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今週末開催のポタフェス 2015に参考出展

【スクープ】デノン新音質担当の山内氏が明かす「ヘッドホンアンプの歴史を変える」新機種とは?

2015/12/16 構成:編集部 小澤貴信
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「音楽が自発的に奏でられること」こそ目指すサウンド

山内氏 私は「繊細さ」と「力強さ」を根底に置いたデノンサウンドを、この「ビビッド」と「スペーシャス」をキーワードに再構築したいと考えているのです。

−− 直近の11シリーズでも、こうした音作りはすでに実践されたのでしょうか。

もちろんです。多くの評論家の方に11シリーズを聴いていただいたのですが、共感していただけるかたは非常に多かったので、この方向は間違いなかったと感じています。自分がエンジニアとして仕事をしていたときも様々な方面から製品へのフィードバックはいただいていましたので、自信はありました。おそらくこの方向は支持していただけるだろうと期待はしていました。

11シリーズの開発途中で、山内氏はサウンドマネージャーに就任。その音作りは山内氏が最後までまとめ上げた。こちらはDCD-SX11

−− なるほど。

山内氏 それから、多くの方がデノンと聴いてイメージされるであろう「力強さ」についても、捕捉しておきたいことがあります。この点は、もしかするとやや考え方が変化したと捉えられるかもしれません。

明瞭さやクリアネスといった要素を得るためには、付帯音のないワイドレンジに尽きます。無理なく、この付帯感ないワイドレンジに基づいた明瞭さやクリアネスを備えることができると、自然にダイナミクスや力強さを十分に表現できるようになるのです。そして、力強さは無理に膨らませるものではなく、ソースが本来持っているものを引き出すものなのです。

−− ソースが持っているものを引き出すというのが重要なのですね。

山内氏 ソースの持っているスポンティニアス(編集部中:「自発的な」の意)なものが重要なのです。再生されたときにオーディオ機器によってコントロールされている音ではなく、音楽自体が活き活きと出てくる、自発的ともいえる音が大切だと感じます。「グルーヴ」という言葉にも若干近いかもしれません。これもレコード会社を出自としているデノンならではの考え方です。デノンの製品に限ったことではなく、素晴らしいオーディオ製品はこういった領域にも迫ってくるものだと思います。

−− 「力強さ」のお話がでましたが、「繊細」さという点については、いかがでしょうか。

山内氏 繊細さという点については、テクスチャー的な部分、またディテールの部分がハイレゾや録音の改善・進化によってかつてよりも見えやすくなってきました。こうした点については、より分解能を上げることで、一歩踏み込んで行きたいと考えています。繊細さを、音を丸めたり、バランスで隠したりして演出することはいっさい考えていなくて、より解像度を高くすることで表現するべきものだと思います。

山内氏はインタビューの中で音作りにおける「音楽の自発性」の大切さを何度も語っていた

−− ハイレゾの潮流は、デノンの音作りには影響を与えますか?

山内氏 音作りそのものへの影響は、これからは出てくると考えています。現状ではまだまだコンテンツ数が少ないですが、意識すべき状況にはなっています。

−− その一方で、アルファプロセッシング技術は今後重要度を増してくるのではと思います。

山内氏 アルファプロセッシングのノウハウは、いろいろと生きてくるでしょう。ブラッシュアップは常に考えていますが、ハイレゾに刺激を受けて、部分的に改良していくケースも出てくるかと思います。

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