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初のセルフプロデュース作品を発表

声優・アーティスト山村響が“全部作った”CDとは?「嘘のない自分」への想いをインタビュー

公開日 2020/04/03 12:00 編集部:押野 由宇
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ーーではいよいよ、セルフプロデュース作品の具体に迫っていきたいのですが、どういった流れで制作は行われたんでしょうか?

山村さん まだまだ勉強中ですが、コードから自分が気持ちいいと感じる流れを作って、そこから浮かんできたメロディを録音して、歌詞が浮かんだら書き留めながら、ひとつずつピースを埋めていく感じです。私の家で全部作っているので、歌も家で録音しています。座椅子に座りながらマイクに向かって歌っては「command + Z」(やり直しのショートカット)を押し、の繰り返しです(笑)。


ーーメイド・イン・山村さん家なんですね。

山村さん そうなんです(笑)。ジャケットは、イメージする風景があったので、自分でイラストを描いています。歌詞カードも自分で作っているので、深夜まで作業をして、朝早くに入稿してそのまま声優のお仕事に行く、ということもあったりしました(笑)。

山村さんご自身で描かれたセルフプロデュース作品「Suki」のジャケット

ーー締め切り前の修羅場、お疲れ様です! 今回の作品には3曲を収録されたとのことですが、その内容について教えてください。

山村さん 自分の身近なところで感じることや、日常の中でふと思うこと、そんなちょっとした気持ちを歌にした3曲です。1曲目は「カラメル」という曲で、いままで私の曲を聴いてくださっている方には「おー、こんな感じなんだ」と思われるかもしれないです。ヒップホップというよりはちょっとチルアウトミュージック的な音に仕上げたかったので、Aメロをラップにしています。

ーー先ほど歌詞を書くのがあまり得意じゃないというお話があったところで、ラップの歌詞はかなりの試行錯誤があったのでは?

山村さん ワンコーラス目は歌詞もスルッと書けるんですが、それに合わせて2コーラス目に韻を踏んでいくのが大変で(笑)。韻を踏んだ言葉を検索できるサイトなども参考にしながら、少しずつ形にしていきました。

2曲目の「Suki」という曲は、コードの勉強をしている時に良い響きができて、一緒に自然とメロディと歌詞が浮かんできたんです。これは良いかもしれないと思って仮録音をしておいたんですが、曲の全体ができあがって、いざ本番用にと何度歌っても、最初の仮で撮ったテイクの方が良いんですよ。なので、一番最初に口ずさんだ仮歌のテイクをOKテイクにしました。そういった試行錯誤もあったりします。

そして最後の3曲目は、「真夜中にやってるおいしいごはんやさん」という曲になりました(笑)。

ーーめちゃくちゃ身近ですね!

山村さん そうなんです(笑)。「ごはんやさん」という言葉がタイトルに入っているので、台所の音を入れたいなと思って、マイクの前にまな板と包丁を持ってきて「トンッ」って音を録ったり、お皿を2枚重ねて鳴らしてみたりとかしているんです。友達にごはん屋さんの店主の声をお願いして「いらっしゃいませ」って言ってもらったり、私はお酒が好きなのですが丁度家にジョッキがありまして、ジョッキで乾杯する音なんかも(笑)。

そういう生の音を録って、それをドラムのキックの代わりにしたりとか、面白いことができました。それに、全部の曲を聴き終わったらホッとできるんじゃないかなって思います。


ーーそういった思いつきをそのまま形にできるのは、セルフプロデュースならではの楽しさですね。ちなみに今回の作品はCDとしてリリースされるわけですが、そのほかのフォーマットもお考えでしょうか?

山村さん 私はジャケットやレーベル面なども含めて1つの作品になっているCDがすごく好きなんですが、時代の流れというか、CDを持つこと自体が特別なことになってきつつあるのかな、と感じています。

ですので、CDは委託販売サービスだったり、今後もしライブなどがあればそこでの物販で、モノとしてのCDを手に取りたいという方にお届けしていけたらと考えています。逆にCDは持たなくても大丈夫という方には、配信サービスなどで手軽に聴いていただけるようにできたらいいなと思っています。

ーー配信という形態ではハイレゾフォーマットもありますが、その点はいかがでしょう?

山村さん 声優として私が参加した楽曲のハイレゾ音源を聴かせていただいた時、音の立体感がすごく感じられて驚きました。本当に「ハイレゾは、いいぞ」って思います(笑)。今回の作品はイチから全部自分で作ることもあって、ハイレゾのクオリティというものを見越して作るということは正直難しかったですが、もし自分の楽曲をハイレゾ仕様で作る機会があったらチャレンジしてみたいな、という気持ちはありますね。

次ページ声優として、アーティストとしての「山村 響」

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