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【特別企画】新素材によるフォームチップ開発中

コンプライCEOが語る、音楽リスニングを変えるイヤホンチップ開発秘話

公開日 2015/01/16 13:15 インタビュー/記事構成:ファイル・ウェブ編集部
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■より良い音楽リスニングのため「フォームチップが外耳道とどのように接触するか」を最重要視

−− 音楽リスニング用のフォームチップ開発でも、先ほどと同じく人の耳(聴覚)を守るための安全性に配慮している点は変わらないわけですよね?

オリヴェイラ氏: もちろんそれが大前提です。フィット感を高めるための発泡素材を使用して、耳の形に合うようにするという考え方は軍用と同じです。

私は3M社に在籍していたとき、MRIで様々な外耳道の容積を計測したことがあったんです。そこで、口を開いたり閉じたりすることで外耳道の容積は増減し、その大きさは右耳と左耳でも異なる場合があることがわかりました。コンプライTMのフォームチップは、熱によって柔らかくなる発泡素材ですので、耳に挿入したあとも体温によって柔らかさを確保し、口を開いたり閉じたりして変化する外耳道の形にあわせてフレキシブルに形状変化します。これにより、長時間装着していても違和感がないようにしています。

コンプライのフォームチップは、熱によって柔らかくなる発泡素材

いったん潰すとゆっくり形が戻ってくる

耳へのフィット性を高めたイヤホンチップを使うことは、同時に遮音性の向上にも繋がります。イヤホンを使った音楽リスニングを行う場所として、屋外環境も多いですよね。例えば地下鉄の中など、周囲が雑音だらけで音楽が聴きにくいような環境でイヤホンが使われることもあると思います。しかし、聴き取りにくいからといって音量を上げすぎると耳には悪影響があり、難聴になってしまうなどの恐れもあります。コンプライTMのフォームチップであれば、遮音性が高いので音量を上げすぎなくても満足のいく音楽リスニングが可能で、そういった面でも耳の安全性が保たれます。

−− では軍用とは違う、音楽リスニング用ならではの開発時のこだわりについて教えて下さい。

オリヴェイラ氏: 音楽リスニング用として最重要視していることは、「耳の中に挿入したフォームチップが外耳道とどのように接触するか」です。外耳道にフォームチップの接触する面積が少なければ少ないほど、音が安定して心地よくなるんです。そこをいかに改良できるか、日々研究しています。

例えば最新モデル「Tsシリーズ」は、コンプライTM製品の中で一番まん丸に近い形状をしています。これは、丸くすることによって外耳道との接触部分を少なくしているんです。そのため、イヤホンチップの物理的な存在によって高い周波数帯域がカットされるというようなことがなく、高音が綺麗な音で聴こえるというメリットがあります。これはTsシリーズならではの強みですね。

Tsシリーズ

Tsシリーズの断面図

あとは、フィット性と遮音性に繋がる話なのですが、音漏れを抑えることも重要です。特に低い周波数は抜けやすいので、そこを抑えることによって、低音が抜けてしまわない充実した音楽リスニングを実現できるように狙っています。

−− なるほど。フォームチップの存在によって音楽の聴こえ方に悪影響を与えず、より良く音楽リスニングができるように工夫しているわけですね。

■多くの日本人の外耳道は、耳の中で内向きに曲がっている

−− 実際、日本のイヤホンマニアの間でもコンプライTM製品は高く評価されています。プレーヤーやイヤホンなどの使用機器は同じでも、イヤホンチップをコンプライTM製品に変えることで聴こえ方が大きく向上するという経験を多くの方がされているようです。

イヤホンチップ交換の様子

オリヴェイラ氏: とても嬉しいです。ちなみに、日本人の多くは耳の内部で目の位置に向かって外耳の形が曲がっているので、チップをつぶして内向きの形に曲げてから耳に入れるとすごくフィットするはずですよ。

−− そうなんですか! それは知りませんでした。

オリヴェイラ氏: 私はこれまでの事業の中で耳に関する膨大なデータを得ているのですが、人種によって外耳道の形状は異なる傾向にあることがわかっています。単純に日本人とアメリカ人を比べただけでも、外耳道が湾曲する角度や周囲の直径が違うんですよ。これはあまり知られていないのですが、特にイヤホンでの音楽リスニングにおいてはすごく重要なことなんですよ。

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