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【特別企画】2機種の製品レビューも

カスタムIEMブランド「qdc」代表インタビュー。エンジニアやミュージシャンの声に応える“音の正確さ”が強み

2018/03/02 レビュー:土方久明/記事構成:PHILE WEB編集部
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中国のプロオーディオ市場で高いシェアと人気を誇るカスタムIEMブランド「qdc」。日本では2016年6月から一般コンシューマ向け製品の展開を開始し、2017年11月に1BAドライバー搭載イヤホン「NEPTUNE」を発売。さらに4種類のサウンド調整が可能な新モデル「Anole V6」も2017年12月の「ポタフェス2017 WINTER」にて発表し、こちらも近々日本での展開も予定されている。

「Anole V6」

「NEPTUNE」

今回ポタフェス出展時に来日した同社代表・Li Zeng Feng氏にインタビュー。ブランドの成り立ちや強み、新モデルについて話を伺った。また、オーディオ評論家・土方久明氏による「NEPTUNE」「Anole V6」の音質レビューも合わせて紹介していく。

エンジニアやミュージシャンの要望で誕生した、“音の正確さ”が強みのカスタムIEMブランド

まずは「qdc」というメーカーのバックボーンについて改めてお話を伺った。qdcは、イヤホン製品の開発を目的として2015年末に中国・深センにて設立された。親会社は、通信関係機器の開発を行う企業 Shenzhen Qili Technology Development Co., Ltd.(QDC)と、中国国内で音楽エンジニア向けのインターネットフォーラムを運営する企業の2社だ。現在の従業員数は50名ほどで、設立からまだ2年弱と若いブランドながら、中国国内では音楽関係者からポータブルオーディオファンに至るまで幅広い支持を得ている。

親会社のQDCは、政府関係や軍事関連に向けて通信機器や音響機器を開発・提供してきた。その中にはノイズキャンセリングや骨伝統など様々な技術を用いた、特殊な環境にも対応できるヘッドセットも含まれているという。当然ながら、イヤホン開発にも転用できる高度な技術力を有している。

前述の音楽エンジニア向けフォーラムを運営する企業とも関係が近かったこともあり、QDC社には「音楽制作で使える、正確な音が確認できるリファレンスモニターを作って欲しい」という要望が、中国国内のミュージシャンやエンジニアから要望が寄せられるようになった。結果、カスタムIEMブランドとして新たに立ち上げたのがqdcだ(カスタムIEMブランドは小文字で表記する)。

qdc代表・Li Zeng Feng氏にインタビュー。ブランドの歴史や製品作りについて詳しく話を伺った

qdcのIEMのラインナップは、主にレコーディングで使用されるスタジオ用途、ステージなどで使用されるライブ用途、そしてこれらをベースにコンシューマー向けのチューニングを行ったハイ・ファイ用途と大きく3つのカテゴリーに分けられる。

ブランド設立に前述のような背景があったこともあり、製品の開発には録音エンジニアやミュージシャンが実際に参加している。そして、音楽関係者の要望に応えるかたちで、「正確な音」をつねに第一の目標として製品開発を行い、それがブランドの強みとして業界関係者に広く認知されてきたという。

特にスタジオ向けモデルにおいては、「歪みが少なく、フラットな音」を求める声が圧倒的に多いとLi Zeng Feng氏は語る。それを実現できるのはQDCの高い技術力があってこそなのは想像に難くないが、Li Zeng Feng氏に具体的に開発環境を伺うと、最新鋭の器機が用意されているという。

「例えば、深センの工場にはブリュエル・ケアー(B&K)社やAudio Precision社といった世界でも最高水準を誇る設備システムを取り揃えています。開発から設計、測定にいたるまで最高レベルの精度で実施できる環境であり、製造品質についても自信を持っています」(Li Zeng Feng氏)。

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