしたが、巣ごもりの需要が追い風に作用したと思います。おかげさまで2020年、オルトフォングループは史上最高益を計上しました。日本もかなり善戦しています。

私は就任当時から、「積極的に前進する・挑戦的に行く」という思いでやってまいりました。これまでを振り返りますと、オルトフォンジャパンの初代社長であった前園氏、2代目社長であった熊埜御堂氏から引き継いだものは多く、またオルトフォンジャパン創業以来会社の基盤を築いてこられた3代目社長の関根氏からも様々なことを教わりました。皆さんからの教えは、悩んだ時に進む先を確認する灯台の光のように心に刻まれています。

しかし、このコロナ禍では初めてのことばかりで応戦一方になってしまったという思いです。これからは状況を見極めながら、今できる一手を積極的に積み重ねていきたいです。

ーー コロナ禍でお客様やご販売店とコミュニケーションを図るのが困難な状況ですが、昨今はどのようになさっているのでしょうか。

坂田 この1年間はイベントも中止になっていましたが、年が明けてからは販売店様でも工夫をこらして催事をされる動きが出てきましたので、我々も参加させていただいています。ご案内を郵送するなど、直接お目にかかれない分こちらからお客様への発信もなるべくまめに行うようにしています。

そして2018年から力を入れているホームページやSNSについてもさらに強化しています。また御社の専門誌などで、広告や記事の展開を積極的に行っていますが、おかげさまで高いご反応があります。お客様サポート、顧客満足度の向上についても本社と緊密な連携の下、今後さらに注力して参ります。

アナログ商材のお客様は紙媒体を情報源としておられる方が沢山いらっしゃいますので、 紙媒体で商品を認知していただく活動は継続的に行っていきます。もちろんネットをご覧になる方も増えていますから、ここも一層の充実を図っていきます。

■販売店とともに、アナログオーディオの展開を進めていく

ーー あらためて、現在のオルトフォンの事業展開や商品展開についてご紹介いただけませんでしょうか。

坂田 オルトフォンは本社がデンマークにあり、支社が日本、アメリカ、ドイツにあります。ドイツ支社はヨ-ロッパ全体、アメリカ支社はアメリカ大陸を対象としています。日本支社のオルトフォンンジャパンは、日本とアジアの一部の地域を対象としています。

オルトフォンが展開するものは、アナログオーディオに関する製品がほとんどです。デンマークのナクスコウという、コペンハーゲンから3時間半ほどのところにカ−トリッジの工場があり、かなり近代的な設備も入れて増床、増強しています。ケ−ブルは日本で開発しており、私も関わっています。生産も日本で、本社と連携しつつ展開しております。

カ−トリッジのものづくりは非常に奥が深く、オルトフォンには色々な技術が蓄積されています。特にゴム系部品の管理は、オルトフォンの最大の強みで、同じ硬さ、同じ形状、同じコンディションのゴム部品を供給し続けるのは難しいのです。

その技術力を活かして、B to Bでは医療機器に関連した微細なゴム系部品の供給も行っており、この分野も成長しています。会社全体で大きな比率を占めるのはコンシュ−マ−向け商材ですが、B to B商材が大きくなれば、会社の規模も大きくなるというイメージです。またゴム系部品は補聴器メーカ−さんも対象になっていますので、オルトフォンでもイヤホンなどの新たな商材にも応用できますし、今後新たな計画もあると思います。

現在デンマーク本社では構造改革を進めており、経営陣も若返りを図っています。本社を含む世界4社の代表は皆40代で、ここ数年間は皆で年に2-3回は集まり、チ−ムビルディングやトレ−ニングを行ってきました。こうしたメンバーのもとで、今後は自社が保有するコアな技術をさらに高めていきます。そしてそこから派生して取り組めるものがあれば、 積極的に着手していく考え方です。

ーー アナログオーディオが御社の中心という考え方で、今後も展開をされていくのでしょうか。

坂田 我々がご提供するオーディオ商品の音についてのポリシーは、創業からずっと変わりませんし、カ−トリッジのブランドとして揺るぎない地位を確立し続けるための活動を今後も継続していきます。私がオルトフォンジャパンの代表になってからは、本社のカ−トリッジの開発陣と意見交換もさらに活発になり、こちらからのアイディアもかなり反映されるようになっていますから、ここはさらに注力していきたいと思います。

昨今のデジタルオーディオに関しては、現時点で全てのお客様がこれを抵抗なく楽しまれるには、かなりハードルが高いだろうと思っています。販売店様にとっても、結果的にお客様へのご対応に非常に手がかかってしまいがちです。オルトフォンとしては、やはりアナログオーディオに腰を据えて、販売店様と共に堅実に展開していきたいと考えています。

アナログオーディオ製品について申し上げると、針は消耗品でもあり交換が必要ですし、 定期的にメンテナンスする必要もあります。お客様はそのたびにご来店の機会が生じます。そういった意味でアナログオーディオ製品は販売店様にとってもいい商材だと思います。またお客様にとっても試行錯誤しつつ、音楽を奥深く味わえるところが魅力だと思います。まだしばらくは続きそうな巣ごもりの中でもじっくり楽しんでいただける趣味の一つになるのではないかと考えています。

コロナ禍の中でオーディオに対する需要が増え、弊社製品ご愛用のお客様が増えました。 アフターコロナの世の中となっても、オーディオに対してずっと注目していただけるように、工夫をしながらやってまいります。今年はそういった意味でも、魅力的な新製品を年末に向けて数多く準備しております。ぜひご期待ください。

ーー これからの展開も楽しみですね。有難うございました。

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