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<山本敦のAV進化論 第177回>

ソニーは「Xperia 1」で“未開の感動画質”に踏み込んだ。「もう後には引けない」レベルのこだわりとは?

公開日 2019/07/19 07:00 山本 敦
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松原氏は、ここで共有できた画づくりのノウハウに大きく影響を受けたとしている。試作してきた画づくりを根本から変えるほどメスを入れて、ようやく納得できる画質に辿り着いた。時は2019年1月。既にXperia 1の世界初披露の舞台となった「MWC19 Barcelona」の開催が間近に迫る頃だった。

Xperia 1のディスプレイのチューニングはMWCでのお披露目後も、松原氏をはじめとするソニーモバイルのエンジニアが中心になってひたむきに進められてきた。途中段階ではソニーモバイルの岸田光哉社長、槙副社長、さらにはソニーの吉田憲一郎社長をはじめとするトップマネジメントの要人も加わるかたちで、BVM-X300とXperia 1の試作機による画質比較のプレゼンテーションも幾度となく繰り返された。

その都度、厳しいフィードバックを得ながらXperia 1の画質は鍛え上げられてきたのだ。筆者もこのインタビューの機会に松原氏と久しぶりにお会いしたが、数々のプレッシャーを乗り越えてXperia 1の発売を無事に迎えた松原氏の表情はMWCの頃よりもだいぶリラックスしているように見えた。

完成したXperia 1のクリエイターモードの画質については松原氏も大いに満足しているという。映像制作関係者からもポジティブな反響が寄せられているそうだ。そして岡野氏もまた、厚木のプロフェッショナル機器のチームを代表してXperia 1の画質に太鼓判を押している。

「Xperia 1のクリエイターモードは、映像製作者の意図を正確に反映できていると思います。だからと言って、これがマスターモニターの代わりになるということをソニーが提案したいわけではありません。従来は映像製作の現場で1台のリファレンスモニターを複数の関係者でのぞき込みながら仕上がりをプレビューしていた環境に対して、複数名がXperia 1を使って手元で確認できる “マスモニ+α” という新しいワークスタイルがもたらす可能性に期待を感じているのです」(岡野氏)

岡野氏もXperia 1が提供できる新しい可能性に期待を寄せる

クリエイターの意図はどのように反映されているのか

Xperia 1の画質設定メニューには「クリエイターモード」のほかにも、ブラビアの映像を忠実に再現することをターゲットにしながら開発された「スタンダードモード」がある。

クールでメリハリの効いた寒色系のスタンダードモードに対して、クリエイターモードはわずかに暖色側に寄ったナチュラルな色合いを特徴としている。クリエイターモードの画質の印象については ホームシアターCHANNELで詳しくレポートしているので参考になれば幸いだ。

クリエイターモードにセットしてから、さらに「ホワイトバランス」のメニューを開くと設定値が “中間色” を指していることがわかる。この中間色とは、クリエイターが長年に渡って画づくりの基準としてきたCRT(ブラウン管)のマスターモニターのホワイトバランスを基準にした「Judd修正等色関数」を用いて、CRTと有機ELディスプレイのBVM-X300とのカラーマッチングを意識して作られたオフセット値に準じたプリセットになのだという。

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