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「テレビ向けとは違ったコンテンツ制作を」

ひかりTV、4Kに加えてモバイル向けサービスも拡充へ。NTTぷらら板東社長が語る現状と未来

2017/12/08 編集部:小野佳希
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他社に先駆けて4K HDRサービスを導入するなど、オーディオ&ビジュアルファンにとっても気になる話題を提供してきた「ひかりTV」。同サービスを運営するNTTぷらら代表取締役社長の板東浩二氏に、ひかりTVの現状と今後の取り組みについて話を聞いた。

NTTぷらら 板東社長

■4Kサービスの拡充に引き続き注力

ひかりTVでは、2014年10月に日本で初めての4K-VODの商用サービスを、また2015年11月にはこちらも日本で初めて4K-IP放送の商用サービスを開始。その後も4K HDR対応など順次サービスを拡張してきた。直近の4K関連では映像コミュケーションサービス「ひかりTVクラウドC」の提供も開始している。

なお、インタビューを行った2017年11月時点で、ひかりTVで視聴できる4K作品は2,000本超を揃えるにまで至っているとのこと。「来年2018年には高度BSの4K/8K実用放送の開始が控えており、4Kへの注目はさらに高まるだろう。我々としてもコンテンツ調達にはさらに注力していく」と板東氏は語る。

2017年3月時点で1500本超だった4Kコンテンツは現在2000本超にまで拡充(資料は4月に開催された事業説明会時のもの)

今後の4Kコンテンツ拡充に関して板東氏は、「権利の問題もあるのですぐにという話にはならないが、4Kでのスポーツ中継ももっとやっていきたい」などアイディアを披露。

元サッカー日本代表監督の岡田武史氏がオーナーであるJFL所属サッカークラブ「FC今治」の新ホームスタジアムにおいてスマートスタジアム化を進めていたり、過去には野球の日本代表の試合を4K中継したりと、スポーツでの実績もある同社だけに今後の展開も期待されるところだ。

FC今治にはユニフォームスポンサーとしてだけでなくスマートスタジアム施策も実施

また、アイドルチャンネル「Kawaiian for ひかりTV 4K」やモバイル向け映像配信サービス「大阪チャンネル」で吉本興業と協力関係にあることから、「バラエティ系のコンテンツも増えていくだろう。お笑いの4Kライブ中継などもいいだろう」と語る。

関西圏の人気番組を全国で視聴できる「大阪チャンネル」

そして、4Kの先にある8Kサービスについてもコメント。「(容量が大きい)8Kのデータをどのように効率的に配信していくか、そもそも8Kテレビがどれくらい普及するのかなど考えるべきポイントはいろいろあるが、技術的な検討は積極的にやっていきたい」と語った。

そのほか4K以外では「UIをもっと改善していく必要がある」とのこと。「日々改善させていってはいるが、まだまだ使いやすくしたい。例えば、帰宅してテレビをつけたら、AIが視聴履歴などから判断してオススメの番組を自動で流してくれるなどといったことも将来的には考えられるかもしれない」とも述べた。

■5G時代を見据えてモバイル向けサービスの拡充にも取り組む

前述の「ひかりTVクラウドC」や「大阪チャンネル」は2017年から開始した新サービス。これらの新たな取り組みは非常に順調だという。

ひかりTVクラウドCのUI。スマートフォンで撮影した動画や写真をインターネットに接続されたひかりTVのサーバー上に保存し、ひかりTV対応チューナーを通してテレビ画面上で見たり、スマートフォンとテレビ間でビデオ通話を楽しむことができる

「大阪チャンネルは番組数も当初の1,000から今は2,000本に増えているし、ひかりTVクラウドCも『離れた家族に写真や動画を送ってもらいテレビで見られるのは非常に便利だ』と好意的なご意見をたくさんいただいている」とのことで、「特にひかりTVクラウドCについては、高画質な写真や動画をテレビで見られる点を気に入っていただく声が多い」と板東氏は語る。

板東氏は今後の取り組みについて「5Gが見えてきている今、社会全体としてモバイル視聴が拡大していくのは間違いない」とし、モバイル分野に注力していくとコメント。

インタビュー時のようす

「そもそも、番組表から(ユーザー自身が能動的に)番組を探す今のテレビ視聴スタイルが一方的なものになっている。モバイル向けでは別方向の提案が必要なのではないか」と語る。

また、「今はまだコンテンツ制作がテレビでの視聴を前提にしている。スマホ視聴を前提に縦位置での動画も出始めてはいるがまだまだ少ないのが現状だ」ともコメント。「スマホに最適なコンテンツ利用方法は別にあるのではないか。スマホ向けの映像制作システムもこれから作っていかないといけないだろう」と、従来のコンテンツを単純にモバイル視聴させるだけにとどまらないアイディアの必要性も説いた。

スマホ画面での視聴を前提にした「タテアニメ」での独自コンテンツ配信も

なお、2018年春からはNTTドコモとのコラボレーションで「ひかりTV for docomo」を開始することがNTTドコモから発表済み。同サービスはひかりTVをNTTドコモ向けにカスタマイズして提供する。また、STB「ドコモテレビターミナル」も共同で開発している。「ドコモとの協業は、来たるべき5G時代に向けても非常に重要だと捉えている。そのためにもこの取り組みを絶対に成功させるべく全力で準備している」という。

ちなみに、同サービス用STBはAndroid TVを搭載し、ひかりTV for docomoだけでなく「dTVチャンネル」「dTV」「dアニメストア」「DAZN for docomo」、その他YouTubeなどGoogle Playからダウンロードしたアプリを利用可能。ハイレゾやドルビーアトモスにも対応する。今後は自社用STBとしても提供する予定だという。

STB「ドコモテレビターミナル」

そして板東氏は改めてモバイル向け市場の開拓への意欲に言及。「独自コンテンツも、テレビ局と同じようなものを制作していくのではなく、スマホ向けも含めて、今までにないコンテンツの見せ方や映像制作に注力し、市場を広げていきたい」と語った。

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