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<山本敦のAV進化論 第178回>

“世界最軽量”をあえて捨てたノートPC「LAVIE Pro Mobile」がビジネスマンに受けるワケ

公開日 2019/07/22 06:30 山本 敦
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さらにキーボードの打鍵感も心地よい。ピッチサイズが15インチのノートPCに搭載されているキーボードに匹敵しているというから納得だ。キーボードそのもののサイズも大きいので、長時間の文字入力が疲れにくい。耐摩耗性を高めるプレミアムUVコーティングをかけているので、キーボードの打面はテカらずに心地よい質感を残したままの状態が長く保たれるという。

永井氏はキーボードの打鍵感を調整するために、専任のエンジニアが通常モデルに比べておよそ3倍の時間を費やして開発に当たってきたと話す。「適度な打鍵感が感じられるように、キーを押した時のピークとボトムのフォースの落差を徹底的にチューニングしています。この落差が深すぎたり、反対に底打ち感が強過ぎると疲れを感じやすくなります」

キーボードの打鍵感は通常の3倍の時間をかけて追求された

理想のプロダクトデザインを実現することにも妥協しなかった

LAVIE Pro Mobileはプロダクトデザインを決定するまでのプロセスが通常の場合から大胆に変更されている。通常は技術的に「できること」を優先しながら、なるべく理想に近いデザインを浮き彫りにしていくものだが、永井氏は本機の場合は「理想的なプロダクトデザイン」にプライオリティを置いた上で、バッテリーライフや質量など機能・性能とのバランスを詰めてきたと振り返っている。

「通常は先に平面スケッチを起こしてから、エンジニアとディスカッションを繰り返しつつ、技術的に無理のある形状をつぶしてリアルなモックアップ(模型)に整えます。LAVIE Pro Mobileの場合は、先にプロダクトとしての理想的な形を描いた立体モックアップを作りました。通常のプロダクトデザインはエンジニア側からの発言に強く影響を受けがちです。今回はモックアップ設計の段階ではあえてエンジニアとのすり合わせを行わずに、目指すべき姿をリアルに追求したことが違いになります」(永井氏)

LAVIE Pro Mobileでは「ノイズレスデザイン」というコンセプトの下、機能的なデザインも徹底的に追求した。液晶のヒンジ部分の背面に排気口を隠すように配置している。液晶パネルを開閉しやすくするために上蓋の側面に凹みも付けた。電源キーにはWindows Hello対応の指紋センサーを載せている。指でキーに触れると素速くログインが完了する操作感も快適だ。

本体は側面から見ると先端に向かって底面が持ち上がっているように見えるスリムなくさび形デザインとしている。高い軽量性を持ちながら、加工も難しい材料であるマグネシウムリチウム合金を用いながら、この形状に仕立てることは特に困難を極めたそうだ。デザインとパフォーマンスを両立させながら質量900gを切ることの方が、シンプルに世界最軽量を追求するよりも開発陣にとって大変なことだったと永井氏が彼らの労をねぎらうように説いていた。

LAVIE Pro Mobileの天板には東レの新構成カーボンを採用している。一般的にカーボンと呼ばれている素材はプリプレグと呼ばれるものが多いが、強度を高めるために単純に厚みを増やしてしまうと軽量設計が犠牲になる。LAVIEでは超軽量のコア材をカーボン層によりサンドイッチする構造としたことで剛性と軽量性を両立させている。さらにカーボン素材は電波を通しにくい性質があるため、天板の周囲はプラスチックで成形するハイブリッドマテリアル構成として電波感度も確保している。

天板には新構成のカーボンを採用

ヤマハと共同開発した新機能「ミーティングモード」とは

LAVIE Pro Mobileはオーディオ性能にもこだわるノートPCだ。本体の底面には従来モデルから面積を約3倍にして、出力を1Wから2Wに高めたボックス型のステレオスピーカーを2基配置している。永井氏は「ノートPCのレベルを超えて、この筐体の中にできる限りスピーカーの容積を確保することに腐心した」とアピールしている。

さらにヤマハ製のオーディオエンジンを載せて、新機能の「ミーティングモード」を実現している。この機能はサウンドの中音域を持ち上げて、特にビデオ会議にノートPCを使う時などに声の帯域を聞こえやすくするためのものだ。電話会議の音声が聴きやすいようにチューニングを最大化した。

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